巻頭言他文章

2019年3月号

いつもザックに入れてもっていくことにしているもの

林裕至

 さわらび山の会に入って2年、月に2回から3回のペースで、山に登ってきた。
山の会に入る時に思っていたことがある。70歳までにソロで山に登る実力をつけ、里山をゆったりと歩き、富士山を見ながらこれまでの人生を振り返ること。
 さわらびのメンバーと山に登りながら考えていた。一人で山に登れるために何が必要なのだろうか。一人で登るということは、山に登り始めてしまうと誰にも聞けない、何かが起こってもすべて自分で解決しなければいけないということであろうか。
 そのために、身につけなければいけないことはなんだろう。10㎏の荷物を背負って、8時間位は歩けないといけないだろうな。地図を見ながら、自分が今どこにいるかを推理するための知識と推理力が必要だろう。何よりも、身を守るための装備とは何かを知らなければいけないだろう。等々。
 本当にいろいろと身につけなければならないことがありそうだ。この2年間、何にも考えないで山に登ってきたわけではない。徐々にではあるけれども、いろいろな山の本、特にハウツー本を読んできた。山のガイドブックも読んできた。筋力をつけるためのトレーニングも行ってきた。その中で、今回は、これまでの経験から山に登る時に、ザックに必ず入れるようになったものについて、記してみることにする。
 ①ツエルト、エマージェンシーシート、断熱シート:富士山に登った時に大雨にあい、8合目で動けなくなった時に雨による体温低下、寒さをしのげた。万一ビバークするようになった時、役に立つ、これは必需品と思った。 ②芍薬甘草湯、胃薬、痛み止め、アミノ酸サプリメント、塩分チャージタブレット、アミノチャージ飲料:檜洞丸に登った時に筋肉のけいれんで歩けなくなった。一緒に登ったメンバーの方から頂いて何とか歩けるようになった。これも必需品。③ケアリーヴ、固定用包帯、弾力包帯、三角巾、瞬間接着剤、傷洗用水、薄手袋、これは狛江で受講した講習会で山登りの必需品との話を聞いて。④5mmロープ10m:鍋割山に登った時、どうしても登れないと思ったところを会長にロープをだして頂いて登れた。ロープに頼るのではなく安心という気持かな。⑤ナイフ、ペンチ、針金:藤本さんが常備しているのを見て、これは何かの時に役に立ちそうと思えた。⑥地図、コンパス、スマホ、充電池、ヘッドランプ、ココヘリ、トレぺ:いわずもがなかな。
 その他、予備食料、水で、夏場でも、ザックは約10㎏になる。丁度良いトレーニングになっている。

2019年03月04日巻頭言:会報巻頭言

2019年2月号

 

梅の花の季節

沢田 康雄

 二月になると梅の花の咲く季節である。写真は何年か前に行った小田原の曽我梅林の様子である。園内には何万本もの白梅が霞みを掛けたように咲き乱れている。私の生まれた田舎でも近くの天神様の境内に毎年白梅が咲き、それを見に行ったものである。天神様は平安時代の貴族、菅原道真を祀った神社であるが、道真の歌に、













「(東風)吹かば においおこせよ 梅の花 主(あるじ)なしとて春な忘れそ」

と有るように当時の人は梅の花を大変愛した。花見と言えば、桜ではなく梅であったという。後に桜はソメイヨシノという派手に咲く品種が生み出されて、現代は桜の方が関心度は高いが、梅の持つ独特の何とも言えない香りと桜とは違った品の良さは早春の大きな楽しみである。

梅は花だけではなく、実も日本人を楽しませてくれる。梅干しは日本人の食生活には欠かせない食べ物である。おにぎりに、お茶漬けにと食用される。私の母は毎年梅干しを作った。夏の陽に干された梅と紫蘇の香りが懐かしい。あと梅酒を忘れてはいけない。我が家では毎年、青梅を焼酎、角砂糖で仕込み、初秋になると素晴らしい香りと何とも言えないコクの有る甘みを楽しむことが出来る。

桜もそうであるが、近年梅の木の病気が有るようで、近場の青梅市の梅林が全伐採された例が有る。対策が取られているようであるが、長く日本の美しい風景が残ることを願う。

2019年01月26日巻頭言:会報巻頭言

2019年1月号

新年雑感

篠原延和

 新年あけましておめでとうございます。
本年も皆様に取りまして良い年でありますよう祈っております。
皆さんと多くの山に登りたいのでどうぞよろしくお願いします。

 1年の計は元旦にありと言います。皆さんの今年の抱負は決まりましたか。
 山に登るには用具(装備)とある程度の体力(速力)と知識(学習)そして技術(訓練)が必要なのは周知のことと思います。単独かグループ登山の違いもあります。
用具(装備)と言っても日帰りハイキング、小屋泊、テント泊、沢登り、クライミング、雪山とジャンルに依って様々です。先ずは自分がどのジャンルで山と向き合うかが決まればおのずと揃える用具も決まります。
長野県では山域を初級者、中級者、上級者と大別しています。上級者コースに登るには体力(速力)がないと登れません。自分が1日何時間ぐらい行動可能かに依って決まります。6時間か倍の12時間かと問われたらどうですか。朝の4時に出発して16時に小屋に着けば12時間です。小屋泊なら10㎏背負えれば大概の場所に登ることが可能ですがテント泊ならボッカ力が加味されます。日数にもよりますが15~20㎏背負えないとテント泊は諦めて小屋泊となり登れる山も限定されます。
 知識(学習)もある程度必要です。全般的には地図読み、崖が出てきたら、落雷の恐れがある時は、道に迷ったら、増水したら、雪渓が出てきたら、ホワイトアウトの時は、下山遅れでビバークすることになったら、怪我をしたら等々でしょうか。
 バリエーションルート、沢登り、クライミング、アイスクライミング、雪稜のある雪山に行くとなればロープワーク等の技術(訓練)が必要になります。
 ・・・なんて綴ってきましたが私が上記の全てを習熟しているわけではありませんし私自身もまだまだ知識不足、技術不足を補って行かなければと痛感しています。
年齢を重ね大部ボケてきていることは認識していますがまだまだ人生の通過点として自身の身の丈範囲内であらゆることに挑戦をして行こうと思います。
脳ミソの退化は年齢としても、筋肉は年齢に関係なく使ってやらないと衰えるそうです。月に2回も山に登れば現状維持で続けられることを願いながら向かいます。
さあ1月は1年のスタートです。ある程度目標を持って取り組まないと1ヶ月なんてあっという間に通りすぎて行きます。12月のゴールを目指しましょう。


2019年01月01日巻頭言:会報巻頭言

2018年12月号

道しるべ
                     中村由博

山頂で吹き荒ぶ寒風に晒されながらも佇む『・・・山』の標識を見る度に僕は安堵し、『ここを狙ってやっと来たのだ!この足で!この自分が・・・!』と喜びが湧いてくる。誰もが山麓から歩き続けて頂上を極めたときはこのような気持ちになるに違いない。山仲間とパーテイで登頂し、この標識の前でお互いに握手して讃えあうこの瞬間は極上であり、生きている実感を味わえる。標識を撫でて抱きしめる人もいる。そして記念撮影に興じる・・・。感無量。
何処の山でも山頂にある標識は単なる山名を示しているだけでなく、『道しるべ』であり先人たちが我々に対して残した鋭いメッセージでもある。
さて、昨年11月に沖縄本島最北端にある安須森御嶽(辺戸御嶽・黄金山)という信仰の山に登った。鬱蒼とした木々の間に続く急峻でゴツゴツした石灰岩の肌が向きだした登山道の脇にはいくつかの祠があり、沖縄最高の聖地を示していた。標高は248mの山だが汗をかきながら進み森を抜ければ、360°の絶景が見渡せる山頂に到達した。南東方向はものの見事なヤンバルの森、南西~北側の東シナ海に伊平屋島、北はうっすらと与論島が眺められた。右手の北東から南側に広がる太平洋はまるで水平線と空との境目もないように陽光を真正面に受けていた。僕は言葉を失うほどの素晴らしい眺望を前にして暫し立ち尽くした。頂上には沖縄独特の形をした立派な祠が鎮座してあった。その前では厳粛な気持ちとなった。
眼下にはこの安須森御嶽山頂に立つ2時間前に見学した沖縄本島最北端の辺戸岬が小さく望めた。辺戸岬に建立されていた立派な『祖国復帰闘争碑』の台座に書いてあった碑文が頭に過り、ギュッと両手の拳を握り締めた。
    『   全国のそして全世界の友人に贈る
     吹き渡る風の音に耳を傾けよ  
     権力に抗し復帰を成し遂げた大衆の乾杯の声だ
     打ち寄せる波濤の響きを聞け 
     戦争を拒み平和と人間解放を闘う大衆の雄叫びだ
          ・・・・・・
          ・・・・・・
        沖縄本島の北端、辺戸岬1972年4月建立 祖国復帰協議会   』 
 ウチナンチュー(沖縄人)がヤマトンチュウ(本土の人)への雄叫びであった。

 山を登頂し『・・・山(岳)』を目にしたときにはいろいろなこと(世間・山・自然・人生・社会)即ち森羅万象が思い浮かび人生の『道しるべ』になる山頂碑を触るのが楽しみである。


2018年12月03日巻頭言:会報巻頭言

2018年11月号

偶然の出会い

斎藤 優子

 私は超がつくほど、正真正銘の運動音痴です。逆上がりはできたことがありません。大人になってできない、なんて生易しいものではなく。ただの一度もできたことがないのです。ボールを投げれば目の前に落ち、ドッチボールで外野から味方にボールが届きません。走ればビリ、鬼ごっこで鬼になったらずーっと鬼のまま。体育大嫌い!おままごと大好き、読書大好き、というインドア少女時代を過ごしました。そんな私ですが、子どもの頃のガールスカウトの経験や、歩くことが好きな両親の影響から、ハイキングやキャンプは身近な楽しみでした。学生時代も、山岳部出身の恩師や、アウトドア好きの同期との縁がありました。よく、「山を始めたきっかけは?」と聞かれますが、これといったきっかけがあった訳ではありません。ただ、登山遠足も大嫌い、ついていけるか不安だらけ、という登山のイメージから、自分のペースでゆっくりゆっくり歩いていけば疲れないし、こんな私でもいつかは山頂に到着して、ものすごい達成感を味わえる!ということに気付いたあたりから、他のことは一切考えられないくらいに山に夢中になっていきました。
 一つのことに夢中になると、周りも呆れるくらいにのめり込む性格故に、山にもどんどんハマっていきました。なぜ山に登るのか?達成感、風景、お花、お酒や美味しいもの…答えは一つではありませんが、不思議だなと思いながら楽しんでいることの一つに、人との出会いがあります。ガイドツアーで仲良くなり一緒に山に向かうようになった友人たち、互いの友人を誘い合って山へ行って知り合った人たち、偶然に次ぐ偶然!約束なんてしていないのに、あちこちの山でなんとこれまでに4回もお会いしている方もいます。
 さわらび山の会との出会いも、そんな偶然の重なりでした。山で出会ったお友達Tさんの計画で、北八ヶ岳のスノーハイクに行くことになっていました。しかし、直前にTさんは体調不良。Tさんのお友達のYさんと私の2人で行くことになりました。Yさんとは、行きのあずさで「初めまして!」という間柄。それでも、山の話に花が咲いて、あっという間に打ち解け、またまた山の不思議なご縁だわと思っていました。宿泊した山小屋で、お酒を飲みながら、Yさんが「ツアーもお金がかかるじゃない?だから山岳会に入ろうかと色々調べているの。この会が良さそうなんだけど、私の家からは遠いの。あなたのところから近いんじゃない?」とさわらびのホームページをスマホで見せてくれました。近いけど…山岳会なんて私には無理…と思っていました。そして、談話室の向かいに座ったグループの方と、「どちらから?」なんて話始めたら、さわらび山の会のお三方!こんなことってあるでしょうか。例会の場所と時間をお聞きし、それでもやっぱり勇気がいるな…と思いましたが、こんなご縁またとない!と、勇気を振り絞って例会見学に伺ったのです。
 あれから1年半、逆上がりもできない私には、思いもよらなかった経験をたくさんさせていただいています。山のご縁…奇跡のようなことが起こるものだなぁと感じています。


2018年11月05日巻頭言:会報巻頭言

2018年10月号

 

森 正一

私は小さい頃から高い所が苦手でした。
でも柿の木などに登って遊んでた自分も有り、高所恐怖症といっても微妙なところがあります。
木に登ったりはある程度できるものの、梯子をかけて屋根へ上がるとなると怖さが増して、なかなか上がることが出来ません。
しかし、まだ会社勤めをしていた頃に、高所作業の講習を受けさせられ、退社後、
会の花見として行った鷹取山で、岩を登ってるのを見てるとすごく興味を惹かれ、試しに少しだけ登ってみたところ、あまり恐怖心も出ずに楽しめました。まあ、高さもそれ程ではなかったからでしょうね。
その後、例会でレスキューの講習もあり、それ以来クライミングやボルダリングに対して、すごく興味を持っています。
しかし、それ以前に足腰の状態に問題があり、聞いてはいたものの、これ程早く筋力が衰えてくるとは思ってもいなかったので、やってみたくても手も足も出せずにいます。
足腰を鍛えれば少しは良くなるのでしょうが、なにせ怠け者なので中々やる気になりません。楽しみながら出来る様な事であれば、少しくらい辛かろうがやれると思うのですが、単に体力を酷使するだけだと、やっぱり怠けてしまいそうです。
と言う事で、私の当面の課題として、散歩も億劫がらずに出かるようにして、無理をせず少しづつ鍛えていく様にしようと考えています。


2018年10月05日巻頭言:会報巻頭言

2018年9月号

登山と老後

中村 明

 私事ながら、今年度いっぱいで定年である。昨年、さわらび山の会に入会した動機の一つとして「老後のため」がある。定年になると、暫くはよいが、ある程度日が過ぎると毎日が単調となり、何もすることがなくなり、家庭ではやっかいものになるとよく聞く。
私は登山以外にサイクリングやマラソンを若いときから続けており、そのせいか比較的規則正しい生活が送れて、大病もしたことがなく、メタボからは縁遠い。体力はだいぶ低下したが、このまま老後も続ければ健康面において当分不安もなく、精神的にも充実した日が送れるであろうと希望的観測をしている。
登山は今から6年前に職場の人から誘われて始めた。それまではマラソンの練習の一環として高尾山や陣馬山周辺をトレイルしたりして若干の山登りめいたことをしていた。丹沢山系周辺から登り始め、登山用具も段階的に揃えていった。
サイクリングやマラソンと登山はスポーツの観点から、ややもすると同じ範疇にとらえられがちであるが、少し違う。サイクリングとマラソンは有酸素運動で道路を利用するが、どちらかというとサイクリングは登山にやや近い。50年ぐらい前にエコロジーという言葉が流行った。自然保護運動のことである。サイクリングは自然環境にやさしい乗り物として一時的にブームとなった。ここ10年程またブームが再来しているが。両者ともあらかじめ計画立をたて、マイペースで景色やコース、食事を楽しむことができる。また、道路環境や自然環境の急激な変化に対して適切・速やかな判断・行動が要求される。しかし、サイクリングは集団よりも個人向きである。マラソンはマラニック(リュックに食事などを入れて自由に自然路などを走る)を別としてレースでは決められたコースを制限時間内に完走しなければならない。誰でもが参加できるスポーツではない。その点、登山は時間制限も老若男女の区別もなく、ある程度の体力があれば、誰でも参加でき、個人でも集団でも行うことができる。一口に登山といっても岩登り、沢登り、トレッキング、雪山登山、山スキーなど種類も豊富である。体力のレベルに応じて日帰り登山や縦走などその規模を自由自在に設定できる。また、登山の過程で動植物や地形・地質、河川等の観察ができ、自然に対する造詣や畏敬が深まり、感覚が鋭敏になる。さらに山の会のようなコミュニティに入ればグループ登山ができる。おのずとチームワーク感が醸成され、単独登山ではなしえない新たな発見や技術を習得することができ、山の世界が広がる。このように登山は、様々な体力レベル・趣向の人でも楽しむことができると共に、計画作りや道中の適切・速やかな判断・行動といった能力が求められるため、老後にふさわしい余暇活動と思う。

2018年08月24日巻頭言:会報巻頭言

2018年8月号

私の山登りに必要な体力作り

林裕至

さわらび山の会に入って山に登る機会が増えた。自分の体力の無さ、山に登る脚力の無さを痛感した。10㎏超のザックを背負った6時間を超す山行では、息切れがして足が重くなり、登りは少し歩いては休みを繰り返し、速度が遅くなった。
ご一緒した10㎏のザックを背負った70数歳の藤本さんは足取り軽く登っていく。藤本さんにお聞きすると、随分と以前から足首ウェイトを着けて階段の昇り降り、ウォーキングを続け、ストレッチも欠かさず続けているとのことであった。私はというと、週に2日程ジムに行って、1時間位汗を流す程度。これでは、基礎体力がつくどころか、年齢とともに体力は下降線をたどり身体の柔軟性もなくなっていく。当たり前のことに気付かされた。好きなことを長く続けていくためには努力を惜しんではいけない。これは鉄則である。
しかし、特別メニューを作ってやろうとしても3日坊主で終わることはこれまでの私の経験から明らかであった。そこで、生活の中に取り入れてトレーニングを行うことにした。以下が今実践しているトレーニングである。
(1)平日は通勤、仕事をしているので、この間は足首ウェイト片側1㎏を付ける。
(2)通勤途中の階段はエスカレータを使わない。空いている階段は2段登りする。
(3)週に1回程度、境川沿いを5㎞程ジョギングしているので、この時は足首ウェイトを着けてゆっくり走る。
(4)通勤はリュックサックを背負っているので、これにウェイトを入れて、常時10㎏程度にして背負う。
(5)寝る前と朝起きた時にベッドの上で寝たまま、足首廻し、腰のひねり等のストレッチを行う。
(6)昼休憩時の歯磨きの時に、高橋克典がTVで紹介していた足廻しを10回程度、スクワットを20回程度、ストレッチを数分行う。
 生活の中に取り入れたこともあってか、時々さぼってはいるがまあなんとか8か月程続いている。まだ、体力がついたという実感は湧いてきていない。やはり、最も効果的なトレーニングは山に登ることかなとの思いでせっせと山登りに励んでいる。

2018年08月02日巻頭言:会報巻頭言

2018年7月号

知り得る幾人かの登山道をなした先駆者たち随感
                                萩原孝雄
 私の歩いた山域そして、黒部の山賊(伊藤正一著)から「登山の黎明(れいめい)と開拓」を想う。杣人(そまびと)などと猟師、修験者が山を拓(ひら)きその足跡を一(いち)登山者として今日、俯瞰(ふかん)で連山と下界のビューを眺め得るのは開山に関わった人々が有ったればと、想起している自分が居て、節目として若きころ、好んで馳せて歩いた北アルプスの過ぎ去りし点と点を紡(つむ)いで見た。
 北に存(そん)する大町から白馬岳(越後、越中、信濃の藩境)を開いた父とされる松沢貞逸。中央では阿弥陀様の導きから「立山」を開山縁起とされる佐伯有頼の伝説、芦峅寺の宿坊や案内人。針ノ木岳~立山ルートの基と成る針ノ木岳への山小屋を発起した「對山(たいざん)館」の百瀬慎太郎(山思えば人恋し人を想えば山恋し、と歌人でもあった百瀬が詠(うた)った)、いずれ五竜岳~鹿島ケ槍岳~白馬岳に足びく後立山として大町~針ノ木岳は基線となって行った。南に位置する槍ヶ岳、初登擧は中田又重郎と播隆上人とされ、越中に生まれた播隆が厨子(ずし)を頂上に納めたと史実の開山者、雄山や薬師岳からは南に遠望する槍の姿は、登るに登りたいの願望が強く湧き上がる山には映らず青春の自分には目に焼く神聖さから、敬虔(けいけん)に写り眺めてながめ抱く山容(やますがた)であったが未(ま)だ踏まずと、記憶を遡上する。     
 一昨年に亡くなられた三俣山荘の伊藤正一氏の著書から半世紀前の黒部奥、私が歩き通り過ぎたカベッケが原に幻想の山世界が有ったと知るが、当時とのラップは古くてセピア色帯びた数枚の写真にそんな幻影をかさねてみるが現(うつつ)でしかない。でも書き物の世界は面白い,黒部の山賊と名ざされた猟師たちが熊、カモシカ、イワナ獲りで生業していたが著者が所有した三俣山荘を彼ら山賊達に乗っ取られている状況下、ある出合から彼らが所有者の配下として山小屋の隆盛(りゅうせい)に力となり雲の平周辺の今日の礎を創り得るなど予想だになかったと思われるが、やがて「伊藤新道」の普請(ふしん)の為、協力者となって黒部の山歴史を色深く飾ることに至ったと物語では個性豊かな人々として描かれ、遠山富士弥、鬼窪善一郎、倉繁勝太郎の名が記されている、変人と察する狩人達(平野では有り得ない精神に生きた山人(やまひと))で著者と共に読後の憧憬(どうけい)が降り下りて憶えに染まった。
 人が分け入らなければ、敢えて有れば獣道、職能の人々が足跡(あしあと)を重ね続けて道程(みちのり)と成しその足影に山(やま)流転(るてん)と先人達を忍び乍ら、残された山歩きから自分のページイン山日誌を残したいものだ昨年夏、南岳から上高地への下山途中での天狗池はほゞ無風水面(みなも)には、さざ波も起(た)たず槍ヶ岳の穂先までのデティールが描き出され思わず神秘を天狗様がうちわを煽(あお)ぎ池面(いけも)に複写したのではと錯覚すらし、あの頃はその人の難行に次ぐ難行を思う眺め仰ぐ遥かに居(い)座(すわ)す其処(そこ)にある「槍ヶ岳」だった。何れ頂上(てっぺん)を描くのだろうか、播隆上人、幻の足跡を踏めない心持ちで時代(とき)がフリーズした儘(まま)の今も、そんな自分が居る。

2018年07月05日巻頭言:会報巻頭言

2018年6月号

茶摘みの季節
                           沢田 康雄

5月の最盛期は過ぎたが初夏は茶摘みの季節である。日本の唱歌の「茶摘み」は以下のように歌っている。

夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
「あれに見えるは茶摘みじゃないか
あかねだすきに菅の笠」

日和つづきの今日このごろを
心のどかに摘みつつ歌ふ
「摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ
摘まにゃ日本の茶にならぬ」


私は埼玉県の狭山市の生まれで「狭山茶」
の産地である。
中学生の頃には「茶摘み休み」と称し、
学校が休みとなって近くの茶畑農家に行って茶摘みのお手伝いをした。大きな籠を持って一日中作業に励み、手が茶渋で黒くなった。摘んだ茶葉の重さを量っていくばくかの駄賃をもらった。

緑茶には多くの効能が有るといわれている。緑茶に含まれているポリフェノールとカテキンが細胞のガン化を予防し、あるいは緑茶に多く含まれるビタミン類が発ガン物質の作用を抑制するという。また、血圧上昇物質の生成阻害作用があるということが、各研究機関で相次いで発表されており、お茶を飲むことによって、善玉コレストロール(HDL)が体内に増え、動脈硬化を予防するという。その他、老化防止、糖尿病予防、記憶力向上、肥満抑制等が有るという。私は朝食後、必ず濃いお茶を大きめのカップに一杯飲むことにしているが、現状の体形を見ると肥満抑制には一杯では足りてないと思われる。

山に出かける時には水ではなく、お茶のペットボトルを持って行く事にしている。水より美味しいし、体にいいと思うからである。

2018年06月17日巻頭言:会報巻頭言

2018年5月号

安全登山

篠原延和

「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する日」の主旨のもと、平成25年5月23日に国民の日に関する法律改正案が国会で成立し、平成28年1月1日に施行され、8月11日が国民の祝日「山の日」となりました。

山の日の他に「海の日」7月16日前後、「体育の日」10月10日前後があります。こちらはハッピーマンデーになっているので日曜日に重なると月曜日が休みになるので3連休となりありがたい制度となっています。

扨、安全登山だがほとんどの自治体が登山届提出を求めています。
登山届を提出する義務
①無計画登山を防止し、しっかりとした行動計画を立てるため
②登山に同行するメンバーと山行情報を共有するため
③緊急時の捜索活動をスムーズに行うため
④「山岳保険」との「登山届(登山計画書)」の関係性

登山届の提出方法について
登山届は会に提出するのは当然のことですが、家族、同行者に渡すだけではなく、「警察署」に提出する必要があります。この提出については、下記の方法があります。
①登山口の近くにある「登山ポスト」に提出する。
②あらかじめFAXや郵送で提出する。
③メール(インターネット)で提出する。
このメールの提出先は各県様々ですが、「コンパス(公益社団法人 日本山岳ガイド協会)」を利用すれば全国の警察署及びココヘリにも対応しているようです。
アドレス=www.nt-compass.com   どうぞ利用して下さい。
4月にお知らせの通り労山でも「ココヘリ」を推奨していますので入会のよい機会と思います。5月31日までの手続きは入会金が無料になります。

長野県、岐阜県、富山県、群馬県は条例がありますので登山届未提出ですと罰金が発生しますので注意して下さい。提出して安全登山を心掛けましょう。


2018年05月08日巻頭言:会報巻頭言

2018年3月号

山道具遍歴(の地獄?)

                       甲斐 公従
 山を始めると増えるのが装備。ストーブ、コッヘル、アイゼン等の金属系や、服、テント、ザック、靴等のファブリック系の装備等が山域と季節の対応に迫られて増えてくる。しかし、それだけでは収まらない物がある。そう!持っているだけで所有欲を満足させてくれる趣味の物、それは人それぞれだが、僕の場合は仕事柄から金属系に嵌まっている。
 ライト&ファーストを目指しアルコールを燃料とする軽量コンパクトなストーブに熱中するも無風で暖かい季節でなければ厳しい。次に、ガスを燃料とするストーブを手に入れるも軽量で手軽だが残量が解りにくくガス缶も意外に嵩張る上に冬期はガスの種類によっては使えない。ではという事でガソリンを燃料とするストーブを手に入れる。ガソリンをガス化する余熱の儀式が必要だが着火してしまえば場所や季節を問わずに安定して使える頼もしいいストーブ。着火の時に炎が盛大に出たり、ガソリンの臭いがあり室内やテント内での気軽な使用は難しいことや、重い、嵩張る等の欠点があるが所有欲を満足させてくれる僕にとっては最強のストーブ。
 気が付けばアルコール系は自作も含めて4種類、ガス系は3種類、ガソリン系は3種類、とこんなにいつ使うの?という程の品揃えだが万能なストーブは存在せず状況に応じて使い分けるというのが最良という結果。















趣味の他に増える要因の一つがパッキングの美学?だ、容量に限りある山行ザックにいかに美しく詰め込むか、となるとストーブの他に鍋やフライパン、箸、フォークの他にスプーン等のカトラリー、調味料容器等をマジックの様に組み合わせてはジャストフィットを求めるも満足の組み合わせがなく増え続ける一方で煩悩から抜け出せない。まあ!これも社会貢献の一環と考えれば良いかなと!無理やり納得させているが、みなさんは如何?



2018年03月08日巻頭言:会報巻頭言

2018年2月号

スマホを安全に使おう

 最近ではYAMAPに始まりスマホで使える地図アプリ等が増えてきて、腕時計にまで入ってくる時代ですから本当に便利になりましたよね。
でも便利だからと安易に考えていると隙を突かれる事もありますので、十分気をつけましょう。危ないアプリはウインドウズだけでなく、スマホ用アプリにも「ウイルス」、「ワーム」などが仕掛けられている事もあります。ダウンロードする場合は、そこのサイトが本当に間違いないのか、よく確認してから行う様にしましょう。
アンドロイド機を使っている場合は、iPhoneと違って正規のサイト(Google Play)以外からでもアプリをダウンロードする事が出来てしまいます。その場合の危険度は、グーグルからダウンロードするよりもはるかに増します。
最近でもGoogle Playからダウンロードしたアプリに、「マルウエア」が仕込まれていた事があったようですので、安易にダウンロードしないよう気をつけてください。
またパスワードの管理にも気をつけたいですね。複数のパスワードが必要なのに、同じパスワードを使い回すのも非常に危険です。
ここで簡単なパスワード作成方法を紹介しますので、参考にしてください。
作成方法:その場で思いついた事とか、周辺を見た景色の状態などを言葉にして、それをローマ字で書いて見ます。例えば、「公民館に行くにはエレベーターで6階へ上がる」をローマ字でKouminnkann ni ikuniha erebe-ta- de 6kai he agaru と書きます。
一般的にローマ字で書く時は上記の様に分けて書きますから、その先頭の文字(下線が引かれた文字)だけを抜き出すと、「knied6ha」と言う意味不明な文字列となります。実際に使う時は、この中の所々を大文字にして、さらに数字も幾つか挿入すると桁数も増やす事もできます。 knied6ha í k9NIeD67hA これで10桁のパスワードが完成した事になります。#,$,%などの記号も含めるとさらに強固となりますが、使えない記号もありますので注意してください。
またサイトによってはパスワードを忘れた場合の暗黙の質問を設定させる所もあります。最近はこれを設定しないサイトが多くなりましたが、この手の質問には正直に答えを書かない様にしましょう。推察されやすくなりますので、答えはトンチンカンな方が安全です。例えば、「好きな食べ物は?」という質問に対して「何それ」とか「晴れてるなあ」とか意味不明な答えを設定しておくと推察されにくいでしょう。
これからもスマホ、PCなどが安全に使える様に心がけていきましょう。


2018年02月07日巻頭言:会報巻頭言
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