ステレオ写真31
PENTAX zoom280p × 2
リモコンを使って二台のシャッターを同期する
リモコンを使った撮影治具・
撮影
シャッターを外部から操作する方法としては、コンパクトカメラではケーブルスイッチよりもワイヤレスリモコンの方がより一般的である。そこでリモコンを使ってシャッターを同期させ、ステレオカメラとすることを考えてみた。
実際ワイヤレスリモコンに対応しているカメラは少なくないが、その多くはセルフタイマーの補助機能と考えているのか、リモコンのボタンを押してから2〜3秒後にシャッターが切れるようになっている。このようなカメラでも使えないことはないが、動きのある被写体ではシャッターチャンスを逃してしまうし、手持ち撮影に使うにははなはだ不便だ。一方数は少ないがリモコン操作で即時シャッターが切れるカメラもあるので、ここではそういった機種を探して使うことにした。
一番手はPENTAX zoom280p(写真31−1)である。このカメラはzoom105R(Super)の高機能を受け継ぎ、ズーム域を28〜80mmとしたもので、その外観もzoom105R(Super)とよく似ている。広角側が35〜38mmから始まるカメラが多い中で、28mmまで使えるのはうれしいし、実際に撮ってみると広角でのディストーションも少なくなかなか綺麗である。もちろん現行機種ではないが、かなり良く売れたらしく中古の球数は多いので入手は難しくないだろう。ちなみにマニュアルはPentax Canadaから英語版をダウンロードすることができる。

写真31−1 PENTAX zoom280p レンズは28〜80mm F3.5〜8.0
このカメラのリモコンは本体右側面に付いているが、写真31−2のように外すと受信モードになり、リモコンでコントロール出来るようになる。
写真31−2 カメラの側面(左)のリモコンを外す(右)とリモコンモードになる
カメラ付属のリモコンを使っても良いが、ここでは同じペンタックスのESPIOに付属しているリモコン(写真31−3)を使って撮影冶具を制作した。こちらの方がサイズが大きいので工作は容易になる。
写真31−3 ESPIOに付属するリモコンを使う
ネジ三本を外してカバーを開けると基板が取り出せる(写真31−4)。必要な機能はこの基板一枚に備わっている。

写真31−4 リモコンのカバーを外して基板を取り出す
写真31−5(左)に示すようにシャッターとズームボタンにそれぞれプッシュスイッチをつなぎ、裏には同(右)のように二本の赤外LEDと電池(ボックス)をつなぐ。同時に元々あったLEDは半田を溶かして外し、ボタン電池のホルダーは絶縁テープを貼って電極間を絶縁する。追加する赤外LEDには電流制御のためにシリーズに抵抗(100Ω)を入れる。この抵抗値は適当であるが、とりあえず100Ωで問題無く動作している。
写真31−5 基板からコードを延ばしてスイッチを付け(左)さらに電池と二本の赤外LEDをつなぐ(右)
赤外LEDには秋月電子通商で購入したOSIR5113Aを使用し、写真31−6のようにカメラのリモコン受光窓に向き合う位置に取り付けた。配線には平ラグ板を使っている。
写真31−6 カメラの受光窓の位置に赤外LEDをつける(左) 赤外LEDと抵抗(100Ω)はラグ板に取り付けた(右)
冶具を前から見たものを写真31−7に掲げる。本体は厚さ4mmのMDFで作り、右(向かって左)にはズーム(白)とシャッター(赤)のボタンがある。カメラは縦長の構図になるように90度傾けて取り付ける。
写真31−7 撮影冶具の前面にはズーム(白)とシャッター(赤)ボタンがある
右のスペースには写真31−8に示すようにリモコン基板を使った配線が入っている。電源には単三電池二本(3V)を使用する。
写真31−8 冶具内部の配線(左)とリモコンの基板(右)
三脚取り付けネジを使って二台のzoom280pを冶具に取り付けた様子を写真31−9に示した。もちろん側面のリモコンは外しておく。この状態でステレオベースは100mmになる。
写真31−9 二台のカメラを冶具に取り付けた状態 前(左)と後ろ(右)
きちんと撮影されているか否かカメラ上部の液晶表示で確認する必要があるため、液晶パネル観察用にアクリル製の小さなミラーを取り付けた(写真31−10)。

写真31−10 ミラーを使って液晶パネルを見ることが出来る
zoom280pではリモコンのズームボタンで焦点距離が28mm→80mm→50mm→28mm→・・・と切り替わる。つまり三種類の焦点距離に限れば、一つのズームボタンで二台のカメラの同時ズームが出来ることになる。この様子を写真31−11に示す。
写真31−11 ズームボタン(白)を押すたびに焦点距離が28mm→80mm→50mmと切り替わる
リモコンを外した状態でカメラの電源スイッチを入れるとリモコン−即時シャッターのモードになる(ここでは使用しないが、このカメラではリモコン操作の3秒後にシャッターが切れるモードも選択できる)。マニュアルによればzoom280pにはzoom105R(Super)と同じくステップズームの機能があるとされているが、実際に操作してみるとなかなかうまく機能しない。それでもリモコンで三種類の焦点距離を切り替えできるので使い勝手は十分と思う。
これら三つの焦点距離を切り替えて撮影したものを写真31−12に掲げた。いずれもトリミングは済ませてある。
写真31−12 ズーム位置28 mm , 50 mm , 80 mmでの撮影例1(ISO100, トリミング済み)
28 mm ( L , R ) , 50 mm ( L , R ) , 80 mm ( L , R )
全体的に綺麗に撮れているが、28mmの写真では右の撮影倍率が若干大きく、左右の画角に若干の違いが見られる。もう一つの撮影例を写真31−13に示した。
写真31−13 ズーム位置28 mm , 50 mm , 80 mmでの撮影例2(ISO100, トリミング済み)
28 mm ( L , R ) , 50 mm ( L , R ) , 80 mm ( L , R )
こちらの撮影例でも28mmに同様の傾向が見られる。さらに左右の写真をよく観察すると、左の写真は奥(遠方)にピントが合っているのに対し、右の写真は手前にある木の枝にピントが合っている。これは右のカメラのレンズがより前に繰り出していることを表しているが、このため右の倍率が高くなったものと推察できる。
もちろんこういったことは50mmや80mmでも起こりうるが、レンズ−フィルム間の距離が短い28mmでより顕著に現れ、レンズ−フィルム間が離れた50mmや80mmではあまり目立たないのだろう。ここでは使用しなかったが、zoom280pはリモコン撮影でもフォーカスロックを使うことができる。フォーカスロックはカメラを個々に操作しなければならないためやや面倒ではあるが、これを使えばこういった不具合も解消されるものと思う。
PENTAX zoom280p・
リモコンを使った撮影治具・
撮影