真夜中の訪問者









トントン。


雨の音に混ざって、ドアをノックする音が聞こえた。

現在 午前2時。

こんな非常識な時間に訪ねてくるのは、他でもない。



「はいはい、今開けますって」



ガチャ。



「すみませんねぇ…こんな遅くに」



僅かに残っている殺気で、全身の毛が逆立つような感覚に陥る。

これくらいで負けていてはきりがないので、気にしない事にして。



「本当にすまないと思ってる人は、そんな綺麗な笑みを浮かべたりしません」

「そうですか?」



玄関先に立っているのは、やっぱり、赤屍蔵人その人だった。



「常識人なら、きっと」

「でも、上がらせてくれるんでしょう?」



あ―その自信満々な顔と口振りがムカつく。



「……勿論です」



こんな自分にも、本っ当にムカつく。



「ありがとうございます」




「今日は随分と早く済ませたんですね」



お茶を出しながら聞いてみる。



「ええ、さんの顔を早く見たかったので」



危なくお茶をこぼす所だった。危ない危ない。



「………。よく平気な顔で言えますね」



半ば呆れた。

たまに、蔵人は突拍子もなく、こういう事を言い出す。

何か企んでいるのか、それともただ思いついただけからか。

確かめられた日に、私が生きていない事は確かだろう。



「別に、気にすることもないでしょう。誰が見ているわけでもないんです。…それに」

「それに?」

「私はさんのことを愛していますから」

「……また…」



多分、いやかなり顔が赤くなっているだろう。

からかわれるのが嫌で思いっきり伏せた。



「おや、『私も』とは言ってくれないんですか?」

「っ……悔しいから言いません!」



誰が言うかっ!!

その楽しそうな笑顔に一瞬殺意を覚えた。

本当に私はこの人にまともな感情を抱いた事がないような気もするのだが。



「悔しいとは?」

「………好き過ぎて、悔しいから

「…」



絶対聞こえてるくせに……あぁもう!



好き過ぎて悔しいからです!!



途端に、蔵人の表情が和らいだ。

ただ優しく微笑っていて。



「そういうが、私は好きなんです」



ちゃんと素直になれる所がね、と私の髪を撫でながら。



「…え……?」

「ずっと、私の隣にいてくださいね?」



蔵人が私の顔を覗き込むようにして聞いてくるから。



「…はい」



私もしっかり、蔵人の目を見て。



「蔵人も、ずっとここに帰って来てくれる?」

「ええ、勿論ですよ」








きっときっと。



いつまでも。





その約束を忘れずに。




















あとがき
いや―…短いっスね!(元気に言う事じゃねぇ…
不二夢に比べたら大分ヤバイですよ、コレ。
赤屍さんにぶっ殺されるくらいヤバくないですか。
まぁ、優しい赤屍さんスキーの方々は、寛大な心を持って中橋を許してやってください。
中橋右京