「何コレ・・・気持ちワル・・・!」
足元でのた打ち回る"ソレ"に向かって、私は嫌悪感もあらわにそう呟いた。
蛇花火も立派な花火なんだ
毎日毎日うだるような暑さのこの季節。
あまりの暑さにグデーっと死んでいた私を見かねて今日は退君が花火に誘ってくれた。
こっそり退君に片想い中の私には願ってもない申し出!
私は喜んで承諾し、夜に待ち合わせの場所である屯所の庭へスキップしながら出向いた。
すると庭にはもう退君がいて、バケツやら火やら花火の用意をしている最中だった。
少し視線を奥にやると花火が入ってると思われる大江戸マーケットのビニール袋がある。
中々の量の花火のようだった。
「退君!」
「あ、ちゃん。」
良かった、来てくれたんだねと軽く微笑みながら言う退君。
思わず心臓がドキリと跳ねる。あぁもうカッコ可愛いなぁ・・・!
「じゃ、花火やろうか」
「うん!まずは何やるの?」
私がそう質問すると、退君は何やらごそごそとビニール袋の中を探り出した。
「あ、あった。コレ!」
ニッコリとした笑顔で今しがた自分の取り出した花火を見せる退君。
でもその花火はいつも私が友達とやってる棒みたいな形のじゃなくて、小さな円柱の形をした花火だった。
私が不思議そうな顔で花火を見つめていると、退君はいそいそとその花火を地面に置き、火をつけた。
しばらくすると、円柱が燃え、中から何やらウニョウニョとした黒いものが出てきた。
何コレ・・・?
「・・・・・・」
「・・・・・・」
・・・なんか花火自体の大きさの内容量とは思えないほどどんどん出てきてんだけど・・・。
っていうか、とりあえず・・・・気持ちワルっ!!
軽く口元を引きつらせながら退君の方を見ると、軽く微笑みを浮かべたような表情で花火を見ていた。
まって、コレの何処が面白いの・・・?
「蛇花火って言うんだよ。コレ」
私が退君の顔を見ていたことに気付いたらしく、退君はニッコリと微笑みながら説明してくれた。
「・・・なんでコレを最初に選ぶの?」
「え?いやだって何か面白くない?」
「全っ然!!」
「えぇ〜?;;」
困ったように苦笑しながら後ろ頭をかく退君。そんな顔も可愛いけどね。
でもこの花火がつまらないってことにかわりはないわ!!
そうこうしてる内に蛇花火はその短い命を終えたらしく、ポトリと地面で動かなくなった。
後には黒くて長細い燃えカスが残された。
「・・・・終わっちゃたね」
「・・・・そうね」
お互いに燃えカスを見つめながら呆然と呟く。
「くっ・・・アハハハ!」
「え?ちゃん?ど、どうしたの突然」
「だ、だって退君・・・!すっごい残念そうな顔して・・・!くっ!」
「なっ、そ、そんなに笑うほど??;;」
「うん・・・!くく・・・!」
なんか笑いすぎて涙まで出てきたよ!
退君ってば本当にそれはそれは残念そうな顔をしてたし!!
最初に蛇花火なんていうテンションの下がりそうな花火を選ぶあたりが退君らしすぎて!
私はとまどう退君をしり目に、一人で爆笑し続けた。
「アハハハハハ!!」
「・・・ふ・・あはは」
そしたら何か退君も楽しくなってきたみたいで、二人でただ爆笑した。
「くく・・・っていうか、他の花火もやろうよ」
「はは・・・え・・・?や、いや・・・;;」
「?」
ひとしきり笑った後そう言うと、退君は視線を外して何やら冷や汗を浮かべた。
・・・・?
退君の横をすり抜けてビニール袋の中を覗き込む。
「あっ!ちょっ・・・!!」
「え゛・・・これって・・・・」
横で退君が片手で顔を覆うのが視界の隅に写った。
私が手にしている袋の中には・・・・。
「全部・・・蛇花火・・・・?」
様々な大きさの蛇花火が入っていた。
「あの・・・・・・ゴメン」
俺的にはこの花火すっごく楽しかったから・・・。
何とも気まずそうにそう呟く退君。・・・だからって全部蛇花火って・・・。
「アッハハハハハ!!!」
「わ、笑わないでよぉ」
「くく・・・ゴメ・・・ふ・・・!」
「ちゃん!;」
軽く頬を赤らめてそういう退君はもう可愛いとしか言いようがなかった。
あぁもう可笑しいなぁ!
「ま、今回はその退君のカワイさに免じて許してあげよう!!」
「あ、ありがとう!・・・って可愛いって何っ!?」
「さ、んじゃ全部コレやろっか!」
「ちょっ!だから可愛いって・・・」
「さー!やるぞー!おー!!」
退君の突っ込みは全部スルーして花火を取り出す私。
退君もそのうち諦めたらしく、私が出した花火に火をつけていく。
黒くて気持ち悪い物体が目の前で蠢いている。
なんともおぞましい光景だったが・・・
退君の困ったみたいな、でも楽しそうな笑顔がみれたから私はすっごく楽しかった。
また一緒に花火やろうね?退君。
・・・・できたら、今度は花火を買うところから。
End
+あとがき+
しり切れトンボでスイマセン_| ̄|●|||
いやもう本当スランプなんです・・・。
愛だけはこめました!!(痛
山崎さんのドジっぷりと可愛さが出てればいいなぁ・・・と。;
ここまで読んでいただきありがとう御座いました!
紅牡丹
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