|
「さてと・・・今日の特売はこんなもんですかね」 「ねーねー、まだトリササミが残ってますわー」 最近、そんな彼女らをよく見かけるようになった。 「おーす、晩メシの買い物か〜」 先ほどまで目で追っていたのだが、偶然今気が付いたかのように二人に声をかけた。 「あ、圭一さん。今日はねーねーと一緒に天ぷらを作りますのよー」 「ええ、かぼちゃもたっぷりありますしね」 「ふぁぁぁっ!?ねーねーがイジワルですわー」 こういうネタで沙都子をからかう詩音も、今では見慣れた風景だ。 「・・・相変わらずだなぁ」 「・・・悟史君が帰ってくるまでに、沙都子の偏食をなくさないといけませんから」 人差し指を口の前で立て、詩音が片目を瞑って笑う。 「沙都子ぉ、お前頑張って好き嫌いなくさないと、そのうちかぼちゃ料理以外作ってもらえなくなるぞ〜?」 「ふぁぁっ かぼちゃは苦手ですわー」 はやくも半泣きになりかける沙都子を見て、詩音と二人で笑い合う。 「沙都子、頑張ってかぼちゃを食べるなら・・・ねーねーも頑張っておイモの天ぷら作ってあげますよ?」 「ふぇ・・・おいも?」 「ええ、ねーねー腕によりをかけちゃいますよ?」 詩音がその細い腕で力瘤を作るアクションをする。 「・・・おイモのために頑張りますわー」 「よしよし。その調子でアスパラとかピーマンとかも、どーんと乗り切ってくれると嬉しいんですけどね〜」 「ふぁっ!?いっぺんに全部なんて無理ですわー!?」 興宮に戻ってきたばかりのころは、料理がお世辞にも上手とはいえなかった詩音。 「圭ちゃん?」 「ぼーっとして、何かありましたの?」 そんなことを考えていた所為か、少しボーっとしていたらしい。 「・・・いや、美味そうだなと思ってな。詩音の天ぷら」 さっきまで考えていたことは、口に出すべきじゃない。 「当然ですよ〜。沙都子の偏食を治さなきゃいけないから、料理に関しては猛勉強してるんですから」 「最初のころのねーねーは目も当てられませんでしたわよ?ふふふっ」 詩音がえっへんと胸を張ると、間髪居れずに沙都子のツッコミが入る。 「沙〜都〜子〜・・・かぼちゃフルコースがお望みですか〜?」 「ふぁぁぁっ!?すぐにかぼちゃを持ち出すのは卑怯ですわ〜!?」 ・・・楽しそうにじゃれあうもんだ。 「沙都子が食わないなら俺が食う!むしろ俺に食わせろっ」 楽しそうな二人に、俺も積極的に混ざる。 「圭一さんに食べさせるおイモはありませんわー!一昨日おいであそばせ」 「あら、かぼちゃを食べない沙都子にはおイモもありませんよ〜?」 「うははははっ!かぼちゃもイモも食い尽くしてくれるわぁ!」 自転車のかごに特売品。
きっと毎日が楽しいぜ? こんなにも頑張って、二人は待ってるんだからさ・・・
|