トップメニューへ


立体モアレ9

二次元の立体モアレ

2-Dimensional Stereoscopic Moire

実験特徴


1.二次元格子

 これまでストライプ状の格子をつかった立体モアレを紹介してきましたが、ここからしばらくの間、市松模様や網目模様のような二次元的格子模様を使った立体モアレの話をしたいと思います。

 まずは市松模様の二次元格子を使って立体モアレを作ります。図9−1に示したピッチ( pw )が異なる二枚の二次元格子 GA,GB は、黒で表す遮光部と白で表す透過部が同じ大きさの正方形で、遮光部と透過部が上下左右に交互に並ぶ市松模様になっています。

 

図9−1 市松模様の二次元格子

 これら二枚の格子を手前から GA → GB の順に、間隔 d を空けて重ねると、図9−2に示すように奥行き D に二次元的なモアレ縞 MA が見えます。この現象は立体モアレ1の図1−2で説明した原理が、 xy の二方向に働いていると考えれば良いでしょう。従って奥行きやモアレ縞の波長については、立体モアレ1の式(a),(b)をそのまま使うことができます。

 

図9−2 細かい格子が後ろにある場合、モアレ縞 MA が奥に見える


 

 逆に二枚の格子を、手前から GB → GA の順に間隔 d を空けて重ねると、図9−3に示すように手前に D だけ飛び出した位置に二次元的なモアレ縞 MB が見えます。この現象も立体モアレ1の図1−4で説明した原理が、 xy の二方向に働いていると考えます。奥行きとモアレ縞の波長はそれぞれ式(a),(b)に、 pw を入れ替えて代入すれば求めることができますが、 λD ともに図9−2の値の符号を逆転したものになります。

 

図9−3 大きい格子が後ろにある場合、モアレ縞 MB が飛び出して見える





2,実験

 C++で描画プログラムを作り、 GAGB のパターンを作りました。以下からダウンロードできます。これらを600 dpiの画像としてOHPシートに印刷すれば、GAp = 0.8467mm (30 lpi)、GBw = 0.8194mmの二次元格子となります。もちろんこれとは異なる倍率であっても、両格子を同じ倍率で印刷すれば λD の絶対値が変わるだけで、同様の結果が得られます。

GA, file name = "g_a.gif"
GB, file name = "g_b.gif"

 まずライトボックスの上に GB を置き、厚さ4mmの透明なアクリル板を重ねた上に GA を置いて立体モアレを観察しました。撮影したものを写真9−1に示します。写真からは奥行きを感じることができませんが、実物を上下左右に視点を動かして見ると、モアレ縞の位置が変わり奥行きを感じることができます。

 

写真9−1 図9−2の構成で表示した立体モアレMA

 次に GA と GB を入れ替えてみました。すなわちライトボックスの上にGAを置き、厚さ4mmの透明なアクリル板を重ねた上に GB を置いて観察したものを写真9−2に示します。モアレ縞の形態は同じですが、実物では手前に飛び出した位置にあるように見えます。

 

写真9−2 図9−3の構成で表示した立体モアレMB

 λD の設計値を表9−1に示します。写真9−1と写真9−2を比べると明らかにモアレ縞の波長は異なり、写真9−2が大きく見えますが、これはパースペクティブによるものであり、視点を遠ざけると両者の差は減少します。

表9−1 λD (mm)
λD
MA25.481
MB-25.4-81




3.特徴

 前回までの一次元的な立体モアレは、水平の運動視差にのみ対応する立体表示、すなわち左右の視点移動に対してモアレ縞が移動して奥行き感を出すものでしたが、二次元の立体モアレは上下左右の視点移動によってモアレ縞が動く、いわゆるフルパララックスの立体表示です。この点でより完全な立体表示と言うことができます。

 一次元の立体モアレは、上下には普通の2D映像と同じ扱いのため、この方向に自由な描画でき、これを利用して表現の幅を広げることができました。一方二次元の立体モアレは、どの方向にもモアレの性質を有するため、このような自由がありません。

 基本的には同じ考え方を適応できる同種の技術ですが、二次元の立体モアレには一次元のそれにない難しさがあり、格子の設計や描画は複雑で面倒な作業になります。一方で二次元ならではの多様性や面白さがありますので、順次紹介して行きたいと思います。





二次元格子実験特徴

トップメニューへ