|
「おまえ何やってんだ」 Spring comes after Summer えー、状況を整理しますと、あたしは16歳、花の女子高校生暦1年と半年のピチピチギャル(死語)162cm体重はヒミツ☆ であります。そして今あたしの手首を思いのほか大きな手でつかみあげているのは舌かみそうなヘンテコな名前を持つ正直あんたホントに高校生かよと思うくらい小学生体型の転校生・日番谷冬獅郎でございます。加えていうならあたしが手首を折られる勢いで握りしめられ日番谷冬獅郎が大きな目であたしをにらみつけているここは渋谷のスクランブル交差点の脇のトンネル下で、あたしは正直こんな夜遅くにこの小っさい転校生とはちあわせしようなんて1ミクロンも考えてなかったのでもうビックリ こりゃ明日雪でもふるんじゃなかろうか。日番谷冬獅郎は黒いアンダーと白い麻シャツを濃いめのジーパンにあわせている ほーぉディスカウントショップのものでも着る人がよいとそれなりに見えるってのは本当の話だったのか ほーぉ と思ったところでぎゅっとあたしを握りつけている手に力がこめられて痛いいたいイタイあんたまだ力だせんの!? あたしは危うくドライアイになりかけそうだった目をぱちぱちさせて日番谷冬獅郎を見下ろす。 「日番谷くん」 「なにした」 酔って千鳥足になったオヤジが日番谷冬獅郎の向こうでへらへら笑ってなんかもごもご言って「こどもはおうちにかえんなよ〜たのしんでんだからこっちはぁ」みたいなこと言ってふらふら日番谷冬獅郎の肩に薄汚い手をついた。日番谷冬獅郎は眉をひそめて「酔うなら酒なんか呑むなよ」と言った。あたしは握られてないほうの手でシャツとかスカートとかを直そうとして失敗する。マニュキア塗った爪が割れてて片手じゃボタンがとめられない。そろっと手を抜こうとしたらますます力 あああ あんた握力いくつよ! 折れる折れます現代っ子はカルシウム不足なんだからあたしの手首の骨なんか簡単に折れちゃうんだよ! 「ちょっとぼうやー」 「こいつはダメだ」 オヤジはちょっとつまらなそうに「こどもはかえんな〜」と繰り返して日番谷冬獅郎のおでことか頭とかをつつきまわす うわーあたしだったら絶対ブチ切れる 実際さっきもブチ切れてたしこのオヤジ酔ってるくせに力つよいんだよむかつく。 「その子よこせよぉ!」 あ、手はなれた。あー痛かったホントなんなんだこの子は突然あらわれて助けてくれたのはいいけど痛いっつーの てゆうか子供はこんな時間にお外をぶらついちゃいけないってお母さんに教わらなかったのかホントこの子高校生とは思えな 「大丈夫か?」 「ぁえ?」 日番谷冬獅郎があたしを見上げててオヤジは道の端っこの方で目を開けたまま寝ていた わーお意外な特技がおありなんですね。日番谷冬獅郎はあたしの爪に気づいて不機嫌そうな顔をした。 「俺、薬までは持ってねえんだ」 「いやいや。助けてくれてありがとうございました」 「おまえみたいな女はこんな所をこんな時間に歩くもんじゃねえぞ」 あたしの何を知ってそんなこと言うんだこいつは と思ったけど助けてもらった恩があるので黙って「はい」と頷きました。すると日番谷冬獅郎はちょっと笑って よし と言った うわーこの子笑えるんだ黒崎とか他の転校生といる時もいーっつも仏頂面だったからもしかして始めてかもしんない日番谷冬獅郎の笑顔? 「跡になっちまった 悪ぃ」 申し訳なさそうにあたしの手首をこすって細められた30cmくらい下にある青っぽい目を見たら右胸の下辺りが きゅーん となった。え、なにこれ! 愛 が突然 降ってきた
(これが恋ってやつか!) |