ステレオ写真27
(SFX × 2) & (Z-10 + Z-50p)
ペンタックスの一眼レフ
Z-10 とZ-50pをつないで使う
ペンタックスの一眼レフSFX二台をつなぐ撮影法はすでに「入門立体写真」に紹介されている。EOS kissと同様にリモート端子同士をつなぐようであるが、これについて追試してみた。
デジタルカメラが主流になったせいか、一部の高級カメラや稀少機種を除けば中古のフィルムカメラはネットオークションなどで安価に入手出来るようになった。オートフォーカスの一眼レフも例外ではなく、ここで使う二台のSFXもリーズナブルな価格で入手することが出来た。

写真27−1 PENTAX SFXを二台使う レンズはPENTAX F ZOOM 35-75mm 1:3.5-4.5
SFX用のケーブルスイッチFはkissのリモートスイッチRS-60E3と同様の機械スイッチで、やはりカメラ内のレリーズボタン(スイッチ)に並列に接続されるようである。

図27−1 SFX用のケーブルスイッチFもRS-60E3と同じ機械スイッチ
このことからもkissと同じくリモート端子同士をつなぐだけで、一方のレリーズボタンで両方のレリーズを制御できるようになるのではないかと期待できる。
SFXのリモート端子は写真27−2に示すようにレンズマウント部の左にあるが、特殊な形状なコネクターで入手するのは簡単でない(秋葉原で探したが見つからなかった)。そこでケーブルスイッチFを(中古で)入手し、コネクター部をカットして使用することにした。
写真27−2 前面左にリモート端子がある(左)が特殊な形状のコネクターになっている(右)
実際には図27−2のようにコネクターに2.5φのステレオミニジャックを付け、これをアダプターとして使えるようにした。なおスイッチ側にはステレオミニプラグを付け、つなげて元のように使うことも出来るようにした。

図27−2 ケーブルスイッチFを切断し、2.5φのステレオミニジャックを取り付ける
実際にケーブルスイッチFを加工したもの写真27−3に掲げた。
写真27−3 ケーブルスイッチFを切断してジャックとプラグを付け(左) 先端の方をアダプターとして使う(右)
このアダプターは二つ製作し、kissで使用した2.5φオス−オスケーブルと合わせて図27−3のように二台のカメラを接続する。

図27−3 二台のリモート端子をアダプターと2.5φオス−オスケーブルでつなぐ
なおケーブルスイッチFのスイッチ側(写真27−4左)はEOS kissのリモートスイッチとして使用することが可能で、写真27−4右のようにつなげば元通りのケーブルスイッチFとして使えるので無駄にはならないが、新品を二本つぶすのは少々もったいないので中古品を探してできるだけ安く購入すると良いだろう。
写真27−4 スイッチ側はEOS kissのリモートスイッチの代用に使用可能で(左)
先端部を付ければ本来のケーブルスイッチとして問題なく使用できる(右)
前報で紹介した横長フォーマット用の治具ではコードの位置が反対でうまくないので、ここでは縦長フォーマット用の治具を使って撮影することにした。製作したアダプターを使ってSFX二台を治具に取り付けた様子を写真27−5に掲げる。この状態でステレオベースを測ったところ約117mmであった。

写真27−5 治具に二台のカメラを取り付けた様子
実際に使ってみるとkissにはなかった問題が一つ生じた。カメラの電源スイッチの入れ方が問題で、一方がONで他方がOFFの状態では、ONの側のレリーズが押された状態になる。この状態を生じないようにするには二台のカメラを同時にON−OFFするか、あるいはONにした状態でケーブルの接続−取り外しをする必要がある。たぶんOFFからONに切り替わるしきい値が高めでONの状態になりやすいのだろう。
このことに気を付ければあとはkissの時と同様に撮影することができる。レンズのズーム位置を35 , 50 , 75 mmに合わせ、それぞれ撮影したものを写真27−6に示した。全てトリミングは済ませてある。
写真27−6 ズーム位置35 , 50 , 75 mmでの撮影例(AF , プログラムAE , NEOPAN 400, トリミング済み)
35 mm ( L , R ) , 50 mm ( L , R ) , 75 mm ( L , R )
ズームリングを回しきった位置に当たる35 と 75 mmは左右の画角(撮影倍率)が一致しており問題ないが、中間位置の50 mmでは右画像の倍率が左より小さく、ズーム位置が一致していないのがわかる。この辺がズームレンズを使う上での問題点であるが、35 と 75 mmの二焦点距離に限って使うようにすれば問題はない。
同じカメラを二台持っている人は少ないだろうし、ステレオ写真を撮るためにわざわざ同機種を購入するのはつまらないと思われる方もいるだろう。ペンタックスのカメラには同様のリモート端子を持つ機種が幾つかあるが、同じレンズを使えばほとんど同じ写真が撮れるから、これらの異機種同士をつなげることが出来れば、わざわざ同じカメラを揃えることにこだわることもない。
SFXと同じ形状のリモート端子を持つ一眼レフにはSF7 , Z-10 , Z-50p , Z-70pなどがあるが、調べてみるとこれらの端子の電気特性は必ずしも同じではなく、端子電圧はSFXが2.8〜2.9Vであるのに対し、SF7:3.5V,Z-10:4.2V,Z-50p:3.9V,Z-70p:3.9Vとまちまちだった。Z-50pとZ-70pのように同じ端子電圧のもの同士をつなぐのであれば良いが、異なる場合には若干不安がある。
恐らく端子の入力抵抗はかなり大きいと推測されるため、電圧の高い方から低い方に流れ込む電流は大した問題にはならないだろうが、低い側によって電圧が引き下げられることにより、接続しただけで高い側のスイッチ(AF,レリーズ)が入ってしまう恐れがある。特に端子間の電圧差が大きい場合には心配である。
このような理由から電位差の大きな組み合わせ(例えばSFXとZ-10では1.2〜1.3Vも違う)は避け、電位差0.3VのZ-10とZ-50pをつなぐことにしてみた。

写真27−7 PENTAX Z-50p(左)とZ-10(右) レンズはPENTAX F ZOOM 35-75mm 1:3.5-4.5
先程と同様に縦長フォーマット用の治具を使ってリモート端子をつないだ様子を写真27−8に示した。

写真27−8 治具に二台のカメラ(左:Z-50p,右:Z-10)を取り付けた様子
実際にやってみるとSFX二台をつないだ時と全く同様に機能し、特に問題は起こらなかった。撮影例を写真27−8に掲げる。
写真27−9 ズーム位置35 mm〜75 mmでの撮影例(AF , プログラムAE , ISO100, トリミング済み)
35 mm ( L , R ) , 50 mm ( L , R ) , 75 mm ( L , R )
やはりズーム位置50 mmでの倍率の違いが目立つが、使用したレンズのズーム目盛りの位置がずれているのかもしれない。一方35 mmと75 mmでは倍率の目立った違いはなく、異なる機種をつなげても基本的には問題ないことがわかる。
ステレオ写真では同じカメラを二台並べて撮るのが基本だが、一眼レフではボディが異なっても同じレンズを使う限り画角やデストーションに違いはないので、異なる機種(ボディ)を使っても大した問題は生じない。リモート端子の特性を調べて接続が可能であれば、異機種同士の組み合わせも十分選択肢の一つとなり得る。
繰り返すようであるが、ここで紹介したものはメーカーの保証外の使用法になる。あくまで個人の責任に於いてのみ実施していただきたい。
SFXを二台つないで使う・
Z-10 とZ-50pをつないで使う