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雑誌への投稿記事(「週刊 金曜日」2000.8.4号)
『私は偶然に知己を得た台湾人学生に会うため、総統選後の三月末に台北を初めて訪れた。
彼の「We are not Chinese, we are Taiwanese. Taiwan is not area,
Taiwan is country.」との言葉は、日中国交回復した1972年以降、台湾はこの世に存在しない国家だと信じて疑わなかった私の世界観を変えた。その後、私は台湾に関する本を読み漁り、再び六月に台北を訪問し、二・二八紀念館と原住民博物館を訪ねた。
日本敗戦後、歓喜とともに迎え入れた国民党政権により台湾民衆は弾圧され、約三万人が虐殺された二・二八事件の五十年後、台北市長時代の陳水扁総統が開館した同紀念館には、日本統治時代における台湾民衆の受難の紹介から始まり、同事件以降の苦難やその後の国民党による圧政を乗り越え、民主化を推進してきた歴史と未来への展望が紹介されている。
一方、原住民(自ら誇りをもって呼称)博物館には福建省を中心とした大陸からの中華民族が移住する前から住んでいた約十民族(現在約四十万人弱)の歴史・文化が紹介されている。
これにより私は李登輝前総統が唱え、陳水扁現総統に引き継がれた「省籍、種族を超えた新しい台湾人」という概念を理解することができた。(なお、前者はカセットテープ、後者はパソコン画面の日本語による説明があった。)
最近、私は戦前の日本で青春期を過ごした李登輝氏が日本語で著した「台湾の主張」(PHP出版社)を読み、彼の中にある日本と日本人に対する深く温かい愛情に接することができ深く感動した。
日本と台湾とは歴史的な経過もあり正式な国交がないが、私は日本政府には台湾との一層の交流を進める責任があると思う。
ついては彼の訪日が近く実現することを心から期待するものである。』
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