私の恋人の彼は素っ気なくて、冷たくて、全然甘えさせてくれなくて、

そして―――





そっとお手てをツナギましょう






「セブー」
「・・・・・・」
「セーブー」
「・・・・・・」
「せぇーぶぅー」
「・・・・・・」
「せ…」
「何だ」


4回目の呼びかけにしてやっと応える声。その声には面倒くささがコレでもか!というほどにじみ出ていた。
表情の方もウンザリといった感じに眉根に皺がよせられていて、毎度の事だが少し凹む。


「うん。あのねー、この間の夏休みにニュースでやってたんだけどねぇ?」
「・・・・・・」
「マグルの世界でニューヨークだかアラスカだか北極だか何処だかで」
「(ニューヨークとアラスカと北極では大分違う…)」
「仲の良い夫婦18組の協力で、夫婦でいると健康な人が独身よりも多いっていうのを実験したんだって」
「・・・・・・」


真剣に聞いていなかったから詳しくは覚えていないけど、確かこんな実験だったと思う。
まず奥さんの足首に小さく電気を流し、その後に旦那さんに奥さんの手を握ってもらうと、奥さんの脳の不安を表すなんたらという部分の反応がなくなるというのだ。
・・・まぁつまり、奥さんは旦那さんと手をつなぐ事によってそれまで感じていた不安がなくなったという寸法だ。

私はこのニュースを見たときに真っ先にセブの顔が頭に浮かんだ。
なんてたってセブは私の最愛のコイビトにして全くベタベタさせてくれない人なのだ!!

私が抱きつけば煩わしそうに押しのけられるし(でも頬がいつも少し赤いのを私は見逃さない)、皆がいる前で声をかけるといつも以上に冷たい態度で私の声など無視してスタスタ何処かへ行ってしまう。(でもそれはセブと私が一緒にいるのをグリフィンドールの3人に見られて私にまで被害が及ばないようにと気を使ってくれているのだ!…多分)

まぁそんなこんなで、セブの方から手をつないでくれるなんて事は全くないのだ。
私は実験の結果を聞いてセブはどう思ったかとそっとセブの顔を覗き込んだ。…が、セブは相変わらず眉根に皺をよせたままでほとんど無表情。それどころか私の話をちゃんと聴いていたのかも怪しい位で、目線を手元の魔法薬学のレポートにむけたままだ。

予想通りでいて、期待はずれなセブの態度に私は軽く頬を膨らませた。


「それで、私この間階段から落ちたの」
「・・・・・・」


私がそう言うとセブは一瞬だけレポートから目線をはずして私を一瞥した。


「その時に打ち付けた背中がずっと痛いの」
「・・・・・」
「もしも何か取り返しのつかない怪我してたらどうしよう?」
「、マダムポンフリーの所に行ったらどうだ」
「・・・・・」


思わず私は閉口した。
確かにごもっともな意見だが、前後の会話から少しは察して欲しい。・・・ま、そんな事セブに望んでも仕方ないか・・・。

私は軽く溜息をついてから視線をセブから外し、適当にそこら辺を眺めることにした。
セブもセブで私が話しかけなくなったので好都合とばかりにまたレポートに没頭し始めた。


あーあ、好きな人と触れ合いたいって思うのは私だけなのかなぁ・・・。


半ば諦めながらそんなことを考えていた頃。
レポートが終わったらしく、突然セブは分厚い本を音を立てて閉じ、荷物をせかせかとまとめ始めた。
それを見て私も席を立ち、セブの隣に立つ。荷物を抱えたセブに続いて歩こうと一歩を踏み出した瞬間、

私の右手が何か暖かいものに覆われた。


「・・・・え?」
「ふんっ」


右手に目をやれば、なんと私の右手にはセブの左手がつながってて・・・。呆けたように思わずそう声に出すと、セブの方からは照れたような、いじけたような、そんな微妙な反応が返ってきた。その頬は軽く赤みを帯びている。

これは・・・もしかして、もしかしなくても・・・私を気遣って恥かしいのを我慢しながら手をつないでくれてる?


「セブ?あの、」
「さっさと寮へ戻るぞ」


ぶっきらぼうにそう行ってスタスタと歩き出すセブ。
そんなセブに手をひかれながら、私は満面の笑みでセブの言葉に頷いた。






私の恋人の彼は素っ気なくて、冷たくて、全然甘えさせてくれなくて、


そして、ベタベタに私を甘やかしてくれる…―――。








End






あとがき セブー!!ほとんど話してないよセブー!!名前変換が一つしかないよセブー!(殴
話の中のニュースはどこぞの国で本当にやったみたいで、そのニュースを僕が見たことからこんなお話ができました。
僕にしては結構甘いお話に仕上がったのではないかと思います。
このお話は日頃素敵にお世話になってる柳村氏に捧げます。柳村氏、良かったら貰ってってください。(´∀`;)
ここまで読んで頂きありがとう御座いました!

紅牡丹2006/2/23作成