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また、インフラ建設など中国からの直接投資も、日本をしのぐ。2014年、日本からバングラデシュへの投資は4140万ドルと前年よりも半減したが、中国からの直接投資は1億6000万ドルにまで伸びた。
贈収賄 バングラデシュ人と中国人の共通点
また、バングラデシュでは、ビジネス関連の法令が十分に整備されているとは言えず、行政の事務処理のスピードも遅い。そこで横行するのが「賄賂」である。バングラデシュでは、贈収賄という商習慣が深く根を下ろしている。 そうなると、むしろ、縦横無尽に立ち回れるのが中国人である。「相手を贈賄漬けにする中国流の役人への対応は、日本人には逆立ちしてもできない」(上述経営者)。習近平政権が腐敗撲滅運動に力を入れていることから明らかなように、中国が筋金入りの“汚職国家”であることは言うまでもない。中国とバングラデシュは、ある意味、互いに組みやすい相手なのだ。
中国語の教育にも熱心中国がバングラデシュに及ぼす影響は、経済分野だけにとどまらない。中国企業は、すでに1980年代からバングラデシュで事業展開している。「中国企業の進出が、当時のバングラデシュで女性の社会進出をもたらし、それまで外出すらできなかった女性を解放した」(上述の日系工場の経営者)という。 また、2006年にダッカ市内のノースサウス大学内に開設された「孔子学院」が、目下、中国語人材の育成に力を入れている。孔子学院とは、主に中国語の学習機会を提供する中国政府系の教育機関だ。南アジアでは、初めてバングラデシュに設立された。 バングラデシュの孔子学院は、これまでに1万人を超えるバングラデシュ人に中国語学習の機会を提供してきた。語学学習以外にも、頻繁に文化行事に参加させたり、中国に招いて交流に参加させるなど、積極的な活動を行っている。 中国商務部は、進出企業に対し、「進出の際は、中国の文化を広めることを念頭に入れよ」と呼びかける。人的交流のみならずビジネス交流の場でも「中国の伝統文化を発揚せよ」とし、中華思想の普及に熱心だ。
それでも 日本企業への期待は大きいだが、中国企業のビジネスがすべてうまくいっているとは限らない。5月初め、「新華日報」が、バングラデシュに進出した中国の衣料メーカーの奮闘記を掲載した。経営者は、2012年にバングラデシュへの進出を決意し、縫製工場を建設した。しかし、その後の4年間は赤字の垂れ流しだったという。 記事は、その間の苦労を伝える。「営業許可書をもらうのに2年かかった。中国なら、たった2ヵ月で済む」「せっかく押さえた工場用地は、半年後に退去を求められた」――。 当初、中国人経営者は、バングラデシュに住む華僑を工場長として採用した。だが、これが失敗だった。工場長は、ことあるごとに本社と対立し、最後は「華僑といえども、現地の者には任せられない」として工場長の座を外された。経営者は、中国から人材を派遣して、どうにかこうにか操業を維持したという顛末である。 中国商務部が編纂するバングラデシュの投資指南書からも、バングラデシュにおけるビジネスの厳しさが伝わってくる。ページをめくると、「進出は慎重に」「十分な事前調査を」との呼びかけがある。中国商務部もバングラデシュへの進出や投資の難しさを認識しているのだ。 「中国企業が、利益が見込めなくなった時点で契約を反故にし、途中で事業を投げ出してしまうという話もしょっちゅうある」(日本人経営者)という。中国企業が土木工事を破格で落札したものの、結局資金ショートで行き詰まり、工期が大幅に遅れてしまうことも少なくない。 中国以上に「生き馬の目を抜く」バングラデシュでのビジネスだが、日本への期待は極めて大きい。日本企業が出遅れていることを歯がゆく思う地元経済界のトップリーダーたちは決して少なくことを、ぜひ知っておいていただきたい。
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