さくらんぼの実る頃。




さくらんぼの実る頃。

私はよっすぃーを思い出すことでしょう。

きっと、ずっと。

おばあさんになってしまっても。

私によく似た孫娘が出来たなら、話して聞かせるかもしれません。

昔。

さくらんぼの実る頃。

私は恋をした、と。

今でもその人を、一番愛している、と。

みんなには内緒だけどね、と付け加えて。

いたずらっぽく笑いながら。

皺しわの口元に、指を一本寄せて。



さくらんぼの実る頃。

それは、人生で一番輝いていた頃。

私はよっすぃーに出会い、恋をした。

きらきらと輝く時の中で。

私は夢中で、よっすぃーの手を握っていた。

そっと抱き寄せてくれるその腕に身を任せ、幸せに震えていた。

けれどさくらんぼの実りの時は短く。

よっすぃーは去り。

さくらんぼの赤い雫が私の胸を染め上げた。



さくらんぼの実る頃。

もう二度と戻らない、あの日。

けれどこの季節が巡ってくるたびに、私は思い出すでしょう。

よっすぃーのことを。

彼女を深く愛したことを。

彼女に深く愛されたことを。

そして、確認する。

…今でも、深く愛していることを。

さくらんぼの実る頃。

その思いの全てを胸に秘めて。

私は来年も、この季節を迎えることでしょう。