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立体モアレ5

奥行き勾配

Depth Gradient

実験


1.設計

 立体モアレの奥行きを変化させる最も簡単な方法は格子間隔 d を変えることでしょう。それなら格子自体の設計を変更する必要がありません。ただこの方法は d を変えることができないレンチキュラーレンズに適用することができません。ここでは d を一定として、w を変えることで奥行きを連続的に変化させることを試みます。

 作成する立体モアレのイメージを図5−1に示します。上半分のモアレ MAは奥に、下半分 MBは手前に飛び出した位置にあり、それぞれ上下に連続的な奥行き変化を持つようにします。d を変える場合と異なり、w を変えれば奥行き D が変わるだけでなく、D に比例して λ も変化しますが、これは原理的に避けられません。

 

図5−1 作成する立体モアレ

 図の上下にy軸をとり、奥行き D をグラフに示したものが図5−2です。上半分では D1 から D2 へ、下半分では −D1 から −D2 へリニアに変化させます。なおここで h は縦幅の半分とします。

 

図5−2 奥行き D の分布

 具体的に D1 =15dD2 =45d とすると、D(y) は以下の式で表されます。

 
 

 D(y) から 、w を求めるには、立体モアレ1の式(b)を変形した式(d)を使います。ここで p は Grid A ないしレンチキュラーレンズのピッチを表しています。

 

 これに D(y) を代入すると、wy の関数とする以下の式が得られます。

 

 実際に h =50.8 mm(2吋),p =0.8467 mm(30 lpi)として w をグラフにしたものを図5−3に示しますが、これに従って w を変化させた Grid B を作成すれば良いわけです。

 

図5−3 wy の関係 (Grid B)




2,実験

 作成した Grid B のパターンは以下からダウンロードできます。Grid A には立体モアレ2A=50% か、立体モアレ3A=20% を使います。

Grid B, file name = "grad.gif"

 これらを600 dpiの画像としてOHPシートに印刷し、ライトボックスの上にまずGrid Bを置き、厚さ4mmの透明なアクリル板を重ねた上にGrid Aを置いて立体モアレを観察しました。これを写真5−1に示しますが、設計通りのモアレパターンを生じていることが確認できます。

A = 50%A = 20%
写真5−1 Grid Aの開口率を変えた奥行き勾配のある立体モアレ

 さらに Grid B のパターンをスーパーファイン紙に印刷し、レンチキュラーレンズ(ピッチ30 lpi,厚さ1.35 mm,屈折率1.58)を重ねたものを写真5−2に示します。写真5−1に比べてより明瞭なモアレ縞が観察されます。

 

写真5−2 レンチキュラーレンズで表示した奥行き勾配のある立体モアレ

 両者の奥行き D1D2 を表5−1に示します。写真から奥行きを感じ取ることはできませんが、写真5−1のモアレ縞の奥行きは写真5−2のモアレ縞の3倍以上あります。

表5−1 モアレの奥行き(mm)
D 1D 2
写真5−141122
写真5−212.838.4

 この例からも分かるように、きちんと設計して正しく描画したパターンによって作る立体モアレは、素直に期待通りの結果を返してくれます。逆に理解が不十分でどこかにミスがあると思い通りの結果は得られません。この辺が立体モアレの面白いところで、まさに科学のパズルと言って良いと思います。





設計実験

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