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針穴写真7

ピンホールの位置2

構図をイメージしたカメラ作り

製作したカメラ摩天楼の撮影ピンホールを動かす意味ピンホールB,Cの写真


1.真っ直ぐに立った摩天楼を撮りたい

 前回ピンホールの位置を中央から若干ずらせるカメラを紹介したが、今回はもっと思い切って位置を変えて、特徴のある写真を撮るピンホールカメラを紹介する。
 横浜にはランドマークタワーという摩天楼があるが、この高いビルが真っ直ぐに立った写真をフィルムいっぱいに撮れないだろうかと考え、そのためにピンホールの位置をずらしたピンホールカメラを作ることとした。
 建物の縦の線が傾かないようにフィルム面を水平面と直交するように立て、背の高いビルを画面いっぱいに入れるために、ピンホール位置をフォルムの上端の高さに近いところまで上げる。さらにピンホールから遠い位置での明るさを稼ぐためにピンホールを45度傾けることとする。この様子を図7−1に示した。

 図7−1 真っ直ぐに立った摩天楼をフィルムいっぱいに撮るピンホールカメラ

 フィルムには印画紙を使用し、これまでのカメラと同様に二つのフィルム室を設けて機動性を持たせることにする。



2.製作したカメラ

 異なるフィルムサイズ(半カビネと9cm×13cm)に対応するために二つのカメラを製作した(写真7−1)。



写真7−1 製作したカメラ、半カビネ用(左)と9cm×13cm用(右)

 メインのピンホールA以外に二つのピンホールB,Cを備えており、どれか一つのピンホールを選択して使うことで様々な構図に対応できるようにしてある。これら二台のカメラの相違点はサイズのみで、機能的には全く同じものである。
 ピンホールAは写真7−2に示したように左右に±15mm動かすことが出来る。後で説明するが、このようにピンホールを動かせる機能は是非とも必要なものだと考えている。写真のように立てて置き、背の高い被写体を撮影するが、横置きにして横に長い被写体を撮影することもできる。

左いっぱいの位置(-15mm) 中央(0mm) 右いっぱいの位置(+15mm)

写真7−2 ピンホールAの位置を左右に動かした様子

 ピンホールB,Cも写真7−3に示したように左右に動かすことが出来る。写真で左いっぱいの位置が中央で、(中央を0mmとして)0mm〜30mmが横方向の可動範囲となる。また写真のように置くとき、ピンホールBは20mm上に、ピンホールCは10mm下にずれた線上に存在する。このような形にしたのは、それぞれのピンホールを非対称な配置にすることで撮影する構図のバリエーションを増そうと考えたためである。

左いっぱいの位置が中央になる 右に30mmまで動かせる

写真7−3 ピンホールB,Cの位置を左右に動かした様子


3.摩天楼の撮影

 まずは比較例として、普通のカメラでランドマークタワーを撮影したものを写真7−4に掲げた。通常はこのように上に行くほど小さくすぼんだような写真となる。



写真7−4 OLYMPUS izm220でランドマークタワーを撮影(28mm, NEOPAN ACROS 100)

 次にフィルムサイズ9cm×13cm用のピンホールカメラで、ピンホールAを使って撮影したものを写真7−5に示す。そのままではピンホールから遠い上部が暗くなる(写真左)が、コンタクト時に覆い焼きをして上部の露光を減らせば写真右のように明るさを調整することができる。ピンホールが45度傾いているため、上部の明るさの低下は極端なものではなく、左のように覆い焼きをしない状態でもそう悪くはない。
 写真7−4と撮影した場所は同じであるが写り方はかなり異なる、これだけ真っ直ぐに立った写真は他の方法ではなかなか撮れないものである。

覆い焼き無し 覆い焼きあり

写真7−5 ピンホールAで撮影(GEKKO VR2 9cm×13cm, 露出3分, ネガの現像はD-76(1:3) ポジはセレクトールソフト標準現像)




4.ピンホールを動かす意味

 先にピンホールを動かせる機能は是非とも必要であると記したが、ここでその意味を説明する。ランドマークタワーのような背の高い被写体を間近で撮影すると、それは上下の画角を大きく使うことになるので、必然的にフィルム上で画角の大きい位置に写るようにしなければならない。フィルム上で画角の大きい位置とはピンホール直下を含む線上であるから、もしピンホールの位置が固定されていればメインの被写体の位置が決まってしまい、構図を自由に決めることができなくなるのである。
 写真7−6はピンホールBを使って撮影した三枚の写真である。ピンホールBの位置は右いっぱい、すなわち中心から右に30mm、上に20mずれた位置とし、それぞれ角度を変えてランドマークタワー(L.T.)を撮影している。
 AではL.T.がピンホール直下に投影され、B,Cと直下から離れた位置に投影されている。このとき投影距離はa<b<cとなり、投影倍率は投影距離に比例するため写真上のL.T.はA, B, Cの順で大きくなってゆき、Cでは上部が写真からはみ出してしまっている。
 
被写体とカメラの向き 投影位置と投影距離 撮影した写真

写真7−6 写る位置で倍率が変わる様子をピンホールBで撮影
(GEKKO VR2 半カビネ, 露出3分, 現像条件は同じで右側を覆い焼きで濃度調整した)

 このような事情から、大きな画角を占める被写体はピンホール直下付近に写さなければならなくなり、ピンホール位置が固定されていれば常に同じ位置に配置されることになる。これでは構図選択の自由が大きく制限されるので、ピンホールは是非とも可動としたいわけである。
 写真7−7は実際にピンホールAを左右に動かして、ランドマークタワーの写る位置を変えたものである。真ん中に写る写真ばかりではつまらないと思うのである。

ピンホール位置は右いっぱい ピンホール位置は左いっぱい

写真7−7 ピンホールAを左右に動かして撮影
(GEKKO VR2 9cm×13cm, 露出3分, 現像条件は同じで覆い焼きはしていない)



5.ピンホールB,Cの写真

 ここで製作したカメラの主なピンホールはAであるが、ピンホールB,Cでも対称性を崩した面白い写真が撮れる。写真7−8はカメラをピンホールBが下になるように横置きし、橋の上から撮影したものである。視線を下に向けても像が歪むことがなく、水面に映り込んだ建物が針穴写真らしさを出している。
 ピンホール位置が下にずれたことにより上下に明るさの勾配を生じ、これに被写体が元々持っている明暗が加わって下部の暗い写真となったが、覆い焼きによって濃度を調整すればまずまずの写真になる。












写真7−8 ピンホールBで撮影 ピンホール位置は中央でピンホールBが下になるように横置きした
(GEKKO VR2 9cm×13cm, 露出3分, 現像条件は同じ)


 さらにカメラを縦置きにし、ピンホールCを10mmほど下にずらして撮影したものを写真7−9に掲げる。ピンホールの位置が非対称であると写真の構図も変化に富んだものになり面白い。この写真ではピンホール位置のずれがあまり大きくないので顕著な濃度勾配はなく、覆い焼きは行っていない。



写真7−9 カメラを縦置きにしてピンホールCで撮影
(GEKKO VR2 9cm×13cm, 露出3分, 現像条件は同じ)



真っ直ぐに立った摩天楼を撮りたい製作したカメラ摩天楼の撮影ピンホールを動かす意味

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