ある朝、バトフ先生が四つ折にした絵の展示会のパンフレットを持ってオフィスにやってきました。
ホーギーのお祖父さんの肖像画がそれに載っていると言うのです。
展覧会は去年の秋に開かれたものですでに終わっているものです。
同じオブス県出身の画家が同郷の好でバトフ先生に送った招待状が机の上に積まれていて、昨日整理をして捨てようとしたときに偶然見つけたらしいのです。
ホーギーの祖父は、かってハルハ河戦争(ノモンハン事変)の軍功により、多くの勲章を受けた勇敢な軍人であったそうです。
勲章で飾られた油絵の肖像画が、同県出身の有名画家によって描かれて残っていたのです。
「だから、いっぱい日本人を殺したかもしれないね」とバトフ先生は乾いた声で笑ってその絵のコピーを私たちに見せてくれました。
「これは侍が使っていたものですか?」とホーギーが聞くので、壁に近寄って見るとやや小ぶりのその刀の鞘には、昭和15年と漢字が書かれてありました。