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小学校1年の時であった。身体検査の後、家で夕食時に血液型がA型であったと父に伝えると、一瞬、父の顔色が変わったことを今も鮮明に覚えている。中学生になって、父はB型、母はO型であることが理解できた
父と母、父と私にはいろんな人生ドラマがあったが、それも過去のこととなった。
各地を転々とし、北海道に移住した父が肺梗塞になり、喪服を持ってかけつけたことがあった。幸い、父は一命を取りとめたが、その時、医者から「輸血の時、念のために検査したが、表試験ではA型だったが、裏試験ではB型であった」と説明されたという。「戦地で大量の輸血を受けて手術し、内地に帰ってからも2回、大量の輸血を受けて手術しているので、血液型が混じったのだろう。血液型のことは、もういいんだ」と述べた父は、私を血の繋がる実子と認めたようであった。
血液型が混じるなんてあるのかな、と思ったが、仕事で忙しかった私は、父と血が繋がっていることを認めてもいいと気持ちを整理した。
いつかこの血液型について推理小説を書きたいと思っていたが、プロはとっくに仕事をしていた。横山秀夫氏の刑事小説『臨場』(内野聖陽主演でテレビドラマ化された)の「真夜中の調書」である。
逮捕された被疑者はB型、妻はO型であったが、息子はA型であった。「両親の血液型からは出来ないはずの血液型の子どもが生まれることもある」ことに気付いたのは、終身監察官の倉石義男である。彼は、自白した男以外に真犯人がいることを見抜く。
ホームページで調べてみると、大阪医科大学法医学教室の鈴木廣一教授の研究で、「B遺伝子とO遺伝子の前半部と後半部が入れ代わる組み替えが起こる例がある」とされているが、それは親子の血液型のねじれの例である。父が医者から説明を受けた話とは異なっているが、それ以上は、まだ調べることができていない。
狭山事件では、善枝さんの体内から採取された血液型はB型とされたが、ごく低い確率としてもA型の可能性もあり、真犯人の特定においては、考慮する必要がある。
140703 甲斐仁志


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