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ステレオ写真26

EOS kiss × 2

リモート端子同士をつなぐ

横長フォーマット用の治具と撮影縦長フォーマット用の治具と撮影


1.二台のカメラをつないで使う

 二台のカメラを並べてステレオ写真を撮影する方法は古くから実施されてきた主要な撮影法と言えるだろう。この時問題になるのがシャッターの同期、すなわち二台のシャッターのタイミングを合わせる方法で、特に動きの早い被写体を撮影する際にはこれが極めて重要な必要条件になる。

 市販のカメラの中にはリモートスイッチ(ケーブルスイッチなどとも言う)をつなぐ端子を備えたものがあり、これを利用してシャッターの同期をとることができる。これは恐らく多くの諸先輩により行われていた方法で、特に目新しいものではないが、ステレオ写真に関する話題を幅広く網羅するという意味で、ここでも幾つか取り上げることにした。

 最初に取り上げるのは初代のEOS kissである。もちろんフィルムカメラであってデジタルカメラのkissではないので御注意願いたい。

 

写真26−1 EOS kiss (初代)を二台使う レンズはEF 35-80mm 1:4-5.6

 このカメラの側面には写真26−2に示すように2.5φのステレオミニジャックがあり、ここにリモートスイッチRS-60E3をつなげてレリーズをリモートコントロールすることができる。


写真26−2 カメラの側面(左)にはリモート端子がある(右)

 RS-60E3を調べてみると単純な機械スイッチになっており、半押しでAFが接地状態に、さらに深く押すとレリーズが接地するように機能している。このことからリモートスイッチは図26−1のように、カメラ内のレリーズボタン(スイッチ)に並列に接続されるものと推測される。



図26−1 リモートスイッチRS-60E3はレリーズボタンと並列につながる機械スイッチ

 問題は図26−1の左にあるカメラ内部の回路であるが、もしも図26−2のような単純な入力回路であれば、二台のカメラ間でこれらをつないでも特に問題は起こらないと思われる。



図26−2 単純な入力回路の例

 すなわち図26−3のようにリモート端子同士をつないで問題がないようであれば、一方のレリーズボタン(AFを含む)は他方のリモートスイッチとしても機能し、同時にシャッターを切ることが可能になる。



図26−3 二台のリモート端子を両端がステレオミニプラグ(2.5φ)のコードでつなぐ

 もちろんこのようなリモート端子の使い方はメーカーの保証していることではないから、カメラが予想外の動作をしたり、最悪の場合には壊れてしまう危険はあるのだが、どうやらkiss(初代)の場合にはうまく行くようで、試した範囲では問題なく動作するようである。ただ必ずうまくいくとは保証できないので、この方法を試す方はあくまで個人の責任で行っていただきたい。

 この種の手法はすでに多くの先輩方によって実施されているようであるが、どの機種でどの程度うまく行くのかは、やはり実際にやってみないとわからない。ただこんなに簡単なやり方で良いのであれば、これを使わない手はないだろう。




2.横長フォーマット用の治具と撮影

 二台のカメラを固定し、リモート端子同士をつなげる撮影治具を製作した。以下この手順を説明する。

 まず4mm厚のMDFを下図に示した三枚の形状にカットする。



図26−4 厚さ4mmのMDFをカットして三枚のパーツを作る

 これら三枚を重ねて木工用ボンドで接着するが、このときリモート端子をつなぐコード(2芯のシールド線か3芯)を、一枚目の穴から二枚目の切り込みを通すようにしておく(図26−5)。



図26−5 コード(2芯+シールド or 3芯)を通すように三枚のパーツを重ねて接着する

 組み立てると下図のようなものになるが、あとはコードの両端に2.5φのステレオミニプラグを付ければ(コードを半田付けする)完成になる。



図26−6 三枚を接着した状態 コードの両端にステレオミニプラグ(2.5φ)を付ければ完成

 ステレオミニプラグには3.5φと2.5φの二種類があり、2.5φの所謂ミニミニプラグでないと入らないので注意されたい。出来上がった撮影治具を写真26−3に掲げた。


写真26−3 製作した撮影治具の上面(左)と下面(右)

 最近のステレオミニプラグは半田付けが難しいので結構面倒な作業になったが、コードの一方にプラグが付いたものも部品として売られているので、そちらを利用すれば若干なりとも楽になるだろう。

 製作した治具に取り付けネジで二台のカメラを固定し、リモート端子をつないだ様子を写真26−4に示した。この状態でステレオベースは160mmになる。

 

写真26−4 治具に二台のカメラを取り付けた様子

 撮影は手持ちで行い、プログラムAEモードにてオートフォーカスを使用した。カメラが二台になると操作の手間も二倍になるので、露出条件をいじったりマニュアルでピント合わせをするのははなはだ面倒になる。この使い方にはオートフォーカスで操作が簡単なカメラが向いている。

 実際の撮影は右側のカメラ(向かって左)のファインダーを覗きつつフレームを合わせ、レリーズボタンを半押しして、焦点が合ったことを知らせる音が二つ鳴ったことを確認してから押し切れば良い。

 レンズのズーム位置を35 , 50 , 80 mmに合わせ、それぞれ撮影したものを写真26−5に示した。全てトリミングは済ませてある。


写真26−5 ズーム位置35 , 50 , 80 mmでの撮影例(AF , プログラムAE , ISO400, トリミング済み)
35 mm ( , ) , 50 mm ( , ) , 80 mm ( , )

 35 と 80 mmはそれぞれズームリングを回しきった位置であるので問題ないが、50 mmは中間位置なので正確に合わせるのが難しく、大抵は左右の撮影倍率に若干の違いが出る。この撮影例では上辺が空で目印になるようなものが写っていないため倍率の僅かな違いは目立たない。中間のズーム位置で撮影する際には、このように上辺ないし下辺に物が写らないようにするのがこつといえるかもしれない。




3.縦長フォーマット用の治具と撮影

 さらに縦長の画面で撮影するための治具も制作した。これには厚さ4mmと2.5mmのMDFと30mmの角材を材料に使い、図26−7に示すように接着し組み立てた。



図26−7 30mmの角材とMDF(4t , 2.5t)で治具を作る

 9mm×40mmの板はカメラが動くのを防ぐためのものだが、EOS kissしか使わないのであれば10mm×40mmとした方が遊びがなく、しっかり固定できる。ここでは他のカメラも使えるように若干(1mm)の遊びを作ってある。

 組み立てた状態を図26−8に示した。



図26−8 パーツを接着した状態 コードの両端にステレオミニプラグ(2.5φ)を付ければ完成

 さらにコードの両側にステレオミニプラグ(2.5φ)を付け、完成した撮影治具を写真26−6に掲げた。


写真26−6 製作した治具のカメラをのせる面(左)と側面(右)

 製作した治具に取り付けネジで二台のカメラを固定し、リモート端子をつないだ様子を写真26−7に示した。この状態でステレオベースを測ったところ約107mmであった。



写真26−7 治具に二台のカメラを取り付けた様子

 撮影の要領は先程と同じで、実際に撮影したものを写真26−8に掲げた。裸眼立体視で見るなら縦長のフォーマットの方が画面サイズを大きくとれて見やすい。


写真26−8 ズーム位置35 mm〜80 mmでの撮影例(AF , プログラムAE , ISO400, トリミング済み)
35 mm ( , ) , 50 mm ( , ) , 80 mm ( , )

 ズーム位置50 mmでも目立った倍率の違いは見られない。上部を空にした構図も効いているが、左右に全く同じレンズを使っているため倍率を合わせ易いということもあるだろう。

 初代のkissではリモート端子同士をつなぐという簡単な方法でシャッターの同期をとることが出来たが、この方法がリモート端子を持つ他の機種にも広く使えるものとは安易に考えない方が良い。たとえ同じリモートスイッチ(RS-60E3)を使える機種であっても内部の回路が同一である保証は全くない。それでもやってみたいのなら、多少の危険は覚悟して一つずつ試して見るしかないだろう。




二台のカメラをつないで使う横長フォーマット用の治具と撮影縦長フォーマット用の治具と撮影

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