本の部屋


本の感想、本に関わることについて思うことなど書いています。

透きとおった糸をのばして   草野たき    角川文庫
女の子たちの、それぞれに抱えた、ふりかかる日常を淡々と書いてるんだけど、自分のそういう頃と重なったりもして、懐かしさと、いまだに友人との間にある気まずさなんかまで思い出しちゃって、後半はグイグイのめりこんで読んでしまったな・・・言葉が自然なんだ。。。

お互いをつないでいる透明な糸の長さが、ほんの少し縮んだような、見えないはずのその糸が、かすかに見えたような、そんな出来事だった。
いっしょにいなくたって、切れない透明の糸は私からのびている。だれかと知り合って、たとえ離れ離れになっても、透明な糸がちゃんと残る。
どんなときも、ひとりじゃない。絶対に。
春のオルガン   湯本香樹美    徳間書店
前から読みたかった本でした。
夕べは仲秋の名月。時間が経つごとに月明かりがまぶしくなり、てんち父も本を読んでいたので、私も読み始めました。
お姉ちゃんと弟の、ある季節の話。
私が12歳の頃はもっと鈍感に生きてたように思うんだけど、でも、両親の言葉のやり取りとか、仲のよさには敏感だったなぁ・・・・
そういうことなど思い出しつつ読んでいきました。
湯本さんの作品に登場するおじいさん、おばあさんにはいつも惹かれます。ちゃんがめにとってのじいじやばあばの存在のように。
ならなくなったオルガンだけど、一つになってよかった。
トモミちゃんの心の中の怪獣は、きっと誰もが住んでいるはず。

おばあちゃんは言った。『トモミは偉いよ。おなかのなかにあることを、真っ正直に、ぜーんぶしゃべろうとするんだからね。だけどそれは、なかなか難しいことなんだよ』

「おばさん、どうしようもないことってあるよね」
「うん」
「だけど、テツ、がんばってよかったんだよね」

・・・・・・驚きと、言葉で言えない何かが、叫び声になって私の体を一杯にした。
私の中にいるのは、怪物だけじゃない。
卵の中から今現れたトカゲの子みたいに、きっとまだ会ったことのないたくさんの私がいて、
その一人ひとりといつかてをつなげたらいい、そう思った。
読書の時間
2005年07月05日
朝、4時半根には目が覚めます。寝床におきて、読み出します。最近は短編物ばかり、集中して読めないんです。
昔は、どぼーっと読めていたんですけどねぇ。。。
ちゃんがめもとうもまだ寝ていて、同じ格好で寝ていて、二人にあたらない場所を確保して、母ちゃんは呼んでいます。
雨だと少し暗くて、電気つけたいところなんですが・・・・で、1時間。5時半には動き始めるので、つかの間の1時間ですが、気持ちのいい1時間です。
草の輝き      佐伯一麦
また染めてみたいなぁ・・・とココロが動きました。草木染のことも丁寧に書かれていて、草木塔と言う言葉もこの本で初めて知りました。
新しいことを始める勇気、そこから始まる人との関係、みんな草や、木きたちがつなげてくれるような気がしました。
二人の思いのスピードもいい感じで、こういう恋愛は好きです。いい時間です。これは文庫本になったら、ぜひとも近くにおいておきたいです。
赤い蝋燭と人魚   小川未明   酒井駒子絵   2005.1.12
昔読んだ童話。酒井さんの絵が加わると世界が深くなります。
かぐや姫の終わり方とごっちゃになってました。
どこかに帰っていく人魚を覚えてましたが、売られていくんでしたね。
人間のほうがいい・・と思った人魚の母の願いは、
老夫婦の心変わりで崩れてしまう。
人魚は海に帰りたくて仕方なかったのにね。。切ない。
バッテリー   あさのあつこ   角川文庫   2005.1.7〜10
妹に教えてもらった作品。本棚でも取り上げられていたので
嬉しいつながりでした。文庫本でT〜Vまで読みました。グイグイ引きこまれるように読んじゃいましたね。早く続きが読みたいです。単行本ではあるんですが、うーん、待ちましょう。

巧君は変わっていくのかな?豪君は貫いていけるのかな?

懐かしいような感じで読んでいたのは、灰谷健次郎の「天の瞳」に似てる感じからなのかなぁ。
巧君と倫太郎君は違うけど似てる。どちらもじいちゃんの存在が大きい。先生がいる。子供を見守る親たちがいる。家族の在り方とか、人との関わり方を考えてしまうね。
文庫本が出るまで「天の瞳」再読してみよう。
ぶらんこ乗り   いしいしんじ             2005.1.6
おたがいに いのちがけで手をつなげるのは ほかでもない
すてきなことだとおもうんだよ

何度も繰り返される言葉。
切なかったね。声を失った弟は文字で世界を広げて深めていく。
ブランコが上手。物語の中にいくつもの話があって、それは弟君の心の声。
「ゆびのおと」というワンちゃんがいい。伝言板するんです。
たくましいおばあちゃんも素敵でした。
何の前触れの無しに訪れた死は、妙にすんなり受け止めて読んでしまったなぁ。
実体験のせい?と妹とも話したけど。
でもあの両親は生きているぎりぎりまでその思いを二人に残してくれてたから、よかったと思う。
「ここは とても いいところ」
手をつなぐのは本当に大切。愛してる人の手は忘れないからね。
ちゃんがめはすぐ手をつないでくる。ちょいと怖い時、不安な時、とてもがんばって褒めてもらいたいとき、つないでいるての強さで分かるものがある。

ありったけのいのちで、手をつないでいきましょう。

でもねかくんだよ ぼくは かくの 。あしをふんばって。おねえちゃんのわらいごえをきくためにね。おねえちゃんのわらいごえはこっちがわにある。ぼくは どうぶつのこえとおねえちゃんのわらいごえ あっちがわこっちがわへとゆれている ぶらんこみたいなものなんだ。 P179
樹上のゆりかご   荻原規子  理論社  2005.1.5
若い人たちの話を読むと、初めは必ず遠い出来事のようは距離感を味わうんだけど、それは今の私の玄関というのか、通り道なんだろうね。
うん、読み始めるとスイスイ引きこまれていくから。
おもしろい作品でした。
自分の高校生の頃よりはるかに大人の彼ら彼女らがいました。
マザーグースもグリムもほんとは怖い話なんだと気付いたのは
大人になってからです。
あんな風に行事や人とかかわりを持って、
何かを成し遂げていくことから遠ざかっている。
妻、嫁、母であることのありがたい肩書きに守られて、
何かに目をつぶってるよなぁ。
今年はもう少しでも私自身を取り戻して見たいという気にさせる作品でした。 

・・・私たちが歌うのは・・・・たぶん、私たちが若いからだ。

自分たちの努力の先になにがあるのか、まだ見えていないからだ。
価値あるものは何か。
勉強に果たして価値があるのかどうか、未定だからだ。   P52
イグアナくんのおじゃまな毎日    佐藤多佳子    偕成社
うーん、またお気に入りの本と会えた。「しゃべれども×2」のときのように読後感が良い。水戸黄門のお決まりのシーンのように、悪党たちが「はは〜〜〜っ」て、気分爽快。
実際、今この家にちゃんがめ以外の怪獣がいる・・・ということはやっぱり考えられない。でも、何かきっかけがあるんだろうね。愛してしまう、見捨てられない。
イグアナ時間って奴かなあ?
大人に振り回されていた樹里ちゃん。あなたは優しい子だ。母ちゃんは好きだよ。
エダモンの観察日記はちゃんがめの乳児日記と内容が同じで、笑ってしまった。ちゃんがめもイグアナサラダのようなもの食べてたよね。離乳食の頃。
梨木さんの絵本のワニは自分が何者かを知りたくて、知ってしまって食べられちゃう。小竹家のエダモンは自分の時間のままに生きている。
あー、おもろかったあ。ちゃんがめ、大きくなったら楽しい本が君を待っているよ。
それはなんて素敵な貯金なんでしょう。
偶然の祝福     小川洋子    
本棚の小川ブームに便乗。こうやって知らずにいる作家さんの作品を読むきっかけを与えてくれることは、とても嬉しいこと。
読み始めて短編集かと思ってたら、「私」=「作家」は同じ人物で幼年時代からの話がいったり来たりしているんだ・・・・と分かってからまた初めから読み直した。
ここがおもしろい。と言う箇所を書きたいんだけど、本実家に忘れてきたみたい。
また手元に着たら書き足そうと思います。この私を取り巻く人物たちがなんとも魅力的。
ここから「博士の愛した数式」につながっていくんだあ・・・と思うと早く読みたくてゾクゾクしてくる。
2004年09月15日 PM 4:19 追記
偶然って、偶然って言葉だけど、ほんとはそのときそうなる運命も抱えてるんかなあ?この短編読んでて、ささやかな偶然が「私」を救っていた。悲しい出来事もあったけどね。
これらの話に出てくる人物もだけれど、小物たちにも魅力があったなあ。
デューク      江國香織    画 山本容子     講談社
江國さんの初期の頃の文章に、版画家の山本容子さんが絵を入れた作品。
とても小さな本。かわいいサイズです。で、お話も切なくて温かくて、大事な人との別れを素敵なものにしてくれてる。
山本さんの絵がいいんだなあ。
これからクリスマスのプレゼントにもいいかもしれないなあ。
食べるぞ 食べるぞ    今江祥智    マガジンハウス
女優の卵さんと、45歳の独身男性、舞台は京都、大阪、神戸。とにかく食べっぷりが気持ちいい作品。ほんとうに「おいしいもの」が分かる人には、食べるほうも作るほうも心から楽しめるいい時間が過ごせるんやなあ。
ここに出てくるメニューや食材が、読んでいる私のおなかや脳までも刺激させてくれます。「食」の奥にちゃんと育って言った大人の恋も見逃せません。今江さんの文章は温かくて、鋭くて、いつも参りましたあ〜〜と言う感じ。  2004年08月3日
丹生都比売     梨木香歩    原生林
やっと手元に届いた本。装丁からして素敵。読む前に何度もなでなで・・・です。
さつまの家の縁側にもたれかかって、ゆっくりとした時間を感じました。
草壁皇子のいつもどこか淋しげで、悲しげな様子が目に浮かびます。
あの頃の日本・・・とても魅かれます。また読もう。    2004年08月1日
エプロンメモ    暮らしの手帖社   7月14日
季節ごとの生活の工夫が短い文で書かれています。
「すてきなあなたへ」もそう。4巻出ています。どちらも時々読むと、いつもの生活よりちょいとおしゃれしたくなる気分になります。気分だけね。それだけでも気持ちは潤うから十分な過ごし方。
どこから読んでも構わないので、何か読みたいなあと思うときにありがたい存在です。
サマータイム    佐藤多佳子   新潮社   7月13日
デビュー作なのかあ。二つの家庭の話が、時間を交差して「あのときの気持ち」とか、こうだったということが書かれている。「九月の雨」の章が良かったな。広一君と種田さんのぎこちないやり取り、自転車の練習は場面が浮かんでくるよう。存在とか空気感が伝わってきたね。
我が家は姉妹なので、弟とか、兄がいたらまた変わった毎日であったんだろう。
あの子達、今どんな大人になってるんだろう・・と思いますね。
旅の途中で      高倉 健    新潮社
高倉健さんは映像よりも本とのお付き合いのほうが多いです。
「あなたに褒められたくて・・」が始まりだったけど。
絵本になって、先日、文庫本にもなった「南極のペンギン」も、短い文章の中に、溢れる想いが感じられて・・・・・やさしくありたいと思うんです。
「寒青」という章が好きです。青という文字、言葉は母ちゃんの大好きな人や物がいっぱい詰まっているので。
フランダースの犬
ちゃんがめが読んで・・というので、読んでみた。
後半はもうだめ。おじいさんが亡くなってしまう頃から、のどが痛くなって、声も上ずってしまった。
今、夕方に再放送でテレビでもやってるんやけど、母ちゃんは見ないことにしている。久々に少女のように泣きました。
あー、辛かった。ちゃんがめ、おろおろしてたね。
プレゼントに選ぶ本ベスト5
1、 南極のペンギン      高倉健  文庫本も出たあ。うれしや!!
2、 西の魔女が死んだ    梨木香歩
3、 エンジェル エンジェル エンジェル   梨木香歩
4、 ロンパーちゃんと風船 金曜日の砂糖ちゃん   酒井駒子
5、 旅の途中で        高倉健

5冊じゃ収まらないから、後日追加の予定。  
どのほんよもうかな? 子供のための1700冊の本
                    日本こどもの本研究会   草土文化  
ブックリストです。1980年代に入手可能な本の集まりなので、
母ちゃんも目にしたり、手に取った本が多いです。
あー、懐かしいなあ・・とか。どんなお話だった?とか。
時間を忘れてページをめくっています。ところどころ落書きというのか、チェックのしるしがついてるんですが、なんとも母ちゃんと同じ傾向の読書をしている方のようで、親近感沸いています。
でも、落書きはアカンのよ。鉛筆書きなので、消しておきましょうね。
黄色い目の魚    佐藤多佳子    新潮社
読み初め空気の違いを感じていたんだけどでも、言葉や場面のの中に懐かしさや切なさを感じ始めたら、一気に読めた。私の昔にもあったんだ。
人物を書くのは今も苦手です。ちっとも似ないから。
こんなに下手でも美大にはいけるのか?と聞いた男の子がいたなあ。
「絵は絶対に描かない!!描かなくてもいいところへ行く」といきまいた。
それでってことでもないけど、染織の道を歩いた。でも、絵は描いた。受験の前のデッサンよりも真剣に。とても必要なことだと身に沁みてわかったから。
あのときの男の子は、ボタンが取れたと私につけろと言い、つけてやったのに
「そういうの、下手の長糸ってゆうとや」と言った。
今でも縫い物をするときは長糸です。
そげなこと、思い出してしもた。まっこて、げんねこつ!
しゃべれども しゃべれども    佐藤多佳子   新潮社
私にしては一気に読んだ作品。ちゃんがめの妨害がなかったらもう何にもしないで、読み終えただろうなあ。さわやかな気持ち。一気に読まなくちゃ味わえないと直感しました。
みんな、藁をもすがりたいそれぞれの悩みや生き方を持ってて、すがられた藁も試行錯誤の人物。でもほっとけないから、お世話を焼く。焼き方がいいんだなあ。なんか分かる。
文中から
『しかし、実に嬉しそうにしゃべってた。自分の言葉に楽しんで、ほくほくとやっていた。何べんも繰り返し聞き、しゃべっているから、もうたいがい飽きて、いやになっていそうなものだが、はずんだ表情で生き生きと口を動かし、手を動かす。よく笑う。』   P147

『時間が輪になってつながっている。沈黙で始まった付き合いを、終わりにしないためにまた沈黙でつなげて、その丸い形の沈黙の中で、互いに何かを語り合っている気がした。ずっと黙ったままで入るのかと思った。誰も帰ることができずに、ずっとこのままでいるのかと思った。P320

P147は、ちゃんがめそのまま。
ほんとに気持ちがほくほくしてきました。文庫本買いましょう。
人との出会い、付き合い方、関わり方、子供も大人も大事やね。
『毎度毎度面倒な手順を踏んで同じことを繰り返し稽古するんだよ。ただ一度きりの、その場に臨むためにね』P248
おばあさんの言葉も日々の中でよく感じること。
『ただ真似るのではない。しっかりと、そっくりと受け継いで守り、大切に自分の中で熟成させる。』 P164
深い言葉です。気持ちの中の温存。元気出てまいります。
灰谷健次郎まるごと一冊     新潮社
「本棚」で作家さんの特集本について書かれてた。ほんとに、私の思ってる作家さんと、デデ〜〜んと特集に納まった作家さんにはいくらかの溝があること、感じてた。
私の持っている取り上げ本は「灰谷健次郎」「まどみちお」「山本容子」
山本容子さんは銅版画家です。
灰谷さんのこの本は灰谷さん自身も企画に参加していて(そういう企画でないとできないだろうとは思う)ほんとにまるごと灰谷サンを知ることができた。
で、この本が今でもとてもずっしりした重さを感じているのは、この本は発売される前、神戸で児童殺傷事件が起こりました。「フォーカス」が少年の写真を掲載したことについて、灰谷さんが抗議し、その最中に刊行された本であったこと。
「フォーカスが犯した罪について」書かれた黄色いページは、読み返すたびに、むなしく切なくなります。灰谷さんの文章の師の一人、農民詩人といわれる坂本遼氏の言葉。
「誰でも関心を持つことを とくとくとして語るな 書くな」灰谷さんは肝に銘じたいとしています。
このあと、灰谷さんは新潮社から撤退して、「天の瞳」の続編は角川から刊行されています。
佐世保の小さな小学校で、また痛ましい事件が起こりました。
どちらの親の気持ちに添ってみても、辛いばかりです。
染織曼荼羅     澤田ふじ子    朝日新聞社
京都で学生生活が始まった頃に買った本。私は染織科に席を置いたが、京都に来るまで染織のことなど何も知らずにいた。田舎町だったから大きな美術展を見る機会もない。
クラスのこのほとんどは関西の子ばかりで、染織作家の名前を幾人も挙げては、感想を述べあっていた。おのおいた。とにかく、知ることだ・・・と思って・・・。
これは余談、京都に来てとても嬉しかったのは本屋さんがでかくて、それはたくさんの本があるということ。取り寄せる必要がない。取り寄せるために、本屋のおじさんにいちいちこういう本だと説明する必要もない。「この本探してるんですけど・・」と店員さんに聞くと、「はい、こちらです」とご丁寧に案内までしてくれる。私はチップを渡さねばならんのじゃないかと、あの頃マジで考えたほど。
見つけた本でした。
ずっと本棚においてあって、先日久しぶりに手に取り読み返しています。
五番町娼妓聞書の章
この五番町は我が家のすぐ近くです。結婚してすぐの頃は、色ガラスをはめ込んだ構えの建物がありましたが、知らないうちにどんどんとマンションへと変わってきています。淋しくもあり。
その色ガラスのある家はアパートのようになっていて、でもそこがかつて妓楼であったことは知りませんでした。何でこんなところに・・・・?それが西陣あっての・・と知ったのも随分あとからのこと。お恥ずかしい話。西陣は地名ではないのですね。
この章に出てくる老婆の話を作者は真正面から向き合って、心正しく聞いています。織り子として西陣に奉公に上がったものの、家の窮乏から娼妓になったという。華やかな西陣織の産んだもうひとつの世界。西陣は地名ではないのですね。
自転車で走っていると糸くりの音を耳にします。カッシャンカッシャンカッシャン・・
心地よいリズムで、いつまでも聞いていたい気持ちで、自転車をこいでいます。
この本はまだ読み続けているので、この章はここまで。
若いときに読んだときより気負いなく読めている私がいます。あの頃は必死だったんだなあ。そういう私も好きだけど。
本はいいね。どんなときでも自分を見ることもできるから・・・・
てりふり山の染めものやさん   おちのりこ   まさいけい   偕成社
『草木染は、青い実、赤い花、緑の葉をつかったからといってその色が染まるとは限りません。
むしろ、おもてにあらわれていない、植物の内に秘めた色が染まるのだ、と、としさんは思っていました。』
としさんは染色家。人里はなれたてりふり山に住むことになる。昔植物学者が住んでいた家。そこにはたくさんの花や草、木もある。そこで、としさんはおしゃまさんと名づけた女の子、その父三吉、妻、てりふり山に住む人たちと仲良くなる。三吉も染物や。そこで不思議な染め方を教えてもらいます。

この本を読んだ子供たちはどんな風に、ここに書かれている色を感じたのかなあ。
三吉の染めた色の名前。「早春の朝」「花曇の昼下がり」「こぶしの匂う夕暮れ」
染料会社の試験室にいたことがありました。来る日も来る日も色あわせ。化学染料の色の組み合わせばかり続けていると、ある日、色を見たときに、「N/ブルーが2.5  MB/レッドが7 GY/グレーが0.5・・・くらいかなあ。」と、数字の組み合わせで感じている私がいました。
それはそれで、色に対して訓練されていて、たいしたものと評価もされましたが、なんとむなしかったこと。それから、好きだった人にはほかに思う人がいることが分かって、自転車こぎながら見上げた空が、まあなんと青かったこと。青の空に励まされて、私は自分の感じる色を取り戻しました。

そういうこと思い出しました。てりふり山の住人たちは、皆気立てがよくて、どこか懐かしくて、昔はこんなだったんだ。プロの仕事をしていて、謙虚である姿。
染める・・ということの方法ではなくて、気持ちのありようをもう一度考えた作品でした。
染められた糸が縦糸と横糸とで、交差されて十文字になる。そこがいろいろな形の始まりであり、祈りでもあるんだ。布になって、人に使われるものに仕立てられて、喜ぶ笑顔がある。
ああ、そういうもの作りに関われたら素敵だなあ。
「月のしずくにはすべての色が溶け込んでいるのですよ。ただ、色を取り出すには、日の光が必要なんです。あしはそれを、お月さんのしずくとお日さんのかげんで染める・・というんですがね」

いい本に出合えました。化学染料を使っていても、根っこにある色を感じていることが大事と思いました。
本屋さんのレジでいつも思うこと・・・
文庫本、単行本などレジで渡すと決まって言われます。
「カバーはお付けしますか?」とか「この中でカバーがお必要なものがありますか?」など。
私は装丁も好きで選んだりするところがあるし、どうせちゃんがめに外されてしまうので、たいてい「要りません」と答えます。
そうするとレジの方は「ありがとうございます」「おそれいります」とかいうてくれるんですけど・・・
カバーをお願いします・・・って言ったらどう答えてくれるんでしょう。
そう思いながら、いつもの流れでカバー不必要を言ってしまうのでわかんないところです。
でも、あのカバー、再生紙とはいえ丈夫だし、使い道があるのかも知れぬ・・・・
小物の型紙取るにはいいかもしれませんねえ。次回から「おねがいします」と申し出てみよう。
 二人は屋根裏部屋で    さとうまきこ    あかね書房   2004・2・19
本棚のふみづきさんに教えてもらった本。もう絶版なんやって。小さい頃に読んでたら、もっと新鮮に読めたんじゃないかなあと思った。現代に生きるルミナと昭和の戦前を生きるエリ。お互いに反発しながらも引き寄せ合って、昔と今を行き来します。
二人ともそれぞれの場所から逃げたくて、うまくいかないことを違う世界にいることで慰めたり、二人でいることでお互いの傷を忘れようとします。なんか淋しい印象を持ったのは、今の私の年齢だからかなあ。ルミナから届いた手紙はエリを救ったんやないかなあ。
返事は書きましたか?
 エンジェル エンジェル エンジェル    梨木香歩    原生林  2003・12・3
あったよなあ。意地悪な心。チクチク、ザワザワ・・ちゃんと思い出せるからなあ。
さわちゃんもずっと忘れないでいたのね。神様も自分が悪かったって思うこと、あって欲しいなあ。
私も甘えてしまいそうだけど、さわちゃんのために。
バランスをとっているもの、傍から見ると気持ちよさそうなものだが、実際は気も体も力が入るものです。と思うんです。でも大切。ホントに。
装丁が素晴らしい。造本は吉本二郎さん。羽に見える。大事な友達へのプレゼントにしたい本。
お正月にゆっくり読もうと思ってたけど、待ちきれなくて読んでしまった。昔と今がバランスを持って交互する。梨木さんの文章は、短い言葉の中にいろんな思いをくむことができて、たくさんお言葉でもちゃんと必要なことで・・・庭師のようだ。
言葉が重なってる・・と言うのかな。見える色の下に何度も重ねられた色があるようにいつも思う。私がそこをちゃんと読んで見えているかはまた別の話。まだまだでございます。
 リ・セット         魚住直子    講談社   2003・10・16
夜中に穴を掘りそこに座る。外見は変わらないが新鮮な血が体内を巡り、新しい臓器が脈を打つ、身体も心もすべて生まれ変わるというリ・セット法。
私の初めってどこになるんだろう。初めに帰るって言うのもこの頃ではかなり勇気も必要だと思い始めるようになってしまった。最初のドキドキは忘れてないはずなんだけど。
「そうかんたんにはいかないんだ」セガメ少年のこの言葉が一番私には届いたなあ。
簡単にはいかないけど、どうにかしようとしている少年のこれからが、すこし見えてきたようでほっとしました。
魔女の宅急便 3       角野栄子     福音館書店
自分は自分・・・と改めて自覚するまでの、試行錯誤はきれいなことばかりじゃないこと。
いろんな気持ちとか行動も受け止めて、本当の自分に会えた時のキキの描写には、ぐっと来ました。
 空色勾玉       荻原規子        徳間書店   2003.10.8
自分が自分である前に、それ以上の思いもよらない運命、宿命を背負わされていたとしたら・・・・・大きな流れは自分の意思とは異なっていても、運命さえも変えてしまうのだろう。
でも、その運命も稚羽矢との出会いで自分のものとして受け止め、抱え込み、解き放っていく。
狭也ちゃんはそれだけの器の子だったのね。
スケールのでかい物語は読み手もでんと構えていないと、蹴飛ばされそうです。
稚羽矢のユニークさがほっとさせたり、ハラハラさせたり・・・
「すてばちになってはいけない。過ちを認めるのに、一番よくない方法じゃ。
 つぐなおうにも、つぐえないものもこの世にはあるが、それを知っていることと、努力しないことは別じゃよ」   岩姫   p286
 ナナさんのいい糸いろいろ    角野栄子     理論社
ナナさんは編み物やさんです。いい糸さえあればなんでもできる。いい糸さえあれば不思議も起きます。春夏秋冬に分かれて、いろいろな人や生き物の注文に応じて仕上げていくナナさん。そこにはいつも優しさとユーモアがあります。
おばあさんが残していった不思議な歌は声に出したくなるリズミカルなもの。注文の少ない夏には不思議の糸を集めます。好きなことをずっと続けていくことの素敵さを優しく暖かく教えてくれる本でした。


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