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針穴写真9/ステレオ写真14

ステレオピンホールカメラ(一眼レフ)

最も簡単な方法

PENTAX 645を使ったピンホールカメラPENTAX 645を使ったステレオピンホールカメラ


1.35mm一眼レフのボディを使う

 ここでは針穴写真1で紹介した一眼レフのボディを使うピンホールカメラを、ステレオ写真に応用する方法を紹介する。この手法によるステレオピンホールカメラはすでに「写真と電気剃刀」に紹介されているので、そちらも参考にされたい。
 具体的にはカメラのボディキャップに二つのピンホールを取り付け、二つの像が横に並ぶようにするが、実際に実施した手順を以下に説明する。なお使用するカメラボディはキヤノンのマニュアルフォーカス(FDマウント)機である。
 まず厚さ2.5mmのMDFを図14−1左上に示す形状にカットし、同図左下のように重ねて接着する。さらに15mm角のピンホール二枚を同図右下のように貼り付けるが、投影距離は45〜50mmほどと見てピンホール径は0.25mmとした。一方でボディキャップには図14−1右上のように、カメラに取り付けた状態で水平に並ぶように18mmの間隔をおいて二つの穴を開け、これにピンホールを付けた先のパーツを図14−2のように貼り付ける。

図14−1 35mm一眼レフに取り付けるステレオ写真用ピンホールの作成



図14−2 ピンホールをボディキャップに貼り付ける

 これをこのままカメラボディに取り付けて撮影すると左右のピンホール像が重なってしまうので、適当な遮光手段を設けてこれを防がなければならない。「写真と電気剃刀」では外側に遮光手段を置く構成を採用しているが、余計な光線の進入を防ぐためには暗箱内に遮光手段を作る方がより好ましい。いささか簡単ではあるが、図14−3に示すようにキャップの裏側に黒い紙を貼って遮光し、左右像を分けることにした。


図14−3 ボディキャップの裏側から二枚の紙片を貼って遮光し、左右像が重ならないようにする

 具体的にはまず適当な大きさに切った二枚の黒い紙を用意し、ピンホールが1mm弱覗くようにテープで貼り付ける。これをカメラボディに付け、ファインダーを覗きつつ明るい照明などを見るとうっすらではあるが像が見える。この状態で一方のピンホールを覆うと他方の(一つの)ピンホールの像が見えるので、黒い紙の作る縦のエッジの位置を確認する。両方のピンホールについてエッジの位置を確かめたらキャップをはずし、エッジが中央にくるように黒い紙の位置を調整して再びエッジ位置を確認する。これを繰り返して左右像が中央で分かれるようになったら、黒い紙の位置を確定して動かないように固定する。出来上がったものを写真14−1に示す。


写真14−1 制作したステレオ写真用ピンホールの表(左)と裏(右)

 こんな方法はレンズカメラでは通用しないが、ピンホールカメラなので問題なく使うことが出来る。レンズカメラでは複雑だった問題が、ピンホールカメラでは劇的に単純になることがある。これを利用しない手はない。

 実際にCANON AV-1にピンホールを取り付けた様子を写真14−2左に示した。AV-1は絞り優先AE専用機であり、明るさに応じて露出時間を自動制御してくれるので面倒な露出計算をする必要がなく便利であるが、誤動作を防ぐため撮影の際には写真14−2右のようにファインダーを塞ぐ必要がある。これはファインダーから入る光の一部がTTLの受光素子にとどいてAEを誤動作させるためで、通常はレンズから入る光の方が圧倒的に強いため問題にならないが、ピンホールでは極端に光が弱くなるためファインダーからの光の方が相対的に強くなり、AEを狂わせるのである。


写真14−2 AV-1にピンホールを取り付け(左) ファインダーを黒いテープで塞ぐ(右)

 このようなAEの誤動作はCANON AL-1でも同様に起こるようで、Aシリーズの特徴と言えるかもしれない。他の機種でも同様の問題が起こる可能性があるので、AEを使うなら念のためファインダーは塞いだ方が確実である。

 実際の撮影例を写真14−3に示す。ここで制作したピンホールの間隔、すなわちステレオベースは18mmであるので、主な被写体ができるだけ50cm〜1m程度に入るように撮影距離を調整して撮影した。また被写界深度の大きな針穴写真では手前の被写体から遠景までシャープネスが変化しないので、その特徴を生かす意味で背景に遠景が見えるような写真を撮るように心がけた。

撮影例1 撮影例2
撮影例3 撮影例4
写真14−3 ステレオピンホールカメラの撮影例 撮影例1のみボディはFTbを使用(露出1秒) 他はAV-1で撮影した。フィルムはいずれもISO400

 前回説明した通りこれらの写真は交差法の配置に並んでいる。トリミングして平行法の配置に並べ替えたものを写真14−4〜7に掲げた。


写真14−4 撮影例1をトリミングして平行法の配置に並べた



写真14−5 撮影例2をトリミングして平行法の配置に並べた



写真14−6 撮影例3をトリミングして平行法の配置に並べた



写真14−7 撮影例4をトリミングして平行法の配置に並べた

 35mmのフィルムサイズではあまり高い画質は求められない。それを考慮すればまずまず良く写っていると言えるだろう。



2.PENTAX 645を使ったピンホールカメラ

 すでに説明した通り針穴写真の画質はフィルムが大きいほど良くなる。従って一眼レフでもブロニーフィルムを使うものなら35mmより当然きれいな写真が撮れるはずである。ここではPENTAX 645を使う例を紹介する。
 まずは単一のピンホールを有する通常のピンホールカメラから試してみた。純正のボディキャップの中央に10mm程の穴を開け、内側の穴の周囲にある凹凸を削って平らにしてからピンホールを貼り付け、これをPENTAX 645のボディにはめればピンホールカメラの完成である。これを写真14−8に示す。

 


写真14−8 単一のピンホールを備えたボディキャップをPENTAX 645に取り付けた ピンホール径は0.32mm

 このカメラを使った撮影例を写真14−9と写真14−10に示した。いずれもAEモードで投影したがファインダーは塞いでいない。シャッタ−速度は1秒前後である。



写真14−9 単一のピンホールによる撮影例1(T-MAX 100 AEモード)




写真14−10 単一のピンホールによる撮影例2(NEOPAN SS AEモード)

 前述のAV-1とは違いAEの致命的な誤動作は少ないが、全体的に若干アンダー気味であることからファインダーから入る光がAEに影響している可能性はある。またAEが完全に狂って極端にアンダーになった写真も何枚かあった。太陽を背負って順光で撮影する際にはファインダーに直射日光が入る可能性があるが、そのようなケースでAEが狂ったものと考えている。いずれにせよAEで撮影するならファインダーは塞いだ方が確実である。



3.PENTAX 645を使ったステレオピンホールカメラ

 ステレオ写真用ピンホールの作り方は先ほどの35mm用と同じで、各部の寸法が違うだけである。パーツ各部の寸法を図14−4に示した。


図14−4 ステレオ写真用ピンホールのパーツ

 実際に組み立てたステレオ写真用ピンホールを写真14−11に表した。ピンホールは0.32mm径のものを使用している。ボディキャップの裏側には盛り上がった文字が書かれているので、これを削り落として平坦にしてから遮光の黒い紙を貼る。紙の位置を調整する要領は先ほどと同じである。


写真14−11 制作したステレオ写真用ピンホールの表(左)と裏(右)

 これをボディに取り付けた様子を写真14−12に示す。ピンホールの間隔、すなわちステレオベースは画像の横幅54mmの半分27mmとしたので、適する撮影距離が1〜1.5m程度と35mmカメラより伸び、ややサイズの大きい被写体を対象にすることが出来る。

 


写真14−12 ステレオ写真用ピンホールを取り付けたPENTAX 645

 実際の撮影例を写真14−13に掲げる。いずれもAEモードで撮影した。

撮影例1 撮影例2
撮影例3 撮影例4
写真14−13 PENTAX 645での撮影例 AEモードで撮影 撮影例1〜3はNEOPAN SS 撮影例4のみT-MAX 100

 さらにトリミングして平行法の配置に並べたものを写真14−14〜17に掲げた。解像度という意味での画質は35mmより明らかに優れているように感じる。


写真14−14 撮影例1をトリミングして平行法の配置に並べた



写真14−15 撮影例2をトリミングして平行法の配置に並べた



写真14−16 撮影例3をトリミングして平行法の配置に並べた



写真14−17 撮影例4をトリミングして平行法の配置に並べた

 ステレオベースの小さな35mmカメラでは撮影対象が小さな草花などに限定されるのに対し、ブロニーフィルムを使う645ではステレオベースが1.5倍になり、少し大きな被写体を撮ることが出来るようになった。このことは画質以上に意味が大きいと感じる。



35mm一眼レフのボディを使うPENTAX 645を使ったピンホールカメラPENTAX 645を使ったステレオピンホールカメラ

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