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ステレオ写真5

プリズムフィルターを使った接写A(応用編2)

オートフォーカスカメラ

KYOCERA SAMURAI X4.0SAMURAI Z2 (Z)


1.OLYMPUS L-10 super (panorama)

 OLYMPUS L-10はCHINON GENESIS同様レンズ交換が出来ない一眼レフである。このカメラはかなり売れたようで、もちろん現行の商品ではないが中古を入手するのは難しくない。L-10には superとpanoramaの二機種があるが、スペックが少し違うだけでほとんど同じと考えて良い。搭載しているレンズの最短撮影距離は75cmでズーム範囲が28mm〜110mmであるから、2セクションやバリミラージュを使った撮影が原則的には可能である。



写真5−1 OLYMPUS L-10 panorama(左)とL-10 super (右)

 このカメラを使う上での問題はフォーカシングである。L-10はオートフォーカス専用カメラであってマニュアルフォーカスの機能がない。オートフォーカスには画面中央の小面積が使われるが、プリズムフィルターを取り付けるとこの部分がオーバーラップで乱れ、オートフォーカスが働かなくなるのである。
 ここではプリズムをスライドさせる機能を持つ治具(写真5−2)を自作してこの問題を解決した。


写真5−2 作成した治具を二つの視点から見たもの。

 L-10にこの治具を取り付けた様子を図5−1と写真5−3に示した。治具は三脚固定ねじでカメラに固定され、プリズムフィルターは治具の可動部に取り付けられる。可動部は横に10mmスライドすることができ、右にいっぱいまでスライドさせたときにプリズムフィルターとレンズの中心が一致する。



図5−1 OLYMPUS L-10 に治具を取り付けた接写カメラ。



写真5−3 治具を取り付けたカメラを二つの視点から見たもの。

 撮影時にはまず図5−2左のように、プリズムフィルターを左いっぱいの位置にスライドしてオーバーラップ部を中央からはずし、この状態でシャッターを半押してフォーカスロックする。ついでプリズムフィルターを右いっぱいまでスライドして中心を合わせ(図5−2右)、シャッターを押し切れば良い。

プリズムの稜線を中央からはず
してフォーカスロックする
プリズムをスライドし、稜線を
中央にしてシャッターを切る

図5−2 治具を使ってオートフォーカスを働かせ、撮影する。

 実際に2セクションを使った撮影例を写真5−4に示す。ズーム位置は表示されないので不明であるが、最望遠(110mm)より若干戻した位置であり、恐らく90mm前後と思われる。



写真5−4 2セクションを使って撮影した写真。(L-10 super, プログラムAE, ISO200)

 写真5−5はトリミングして整えた左右像である。フィルムについた横一本の傷が気になるが、本質的な問題ではないので目をつむっていただきたい。


写真5−5 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。

 次に2セクションをバリミラージュに変えた撮影例を写真5−6に示す。中央にゴーストのような第3の像があってかなり邪魔である。



写真5−6 バリミラージュを使って撮影した写真。(L-10 super, プログラムAE, ISO200)

 さらにトリミングしたものが写真5−7である。ゴーストのような像が写ったままであるが、これが完全に見えなくなるまでトリミングすると幅が狭くなりすぎてほとんど使い物にならない。


写真5−7 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。

 これらはプログラムAEで撮影しており絞りがカメラ任せになっているため、たまたま絞りが開放に近く開いた写真ではオーバーラップやゴーストが大きく出てしまうようである。幸いL-10には絞り優先AEのモードがあるため、ここで絞りとオーバーラップの関係を調べておくこととした。

 写真5−8は2セクションを使った撮影において、絞りをF5.6, F11, F22と変えて絞り優先AEで撮影したものである。

---------- F5.6 ---------- ---------- F11 ----------


---------- F22 ----------

写真5−8 絞りを変えて撮影した写真。(L-10 super, 絞り優先AE, ISO200)

 これらを見ただけでもF値が小さいほどオーバーラップが大きいことは分かるが、さらにオーバーラップが残らないようにトリミングした写真5−9を見ればより明白である。とにかく出来るだけ絞って撮ることが重要で、絞りを設定できないプログラムAEのカメラであれば、感度の高いフィルムを使うなどしてF値が大きくなるように工夫したい。

 
---------- F5.6 ----------
 
 
 
---------- F11 ----------
 
 
 
---------- F22 ----------
 

写真5−9 各々をトリミングして並べた写真(平行法の配置)。



2.KYOCERA SAMURAI X4.0

 SAMURAIの最初のモデル(X3.0)は最短撮影距離が1mと長目であるが、X4.0では0.8mと短くなりなんとか接写に使えそうである。またズーム範囲は25mm〜100mmで135フルサイズに換算すると35mm〜150mmであるからこちらは十分である。
 このモデルはX3.0に比べると数は少ないが、中古で手に入れることはそう難しくない。何しろハーフサイズの一眼レフはOLYMPUS PEN F かSAMURAIぐらいしかないので、ハーフサイズでステレオ写真を撮ろうと思うのなら試してみたいところである。



写真5−10 KYOCERA SAMURAI X4.0

 このカメラもL-10と同様にオートフォーカスのみで、マニュアルフォーカスが出来ないためこちらも治具が必要になる。SAMURAI X4.0用の治具を写真5−11に示した。


写真5−11 作成した治具を二つの視点から見たもの。

 実際にこの治具を取り付けた様子を図5−3と写真5−12に示した。使用法は先程と同じで、可動部に取り付けたプリズムフィルターをスライドさせて撮影する。
 治具を設計するに当たっては、レンズとフィルターの間に外光が侵入することを防ぐことに気を付けなければならない。とりわけSAMURAIは横幅が狭い形であるために、斜め後方の景色がプリズムフィルターに映って重なる恐れがあるので、後方の遮光には特に注意しなければならない。



図5−3 SAMURAI X4.0 に治具を取り付けた接写カメラ。



写真5−12 治具を取り付けたカメラを二つの視点から見たもの。

 このカメラで2セクションを使って撮影したものを写真5−13に示す。ズーム位置はややテレ寄りといったところである。SAMURAI X4.0はプログラムAEのみで、絞りはカメラ任せになる。



写真5−13 2セクションを使って撮影した写真。(SAMURAI X4.0, ISO200)

 これをトリミングして左右像を作ったものが写真5−14であるが、特に問題なくステレオ写真が撮れていることが分かる。


写真5−14 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。

 さらにプリズムフィルターをバリミラージュに変えて撮影したものを写真5−15に示す。被写体は写真5−4と同じ物である。
 この写真では四隅がケラレて少し暗くなっているが、これは写真5−13ではフィルター径55mmの2セクションを使ったのに対し、バリミラージュはフィルター径49mmのものを使ったためである。この治具ではプリズムフィルターをサイズぎりぎりまで使う設計になっているのでこういった問題を生じやすい。



写真5−15 バリミラージュを使って撮影した写真。(SAMURAI X4.0, ISO200)

 写真5−15にも中央にゴーストのような像が見えるが、写真5−6と比べると幅が狭く、写真5−16のようにトリミングでうまく取り除くことが出来た。もちろん明るさが異なるため単純に比較することは出来ないが、オーバーラップや被写界深度についてはフィルムサイズが小さい方が有利である。このことについては次回に詳しく説明する。


写真5−16 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。



3.KYOCERA SAMURAI Z2 (Z)

 SAMURAI Z2は恐らくハーフサイズとしてはSAMURAIの最終モデルである。コンパクトになったモデルSAMURAI Zの一部の機能を除いたもので、基本性能はほとんど同じと考えて良いだろう。ズーム範囲は25mm〜75mm(135フルサイズ換算で35mm〜105mm)で、テレ側(105mm)での最短撮影距離は0.7mとのことであるから必要な条件は満たしている。ここではZ2を使用したがZでも全く同じように使うことが出来る。中古での入手はZ2の方が容易なようである。



写真5−17 KYOCERA SAMURAI Z2

 X4.0と同様に治具を使ってオートフォーカスに対応する。作成したZ2用の治具を写真5−18に示す。カメラのモデルが違えば形状が異なるため、面倒ではあるが専用の治具を新たに作らなければならない。


写真5−18 作成した治具を二つの視点から見たもの。

 治具をカメラに取り付けた様子を図5−4と写真5−19に示した。X4.0に比べるとコンパクトで扱いやすい。



図5−4 KYOCERA SAMURAI Z2 に治具を取り付けた接写カメラ。



写真5−19 治具を取り付けたカメラを二つの視点から見たもの。

 2セクションを取り付けて撮影したものを写真5−20に示す。ズーム位置はテレ側いっぱいより少し戻したあたりである。プログラムAEでも十分な明るさがあればオーバーラップの少ない写真が撮れることがわかる。



写真5−20 2セクションを使って撮影した写真。(SAMURAI Z2, ISO200)

 これをトリミングして左右像を作ったものが写真5−21である。このくらいの写真が撮れればまずは十分であろう。


写真5−21 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。

 さらにプリズムフィルターをバリミラージュに変えて撮影したものを写真5−22に示す。例によってゴーストのような像が見えるが、幅はそう広くないのでトリミングで十分対処できる(写真5−23)。



写真5−22 バリミラージュを使って撮影した写真。(SAMURAI Z2, ISO200)



写真5−23 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。

 以上のようにマニュアルフォーカスが出来ないオートフォーカスカメラでも、治具を使えば十分使えることが証明できた。これで「プリズムフィルターを使った接写」の応用範囲は一段と広がったことになる。



OLYMPUS L-10 super (panorama)KYOCERA SAMURAI X4.0SAMURAI Z2 (Z)

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