激闘豪丸狩M
H19・9・16

僕の名前は淀川トーピード。イカれたハゲ野郎のタックルボックスに住んでいる
サイケデリックマーブルの今年の3月に発売されたシングルスィッシャーだ

ハゲ野郎は、道楽フォトダービーとやらに出場する為、僕と、友達の朝吉君を購入した
その日以来、ハゲ野郎は、ストロングスタイルか何か知らんけど、いつも朝吉君と一緒に仲良くラインに結ばれている
 
ハゲ野郎の釣りは静寂と喧騒、もしくは繊細かつ大胆・・・感情の起伏が激しい・・
いつも、奥の奥まで入れたがるキャストのせいで、木に当たりながらも更に奥へ
水面に当たりながらもスキップし・・草木をくぐりながらも更に奥へ
ブッシュジャングルの僅かな隙間や、奥行きの深いオーバーハングに狙いを定めた時には祈るしかない
 
ハゲ野郎は、自分のキャストのミスを・・・僕のせいにする・・・
マイナスイオンに陥った日には・・・おもいっきり・・・水面に叩きつけられたりもする
 
さあ・・・ルアー虐待物語の始まりだ
 
 
今日は琵琶湖 何故だろうホッとする
ハゲ野郎がタックルボックスの蓋を開けた
住人達の心臓の鼓動が凄まじい
手が伸びてきた・・皆、一斉に目を閉じる
「行ってくるよ」・・涙ボトボトなんですか?・・朝吉君はやっぱり連れていかれた
次だ・・・心臓が止まりそうです・・「行ってきま〜す」って「エエっ!?」・・新人の64君が元気いっぱい出ていった
64君は、まだ、ハゲ野郎の怖さを知らない・・ともあれ大きなため息はボックス内に響きわたった
 
 
姐「ヨシきた!」
親「何それ〜羽根等いっさいけえへんやんけ」
 
開始早々の・・・姐だけ?バイトラッシュ 5バイト2バラシ後の、まずは1匹
姐「きたっ!!」
親「・・・・・・・・・」
ゴボッ
親「ほらきた・・まだや」
ジュボッ
親「ちゃんと食わんかいアホが・・ほら食え・・ほれ・・ほれ」
ジョボッ
親「ほらノッた〜」
親「移動や移動」
姐「まだ来るやんか〜」
親「ほんなもん一ヶ所に留まってたら時間足らへんやんけ」
姐「どーせ根拠のない適当な勘のくせに」
 
移動しては打ちを繰り返し、バイトはあるもののノセきれず
 
姐「ヨシっ!!きたきた〜」
親「よし、次、一番奥イッとくわ 必殺バックハンド!それ!」
姐「はぁ?何言うとんの?見渡す限りの海原やんか?」
親「おおっ!ナイスキャスト!」
姐「・・・・・お前、絶対アホやろ?」
 
親「あかんの〜トリプルとか使いモンにならんのう・・」
 
嫌な声が聞こえてきた・・・ボックス内の皆の話し声が一瞬にして静まりかえった
 
親「ほら、こんだけウィードがひしめいとったらトリプル等投げやんわのう・・普通にダブルフックやのぅ」
 
何故だろう・・琵琶湖ならホッとするはずなのに・・・どうしてこんなに心臓がバクバクするんだ
ハゲ野郎が蓋を開けた!!「・・・・・・」やっぱり僕はつかまれていった
 
親「何じゃコイツ、ホンマにぃ〜ダブルのくせにひかかりまくりやがってぇ」
 
生唾ゴックン・・始まった・・涙をこらえるのに必死です・・・ホントに僕が悪いんでしょうか?
 
親「朝吉やな」
 
「エエっ!?」僕と朝吉君は同時に声を上げた
ロッドチェンジ際の一瞬、会話をしたんだ
「行ってくるよ淀川君」
「君、トリプルなのにぃぃ〜」
 
姐「流石にひかかるにぃ 色々投げたらエエやん!ダブル付いとるヤツ」
親「ええんや、食わすかひかかるかや、ていうよりひかかるまでに食わせや」
 
バカな事を・・・僕は朝吉君が猛烈に心配だった
 
親「ほらきた〜〜」
 
凄いよ!朝吉君・・・あのウィードジャングルで・・・僕は嬉しさのあまり涙を流した
その後もハゲ野郎は、僕を一切使うことなく、舌打ちしながらも、朝吉君に絡んだウィードを取っては投げを繰り返していた
 
どれくらい時間が経っただろう
 
また、姐さんだけにバイトは集中しているようだ
結構ポロンしてるみたいだ・・
 
姐「あかん・・バレてばっかや」
親「フッ、お前下手なだけや」
姐「フッ・・てか? お前バイトすらないやねえか」
親「・・・・・」
姐「ナイトベアーや トリプルフックや」
親「ほんなモンひかかりまくってお前!食うモンも食わへんど」
 
シュ〜〜〜〜〜〜ゥ  ポチャン 
 
カチリンッ チャリン  チリチリン チャリチャリチャリチャリ
ガコッ!!
姐「ほらっ来た!?・・あかんノッてない・・」
親「おおぉ俺投げてエエか?」
姐「アホかお前!あかんに決まっとるやろっ」
 
また、移動したようだ
 
親「あーマズメも終わったし、もう最後のワンドやな この湖、魚おるんかいな?」
姐「はぁ?マズメ?ワンド?何言うとんの?」
親「いやっそんなことないけどね まぁこのワンドでビシッと決めるで見といてや!」
姐「だから何言うとんの?見渡す限りの海原やんか・・何ねワンドて、マズメて何ね・・夜やんか・・」
親「ほやね ほな淀川君やね」
姐「・・・・・・・」(無視)
 
ドキッ・・・・・言うてることが無茶苦茶です・・・相変わらず朝吉君を投げ倒しています・・何故か複雑な心境でした
 
姐「きたぁ〜・・・まあまああるわ」
親「潜らしたらあかんぞ!浮かせ浮かせ!藻に変わってまうぞ」
姐「あかん・・重いわ・・藻とくっ付いた」
親「デカイんちゃうんか?どれどれ??アレッ?・・・ナマ?」
姐「嘘っ!?・・・ホンマや・・」
親「お前の魚等、かもとる暇あらへんから、自分で処理しろ!ナマズ好きやったよな?確か」
姐「とってさぁ〜・・お願い!明日の飯おごったるで!」
親「だからさ〜そんな暇・・・え!!?おごり!?わかった!」
空も白みかけてきた いよいよ僕の出番かな・・朝吉君も頑張ったんだから僕も頑張らないと
 
おかしい・・・何故だ・・・ハゲ野郎は僕を使おうとしない
 
カコッ!!
 
親「まあまあや」
 
何だ?この緊張感・・朝吉君?魚を連れてきたのかい
 
船に上がった魚は、僕が未だ連れてきたことのない大きさだった
僕は浮力体の上から大声を張り上げた
 
「ヤッタね!朝吉君!凄いよ!お疲れさん」
 
朝吉君は疲れ果てた様子だった かすかに微笑んで写真を撮る為、僕の視界から消えて行った
親「次はお前や・・エエの連れて来いや」
 
ハゲ野郎は僕等ルアーに話しかける癖がある
僕も魚を連れて来たい 初めて思った
決してハゲ野郎の為じゃない 僕の連れてくる魚を朝吉君に見てもらいたい
 
朝、僕は2匹の魚を誘い出した
一生懸命演技をしたつもりだ
 
一つはポーズしすぎたハゲ野郎のせいで、やや見切られ気味な半信半疑のバイト
一つは動かし過ぎたハゲ野郎のせいで食いそこね
 
潜り軍団がひしめきあってきた・・・釣り場を変えるようだ
今から僕等は、しばし車に揺られながら休憩することになる
 
姐「ちょっと?ちょっと大丈夫なん?」
親「・・・んん〜・・何じゃこりゃ・・」
姐「危ない危ない!!フラフラしとるやんか!?」
親「テリー来たわ・・・・・・」
姐「ちょっと車止め!」
 
車内では静かな時間が流れた 2時間位の仮眠
また車は走り出したようだ
 
どれ位車に揺られていただろう 到着したようだ
 
親「・・・・ヤル風やのう・・・・」
姐「結構暴風やんか・・どうすんの?」
親「何の為に野池まで逃げてきたんや?上等博覧会や」
 
早々に船に積み込まれ、ザブザブと騒がしい水面を進んで行く
そして釣りは開始された
「朝吉君、行・・・」
最後の会話もままならぬまま、ハゲ野郎は僕を放り投げた
 
親「じゃこりゃ・・・んんんん・・・」
 
ハゲ野郎はキャストと操船に苦戦している・・・・とてつもなく嫌な予感がする・・
 
痛っ・・・始まった・・・ハゲ野郎は僕を岸辺にぶつけ出した
 
ガサガサガサ!・・・・奥まで入れ過ぎだよ・・・頼む、引掛からないでくれ!!
ガツッ!?・・・・すぐさま朝吉君が飛んできた・・引掛かってる僕の少し手前に落ちた
「淀川君?大丈夫かい?」
「朝吉君!?・・・僕・・僕・・」
朝吉君、ポーズの間の会話だった
 
ハゲ野郎は思いっきり竿を動かし、ひっぱり倒す
エレキを使って近寄って来ることはない
いわゆる奴が言う ゴリゴリのゴンゴン?
リールをひたすら巻きながら超引っ張り力で船ごと近寄ってくる
そう・・・・・鬼の形相で・・
 
親「・・コラぁ・・・エエ加減にさらせよ・・」
 
強風も手伝って、更にミスキャストは続く・・その度に僕の体は少しづつ傷付いていく
 
姐「あかん!・・・キャッチされたわ!」
親「・・・はぁ?・・・・・・・・・・・・」
姐「ちょっと?・・取れへんのやけど」
親「・・お前なぁ、ヘタクソのクセしやがってトリプル等投げるなっ!そんな簡単なトコもよう入れやんのかっ」
姐「何なん・・エラそうにぃ・・」
 
ハゲ野郎は、船上で同船者が発する音、同船者のミスキャストによるポイントの潰れ・・等等
自分以外のマイナス要因に怒りの矛先を向ける・・・自分の事はさて置き・・である
そして、そのキャストは勢いづき、自らマイナスイオンの道へハマっていく
 
豪風の中、幾度となく繰り返されたゴリゴリのゴンゴン・・ハゲ野郎はブチ切れた
 
親「ええ加減にさらしとけよコラァ〜
 
キャストすると思いきや、思いっ切り水面に叩きつけられペラは変形
すぐさま、間髪入れずのド・ライナーキャストで倒木にブチ当たりリアヒートン変形
そして、更に跳ね返り硬い石に頭を強打した僕は・・・意識を失った
 
どれ位意識不明だったのかは覚えていない
少しずつ戻りかけた意識の中で・・・・・
強烈な異臭が僕の意識を完全に取り戻した!?
臭すぎる・・・一瞬にして悟った・・この臭い・・・ハゲ野郎のヨダレ・・
頻繁にラインチェックするハゲ野郎は傷付いた部分を切り、結び直す・・・
そして、締め込む際に・・・潤滑油?ヨダレが?急速酸化の凄まじい臭い
 
ややラリリ気味でキャストされ、ポーズ中・・・・!?
穏やかな水面?・・・どうやら僕が意識不明の間に移動したようだ
 
少し横を見た!魚だ!!
 
姐「きたきた〜」
親「ヤッたのぅ」
 
親「移動してよかったのう!」
姐「何か・・ようやくまともに釣りできるなぁ」
マイナスイオンから抜け出したハゲ野郎のキャストは上手いもんだった
僕を傷付ける事なく、やさしく魚を誘い、幾つかの魚からの攻撃はあったものの・・僕はまだ、水中に引き込まれていない
 
そして、ついにその時はやってきた
ガバンッ!
食いそこねだ・・僕にも緊張感が走る
バシッ!
威嚇だ・・ヤル気はある
バシャ!
まだ来る・・ハゲ野郎のアクションでは、これが限界だと感じた・・仕方ない・・次のアクションで僕自ら動こう・・ソレッ!!
ズボッ!!
 
親「見た〜?上手いなぁぁ〜俺」
 
水中で何度も強く引っ張られた・・よく魚の口が切れて魚は逃げて行くけど・・ハゲ野郎は何度も引っ張る癖がある
!?魚が痛く叫んでる!?
 
親「よっしゃー見ろ!ブラックバス」
姐「・・ちょっとぉぉ血まみれやんかぁ・・可哀相に・・」
親「フッ・・・何がぁぁ〜?・・フフ」
魚を連れてきても・・いつも小さいだのブツブツ言われ
魚が外れた時は、水面に叩きつけられ
掛かりの悪さを僕より先に産まれた僕の兄弟よりやや太い僕の体のせいにされ、唾を吐きかけられ
今日まで、僕が連れて来た魚は33匹・・・
 
ハゲ野郎のそばで働く位なら、ラインブレイクされ、魚に持っていかれたい
そして、自然の中で朽ち果てていくのも・・悪くないかも・・・
 
恐ろしい・・道楽フォトダービーが終わる迄は引退させてもらえないようだ
僕にはまだまだ休息が訪れそうにない
また・・鉄板のサビたベッドで・・出番を待つとしよう
 
誰か・・・助けてください・・・


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