出雲芸術アカデミー音楽研究院 特別主位研究講座2018
「理論と実践」~丸山桂介先生をお迎えして
序文
ドイツのミュンヘンにおけるバッハ・アカデミーでの研究を修められた、日本におけるヨーロッパ音楽精神史の第一人者の音楽学者、丸山桂介先生をお迎えして「出雲講座'18」として、講義と公開レッスンを行います。
音楽とは何か、その本質、真髄に迫る待望の四回のシリーズ。ご興味のある方であればどなたでも受講できます。またとない機会ですので、奮ってご参加ください。
(出雲芸術アカデミー芸術監督・指揮者 中井章徳)
出雲講座 '18・夏
- 音楽は古来 聖なるものとしてその姿を人の前に顕して来た。言葉を代えて言う ― 音楽は人の手によって作り出されたものではなく、人間を超えて遥かなる高みに在る。
- いかなる意味においても人間は音を作ることは出来ない。音は聖なるものを宿す自然に内在し、人の手に任ねられた自然の素材を媒介として人の許へと響き来る。自然への畏怖と、人の手を経て漸く訪れ来る響きにこそ人は耳傾けねばなるまい。
- 自然に存在する樹木から人の手は材を切り出し、材の語る声に耳傾けながら器を作る。日本語の豊かにして深い表現能力に告げられて、聖なる響きを容れる器、即ち楽器は存在する。楽の器から響きを紡いで始めて、人の耳は音楽に触れることを許される。
- 古代ギリシアにおいて、樹木は天空の姿に代り、天空から紡ぎ出されて楽の音は天空の秩序を織り成す数の組み合わせによって人の耳に届けられることになった。音楽の基はこうしてロゴスと呼ばれる論理・法則・秩序の器に容れられて今日に至っている。日本語に言う楽器は聖なるものの、天空の秩序の器となり、ギリシア人の呼んだ ハルモニア=調和の響きを人に届けるための道具としてその在ることを普く知られるようになった。
- 或るとき、音楽を巡ってしかし論陣を張ったのは二人の楽人であった ― 音楽の主は誰か。それが論争の因であった。ひとりは、響く天空の秩序、ハルモニアであると言って天を指した。いやいや人の語る声の響き、言葉の歌こそ主であると言って他のひとりはペンを取って記した。この論争に、音楽の歴史は集約される。
- 歴史上、この論争を書物として最初に纏めたのは古代ギリシアの人プラトンであり、この論争に立って音楽史上最初にオペラを完成させたのはイタリアの楽人モンテヴェルディであった。モンテヴェルディの筆によってプラトンの音楽 = 哲学論はオペラとなって復活し、オペラの盛期、バロックの音楽は鳴り響くことになった。とは言え、プラトン復活によって宇宙の、天空の調和を奏でるハルモニアとしての数の響きが消えてしまったわけではない ― 数が告げるハルモニアの問題は最も鋭い形を取って、音律論として鍵盤楽器に関わることになった。モンテヴェルディの同時代者フレスコバルディ、次いでバッハ、更にはショパン …… 鍵盤楽器のためのハルモニアに依拠して数々の名作を遺した彼等が一貫して主張したのは鍵盤の楽器で歌を歌うことであった。楽器は弾くものではない。語り歌うものである ― バッハはそれを要してカンタービレの奏法と名づけた。
出雲講座 '18・夏では以上の問題を掘り下げて音楽の正しい在り方を追究するために以下の四講座を行い、これに併せて響きの側面から音楽について検証するためにレッスンを行います。
第1講義:ルネサンス ― 芸術における創作と実践 ― 第2講義:「楽譜」という宇宙 ― バッハの記譜と表現 ― 第3講義:「古典派」は存在するか ― モーツァルトとベートーヴェン、シンフォニー分析 ― 第4講義:チャイコフスキーと悲劇の響き ― アリストテレスが記した Pathetique ―
(記.丸山)
「理論」連続講義
第1講義:ルネサンス ― 芸術における創作と実践 ―
8月6日(月) 19:30~21:30 (受付:19:15)
第2講義:「楽譜」という宇宙 ― バッハの記譜と表現 ― 8月7日(火) 19:30~21:30 (受付:19:15)
第3講義:「古典派」は存在するか ― モーツァルトとベートーヴェン、シンフォニー分析 ― 9月17日(月・祝) 10:00~12:00 (受付:9:45)
第4講義:チャイコフスキーと悲劇の響き ― アリストテレスが記した Pathetique ― 9月18日(火) 19:30~21:30 (受付:19:15)
※ 定員25名 ※ 連続講義のため4講座全て受講が望ましいですが、各日でも受付けます。同時にレッスン聴講もすることで、より深く理解していただけます。
「実践」公開レッスン聴講
8月6日(月)・8月7日(火)
9:45 受付
10:00 〜 11:30 ピアノ
- L.v.ベートーヴェン:ピアノソナタ第1番 ヘ短調 Op.2-1
11:30 〜 13:00 ヴァイオリン
- J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番 ト短調 BWV1001
13:40 〜 15:10 テノール
- L.v.ベートーヴェン:ゲレルト歌曲集から「自然における神の栄光」「星空の下で歌う夕べの歌」
15:10 〜 16:20 ファゴット
- J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007, 受難曲コラールの通奏低音
16:30 〜 17:40 フルート
- C.P.E.バッハ:フルートソナタ イ短調 Wq.132, H.562
17:40 〜 19:10 クラリネット
- W.A.モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ短調 KV622
9月17日(月・祝) 12:35 受付 12:50 〜 14:00 フルート - C.P.E.バッハ:フルートソナタ イ短調 Wq.132, H.562 14:00 〜 15:30 クラリネット - W.A.モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ短調 KV622 15:40 〜 17:10 テノール - L.v.ベートーヴェン:ゲレルト歌曲集から「自然における神の栄光」「星空の下で歌う夕べの歌」 17:10 〜 18:20 ファゴット - J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007, 受難曲コラールの通奏低音 18:30 〜 20:00 ヴァイオリン - J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番 ト短調 BWV1001 20:00 〜 21:30 ピアノ - L.v.ベートーヴェン:ピアノソナタ第1番 ヘ短調 Op.2-1
9月18日(火) 9:45 受付 10:00 〜 11:30 テノール - L.v.ベートーヴェン:ゲレルト歌曲集から「自然における神の栄光」「星空の下で歌う夕べの歌」 11:30 〜 12:40 ファゴット - J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007, 受難曲コラールの通奏低音 13:20 〜 14:50 ピアノ - L.v.ベートーヴェン:ピアノソナタ第1番 ヘ短調 Op.2-1 14:50 〜 16:20 ヴァイオリン - J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番 ト短調 BWV1001 16:30 〜 17:40 フルート - C.P.E.バッハ:フルートソナタ イ短調 Wq.132, H.562 17:40 〜 19:10 クラリネット - W.A.モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ短調 KV622
※ 定員15名
※ 講義の内容を響きの側面から検証するレッスンですので、可能な限り色々な聴講をおすすめします。
※ 1日全コマ聴講可能です。各前日までに聴講希望コマの予約をしていただきます。
※ レッスン中の入退室はご遠慮ください。各レッスンの間には入れ替わりのみで休憩がない場合があります。開始予定時間までにお越しください。
※ 時間はおよその目安です。また、レッスン時間は、初日の状況によって2日目以降に変わることもあります。その場合はあらためてご連絡します。
会場アクセス
出雲交流会館 (出雲芸術アカデミー) 2階 〒693-0002 出雲市今市町北本町2-1-10
JR出雲駅からのアクセス
<路線バス> 一畑バスの出雲大社行き、またはJR小田駅行きのバスにご乗車いただき、「出雲市役所前」バス停でご降車後、徒歩6分です。JR出雲駅のバス乗り場はこちらをご覧下さい。利用される場合は本数が少ないのでご注意下さい。<タクシー> JR出雲駅北口タクシー乗り場よりご利用下さい。
<徒歩> JR出雲駅北口から1.3km、20分程度です。
出雲へのアクセス
<JR><高速バス> 岡山 ⇔ 出雲、広島 ⇔ 出雲、京阪神 ⇔ 出雲などの便があります。 中国JRバス、一畑バスなどをご利用下さい。
<飛行機> 出雲空港へは東京(羽田)、大阪(伊丹)の他、札幌(新千歳)、仙台、静岡、名古屋(小牧)、福岡便があります。出雲空港からは、出雲一畑交通の「出雲市行き」空港連絡バスにご乗車いただき、「出雲市役所前」バス停でご降車後、徒歩6分です。
お車でのアクセス
駐車場に限りがあります。特に平日昼間は公共交通機関等のご利用にご協力下さい。お問い合わせ先
メール: kimura.eri.iaa(at)gmail.com
(上記アドレスの(at)を@に変えてからメール願います)
申込締切:8月4日(土) (8月分)
申込締切:9月8日(土) (9月分)
※ 受付は先着順です。
※ 定員に達し次第、締め切らせていただきます。
※ 申込後のキャンセルはできません。