「ダンテの木」としては A. 1. 方面からこっち、随分幹と離れてしまいましたが、個人的な嗜好に基づいてそのまま書き連ねます。r(^^;
この天皇賞、鞘次郎もテレビ中継で見た憶えがあります。残念ながらスワンSの方はあまり記憶にないものの、秋天決着後のあの何とも気マズいざわめきは、忘れがたいものでした。似たような気マズさは、91/94/98年の同レースでも体験しましたが、それでも府中2000の秋天は、毎年私の最重要レースですね。これで肩の力も抜けたのか、ウイナーはその後マイルCSを連覇、その華々しい経歴にピリオドを打ちました。通算成績は26戦16勝。これを距離別に詳しく見ると、以下のようになります。
| 距離(m) | 優勝 | 2着 | 3着 | 着外 | 備考 | ||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1200 | 4 | 0 | 0 | 0 | |||||||||||||||||||
| 1400 | 5 | 0 | 0 | 1 | 唯一の着外は落鉄
| 1600 | 5 | 3 | 0 | 0 | 2着は2度とも不良馬場
| 1800〜 | 2 | 0 | 1 | 5 | |
計 | 16 | 3 | 1 | 6 | うち重賞10勝、G1を3勝 |
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参考までに…父馬の輸入にも携わった生産者・下河辺俊行氏は、この親子を比べて「スティールハートは筋肉もりもりのベン・ジョンソン型で、ウイナーは柔軟性のあるカール・ルイス型」だと形容されています(『季刊/名馬』1996夏 No.11 より)。
| ニホンピロウイナー 1980 牡 黒鹿 / FNo. 3-l / Turn-to 系 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| *スティール ハート Steel Heart(IRE)1972 黒鹿
| Habitat 1966 鹿
| Sir Gaylord 1959 鹿
| Turn-to 1951 鹿
| Royal Charger | Nearco | |
| Source Sucree | Admiral Drake | |||||
| Somethingroyal 1952 鹿
| Princequillo | Prince Rose | ||||
| Imperatrice | Caruso | |||||
| Little Hut 1952 鹿
| Occupy 1941 鹿
| Bull Dog | Teddy | |||
| Miss Bunting | Bunting | |||||
| Savage Beauty 1934 鹿
| Challenger | Swynford | ||||
| Khara | Kai-sang | |||||
| A. 1. 1963 芦
| Abernant 1946 芦
| Owen Tudor 1938 黒鹿
| Hyperion | Gainsborough | ||
| Mary Tudor | Pharos | |||||
| Rustom Mahal 1934 芦
| Rustom Pasha | Son-in-Law | ||||
| Cos | ||||||
| Mumtaz Mahal | The Tetrarch | |||||
| Asti Spumante 1947 栗
| Dante 1942 黒鹿
| Nearco | Pharos | |||
| Rosy Legend | Dark Legend | |||||
| Blanco 1932 芦
| Blandford | Swynford | ||||
| Snow Storm | Buchan | |||||
| ニホンピロ エバート
1974 鹿 | *チャイナロック China Rock (GB) 1953 栃栗
| Rockefella 1941 黒鹿
| Hyperion 1930 栗
| Gainsborough | Bayardo | |
| Selene | Chaucer | |||||
| Rockfel 1935 黒鹿
| Felstead | Spion Kop | ||||
| Rockliffe | Santorb | |||||
| May Wong 1934 栗
| Rustom Pasha 1927 鹿
| Son-in-Law | Dark Ronald | |||
| Cos | Flying Orb | |||||
| Wezzan 1924 栗
| Friar Marcus | Cicero | ||||
| Woodsprite | Stornoway | |||||
| ライトフレーム 1959 黒鹿
| *ライジングフレーム Rising Flame (GB) 1947 黒鹿
| The Phoenix 1940 鹿
| Chateau Bouscaut | Kircubbin | ||
| Fille de Poete | Firdaussi | |||||
| Admirable 1942 黒鹿
| Nearco | Pharos | ||||
| Silvia | Craig an Eran | |||||
| グリンライト 1947 栗
| *ダイオライト Diolite (GB) 1927 黒鹿
| Diophon | Grand Parade | |||
| Needle Rock | Rock Sand | |||||
| 栄幟 1938 鹿
| *プライオリーパーク Priory Park (GB) | Rocksavage | ||||
| 賀栄 | *ガロン Gallon (GB) | |||||
| SireLine for Windows Ver1.50 - Build 547 / 9代クロス血統表はこちら | ||||||
ま、これらの成功をすべて「Hyperion と Son-in-Law の神通力」に帰すのは無理ですけどね。名牝(Lady Josephine や Gondolette 〜 Serenissima、Cinna など)の助力で成立している配合も多いですし。その後、このニックは〈組み合わせクロス〉としても有効に働くことが確認されます。
余談ながら、鞘次郎は現代における プリンスキロ Princequillo とリボー Ribot のニックこそ、かつての Hyperion & Son-in-Law と同様の働きをするものだと見ています(… Princequillo と Nasrullah ではなくて、ね)。
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この Buchan燭raig an Eran という組み合わせは、〈疑似クロス〉の一種、〈3/4同血クロス〉であると言えますが、実は日本でも大変古典的なものだったりします。
嚆矢と言うべきは「アングロアラブの史上最強馬」セイユウ(1954 牡 鹿 by *ライジングフレーム ― 読売カップ春秋制覇 他、アラブ相手では24戦21勝。セントライト記念 他、サラにも5勝!) でしょうか。またその後、天皇賞馬オーテモン、桜花賞馬トキノキロク、オークス馬チトセホープらを輩出して一世を風靡した*ライジングフレーム Rising Flame と*シアンモア Shian Mor のニックも、やはり同様の形式でした。
とりわけ電撃5f戦はその傾向が強く、ナンソープSは初期40回(1922-63年)で14勝、キングズスタンドSは中期50回(1914-75年)で12勝しています(他に6f戦ジュライCを13勝)。したがってその勢いは、当時 The Tetrarch や Sundridge のラインを軽く凌駕していたと言えます。実はこの系統に関しても、Sunstar の場合と似た構図があります。
またこの系統は日本にも盛んに輸入され、初めての三冠馬セントライトや快速サクライワイ(母父は*ハロウェー、祖母父は*ダイオライト!)など優れた産駒を出しましたが、残念ながらそのほとんどは一代限りに終わりました。
その後、欧州でもこの父系は急速に衰えましたが、Rough Shod やオーマツカゼから続く名牝系に見るように、母方に入っての重要性はいまだ失われていません。
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※ 純粋にクロス馬として比べると、重要な要素の集合である Nasrullah はいわば「総合ビタミン剤」、近交馬かつ名競走馬の Hyperion は「プロテイン」のようなものですから、後者の方が有効だと考えられます。にも関わらず、普通前者の方が血統表の近い代でクロスするので、配合上しばしば問題となるわけですね(*トニービン Tony Bin の逆説的な価値もここにあります)。もっとも、こうした昔気質の配合は、スピードには優れていても早熟であるわけではないので、ニホンピロウイナーの活躍産駒は、大抵「遅れてきた馬」として台頭してくることになります。極端な話、クラシックやPOGにはほとんど無縁な種牡馬と言ってもいいでしょう。
2000/02/27 ― ( Revised on 2000/03/01,03/04,03/15,07/29 )
主な参考文献:IK血統研究所 編:『I理論で読むスタリオン・ブック '97〜'98/'98〜'99』,光栄,1997/98
有芝まはるさん:「'Ere I Die Now..〜1921年英ダービーと、スピード馬の時代」『競馬通信大全 Vol.31』,1999.10
A.Tさん:「種牡馬辞典」 〜 データサイト Bubble Company
2001/09/19