
鷲津政彦 キャラクター編 Part1
*南朋さんはインタビューで鷲津について、自分を押さえ込んで無理している、出来ることと出来ないことを勝手に線を引いている感じと評している。人の良さそうな銀行のお兄ちゃんがどうしてあんなことになっちゃったんだろうと、考察してみよう。
*原作では大阪の船場出身だが、ドラマでは不明。まぁ昔から船場言葉はいわゆる吉本新喜劇のような河内弁とは違うまったりとした言葉なので、鷲津が使っていてもイメージが崩れることはないんだけどね。ホントの船場出身の人に河内弁の事を大阪弁と言うと、真剣に怒られます。ちなみに飯島は船場言葉ではないし、今の船場で商売している人たちで、ドラマっぽい大阪弁をしゃべる人ほど府外出身者が多いのは謎。第一、船場の衣料や薬問屋などの大店の旦那さん達は、自宅を西宮や芦屋に構えたので、現在は兵庫県民が多いし。
*元のシナリオでは苦学生っぽい台詞があったようだが、多分中流家庭の普通に育ったひとりっ子。なんとなく親は公務員って感じもする。親の職業は大なり小なり影響はあると思うので、金融関係や製造業という事はストーリーの進行上違う気がする。
*南朋さんの口調は、ちょと声を張り上げたり、演技が入っているようなシーンだったりすると語尾が延び加減なので、すくなくとも芝野みたいなお坊ちゃんな出自とは違って、鷲津の成り上がり感がよく出ている。
*バブルの時代に学生だったから、暗い未来なんてまったく思いも寄らずに気楽に生きてたと思う。だからそこそこ真面目で賢くて愛想のいい子供がそのまま大きくなったという感じ。鷲津が就職した1991年は求人倍率が2.8倍を越えたという最大の売り手市場。そういう中で大手銀行に決まったのだ。ところがその年にバブルがはじけて金融機関は最悪の状態になっていく。まったく予定外だが当時はバブルなどという言葉もまだ使われていなかっただろう。そんな頃、まだそれからの悪夢も知らず、鷲津は新米行員として取引先を走り回っていたのだ。
*鷲津は銀行員としては取引先と親しくなりすぎた。だから後のショックが大きかった。都銀なら取引先と深い付き合いにはならないように数年で配置換えだけど、鷲津は2年未満でそういう付き合いになってしまってるので間に合っていない。バブルの頃までは融資課の法人担当は現金の回収もどんどんやって取引先に顔を出した。逆にいろんなノルマもあった。本来は運転資金の融資とかの担当のはずだけれど、個人的経験で言うと社員にも提携のクレジットカード作れとか、積立定期口座を作れとか、宝くじ買ってくれとか言ってくる(笑)。こっちも小切手帳切れたよとか、急に大口現金が入ったんで集金来てとか、無理もきいてもらっていたし。お互いさまの関係だった。鷲津もやってただろうな。「すいませ〜ん、今月のノルマ全然なんですよう」って頼子さんに訴えるも「作るほどウチにお金の余裕がないの鷲津さんが一番わかってるじゃない」って言われて玉砕してすごすご引き下がる鷲津。後でこっそり由香が「月5000円ならバイト代から出せるよ」って積み立て通帳作ってくれたりして。でも結局全然間に合わないから上司に怒られると。(ネタだそれは)
*バブル以降人員削減もあるし、安全上の事も踏まえて(盗られる事もあるし、盗る奴もいるんだな)現金回収をしなくなったんで、行員との付き合いも無くなっていったから、どういう雰囲気だったのかはよく判らない。でもだんだん札の数え方が下手になっていったのは間違いない。窓口でさえ機械で数えるようになってしまったからなぁ。いわゆる札勘というやつで、横読みはコツを掴まないとばら撒いてエライ目に遭う。ばしばしと音を立ててこれをやるとプロって感じで格好いい。今まで一番うまく札勘するのを見たのは(うまく見えるように派手にやっていたのかもだが)地方出身の高卒叩き上げ40代だったなぁ。この人は都内の支店まで行ったから、高卒では超出世組だったのかも。年代的に芝野は札勘はたたき込まれていると思うのだが、鷲津あたりは微妙だな。なんだかうまく札を広げられなくて笑ってごまかしてる姿が浮かぶ。(これもネタ風)
*しかし、いきなりアメリカへ行って就職できるものなのだろうか。基本的に外国人が就職する事に関しては日本より条件が厳しく意外に学歴社会のアメリカ。ビジネススクールに行ってMBAの資格を取って就職というのが王道なのだろうが、クラリスがホライズンに来て5年と言っているので準備期間がない計算だ。実力主義の世界だろうから実績さえ上げたら昇り詰めるのは早いだろうが、スタートラインが問題だ。原作のようにクラリスにスカウトされるような出来事があったと考えるくらいしかない。それでもビザは難関だが、将来日本に事業を広げる為に日本での知識に優れている人材という事で移民弁護士にレポート作らせたのかねぇ。
*24才で渡米してファンドビジネスに飛び込んでいったのだから、必死でのし上がっていったのだろう。東洋人だし若いし。身なりに気を遣い、クールな眼鏡をかけ、表情を乏しくして精一杯背伸びしていた事は想像に難くない。舐められてたまるかという思いだね。でも背伸びは背伸びで、なかなか余裕は生まれない。いつもピシッとしてメガネもいつも磨いてあって隙がなさそうなのに、よくネクタイは曲がっていたりして。ちょっとそういうあたりが完璧ではなくカツカツな鷲津。その余裕のないままの突っ走りがだんだん無理になっていっての後半戦なわけで、最初のバルクセールや入札のようなゲーム的な展開を期待すると鷲津のキャラが変わったようで物足りなくなっていく。ただ、そのあたりの不安定さは最初から織り込んであるものなのだから、鷲津というキャラクターを表面的に見過ぎていると話の流れについて行けないし、4話以降が面白くないと感じると思う。
*さすがにあの重傷で親か親戚が駆けつけていないというのは、絶対身内がいない、又は来られない状態ということ。両親はまだいそうな年頃だから、不思議だ。ただ、なんとなく鷲津は父性を感じる人物になついているような気もするので父親はすでに亡くしているような気もするな。なんだか短い間に鷲津の周りにはいろいろと起こっているのかも。

