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ステレオ写真6

プリズムフィルターを使った接写A(応用編3)

デジタルカメラ

OLYMPUS C-1400LOLYMPUS C-900ZOOM


1.Canon PowerShot Pro90IS

 プリズムフィルターを使ったこの方法が使えるのは、フィルムカメラでは基本的に一眼レフに限られるが、デジタルカメラでは応用範囲が大きく広がる。Canon PowerShot Pro90IS(以下PSP90ISと記す)は一眼レフではないがCCDにとらえられた画像をファインダーでモニターでき、実質的には一眼レフのように使うことができる。
 搭載レンズはマクロが可能な7mm〜70mmのズームレンズであるが、135フルサイズに換算すると37mm〜370mmで必要な条件は満たしている。プリズムフィルターを付けるとオートフォーカスは効かなくなるが、マニュアルフォーカスのモードがあるからピント合わせも問題ない。



写真6−1 2セクション、ステップダウンリングとCanon PowerShot Pro90IS


 このカメラに58mm→55mmのステップダウンリングを使ってフィルター径55mmの2セクション(写真6−1)を取り付けた様子が写真6−2である。



写真6−2 2セクションを取り付けたCanon PowerShot Pro90IS

 撮影に際してはまずズームを動かして画角を調整し、トーイン量を適正に合わせるが、これは撮影距離によっても異なるのでピント合わせと交互に繰り返して行う必要がある。
 実際にマニュアルフォーカスモードでピントを合わせてみると、LCDの表示画像が粗く結構難しい。このカメラには絞り優先AEのモード(Av)があるため、このモードを利用して最小絞りF8.0で撮影した。撮影例を写真6−3に示すが、明るさが足りなかったのでフラッシュを使っている。



写真6−3 2セクションを使って撮影した写真。(PowerShot Pro90IS, F8.0, フラッシュ発光)

 写真6−4はトリミングして整えた左右像であるが、元の写真6−3にはオーバーラップが少ないためカットする部分は僅かで済み、画面サイズを無駄なく有効に使えている。


写真6−4 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。

 次に2セクションをバリミラージュに変えた撮影例を写真6−5に示す。中央の第3の像は狭い範囲に抑えられているため、トリミングでカットするのは容易である。



写真6−5 バリミラージュを使って撮影した写真。(PowerShot Pro90IS, F8.0, フラッシュ発光)

 実際にトリミングしたものが写真6−6である。2セクションには及ばないが、左右像が綺麗に分離できるとすっきりとして見やすい写真になる。


写真6−6 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。

 このように像のオーバーラップが少ない写真が容易に撮れるのがデジタルカメラの特徴である。このことを図6−1を使って説明する。
 フィルム上に結像する光はプリズムフィルターを通過する際に所定の幅p'を持って広がっているが、この幅p'がオーバーラップの原因である。p'は撮影距離(レンズ−被写体間)をLとすると p'=(L−D)p/L で表されるが、通常L≫Dであるのでレンズの瞳径pにほぼ等しくなる。



図6−1 オーバーラップを決める要素


 一般的なデジタルカメラは撮像面(CCD)のサイズwが小さく、使用するレンズの焦点距離や口径もフィルムカメラに比べて小さいが、この結果瞳径pも小さくなってオーバーラップが減少するのである。実際にPSP90ISを135フルサイズカメラと比較すると、同じ画角のレンズの焦点距離は7/37となり、同じF値の瞳径も7/37になる。つまりPSP90ISのF8.0は135フルサイズのF42に相当する瞳径であり、オーバーラップの幅もF42相当に狭いのである。これは単にオーバーラップのみではなく、被写界深度も同様に深いことを意味しており、撮像面の小さいデジタルカメラが接写に向いていることを表している。前回少し触れたが、同じフィルムカメラでもSAMURAIのようなハーフサイズカメラは、同様の理由でフルサイズカメラよりオーバーラップや被写界深度の点で有利である。ただその程度は絞りに換算すると一絞り分になり、あまり大きなものではない。
 さらに付け加えれば、重要なのは全画面幅に占めるオーバーラップの比率p'/w'であり、w'=wD/fであるからDを増やしてもオーバーラップの比率を下げることが可能である。ただw'はフィルターサイズの制約を受けるから、これによる改善には限界がある。

 PSP90ISのズーム範囲(135フルサイズ換算で37mm〜370mm)を考えるとバリミラージュの半分を使ったテレマクロも可能なようであるが、このカメラはテレ側では撮影距離が短くとれないため、不可能とは言わないまでもやや無理があるようである。



2.OLYMPUS C-1400L

 C-1400Lは初期のデジタル一眼レフである。元々は高価なカメラであるが、今では中古品をオークションで安く入手できる。マクロ機能は十分であり、ズーム範囲は9.2mm〜28mmで135フルサイズに換算すると36mm〜110mmであるから必要条件は満たしている。



写真6−7 2セクション、ステップアップリングとOLYMPUS C-1400L


 フィルター径が43mmと小さいため、43mm→49mmと49mm→55mmの二つのステップアップリングを使って2セクションを取り付けた(写真6−8)。



写真6−8 2セクションを取り付けたOLYMPUS C-1400L

 このカメラはオートフォーカスのみでマニュアルフォーカスのモードは無いが、40cmワンタッチフォーカスモードを使えばピント合わせが可能である。すなわちカメラと被写体の距離を調整してピントを合わせるわけである。PSP90ISとは異なり、光学像を見ることができるためピント合わせはこちらの方が容易であるように感じる。
 実際に2セクションを使って撮影したものを写真6−9に示す。ズーム位置はテレいっぱいより少し戻したあたりである。



写真6−9 2セクションを使って撮影した写真。(C-1400L, 40cmワンタッチフォーカスモード)

 これをトリミングして左右像を作ったものが写真6−10である。このカメラはプログラムAEのみで、絞りはカメラ任せであるがそれでもオーバーラップは少ない。デジタルカメラの強みであろう。


写真6−10 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。

 さらにプリズムフィルターをバリミラージュに変えて撮影したものを写真6−11に示す。



写真6−11 バリミラージュを使って撮影した写真。(C-1400L, 40cmワンタッチフォーカスモード)

 トリミングしたものが写真6−12であるが、オーバーラップが少ないためトリミングロスが少ない。


写真6−12 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。



3.OLYMPUS C-900ZOOM

 C-900ZOOMはズームレンズ搭載のコンパクトカメラである。フィルムカメラでは一眼レフしか使えなかったが、デジタルカメラではLCDモニターを見ながら撮影するモードがあるのでこの手のコンパクトカメラでも使うことが出来る。撮影範囲0.2m〜0.8m(マクロモード)でズーム範囲は5.4mm〜16.2mm(135フルサイズ換算で35mm〜105mm)と必要な条件は満たしているが、オートフォーカスのみでマニュアルフォーカスも適当な距離のワンタッチフォーカスも無い。ここでは前回と同様に治具を使ってオートフォーカスに対応する。作成した治具を写真6−13に示した。


写真6−13 作成した治具を二つの視点から見たもの

 C-900ZOOMと治具、2セクションなど使用したもの一式を写真6−14に、組み立てたカメラを図6−2と写真6−15に示す。



写真6−14 治具、ステップアップリング(52mm→55mm)、2セクションとC-900ZOOM



図6−2 C-900ZOOM に治具を取り付けた接写カメラ。



写真6−15 治具を取り付けたカメラを二つの視点から見たもの。

 治具を使用した撮影方法は前回説明した通りである。プリズムフィルターをずらしてシャッターを半押ししてフォーカスロックし、そのままプリズムフィルターを正面に戻して押し切る。もちろんカメラはマクロモードで、LCDを見ながらズーム位置等を調整して撮影する。
 2セクションを取り付けて撮影したものを写真6−16に示す。ズーム位置はテレ側いっぱいより少し戻したあたりである。



写真6−16 2セクションを使って撮影した写真。(C-900ZOOM)

 C-1400Lと同様にオーバーラップが少ない写真が撮れている。トリミングして左右像を作ったものを写真6−17に示す。


写真6−17 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。

 さらにプリズムフィルターをバリミラージュに変えて撮影したものを写真6−18に示す。例によってゴーストのような像が見えるが、幅は広くないのでトリミングでカットして綺麗な写真に仕上げることができる(写真6−19)。



写真6−18 バリミラージュを使って撮影した写真。(C-900ZOOM)



写真6−19 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。


 以上、タイプの異なる三つのデジタルカメラについて「プリズムフィルターを使った接写」の応用を説明した。結局のところマクロモードとズーム範囲が条件を満たしていれば、かなり広範囲のデジタルカメラにこの方法が使えると言って良いだろう。



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