|
「・・・んっふっふっ・・・久しぶりですねぇ、園崎さん」 仏教のそれと違う、丸い墓石に話しかけた。 「鬼ヶ淵死守同盟」 「雛見沢連続怪死事件」 どちらも懐かしいものになってしまった今。 「貴方に言わせりゃ安物で悪いんですけどね。コレでも奮発したんですよぉ」 供えるわけでなく、だばだばと墓石に安酒を浴びせてやる。 「懐かしいもんですねぇ・・・過ぎ去ってみれば、どんな思い出でも」 物言わない石相手に話しかける。 「アンタらとやりあった昔がねぇ、今となっちゃどうも懐かしいわけですよ。」 興宮の量販店で買っておいた、缶入りの安酒にも手をつける。 「今となってはみぃんな昔のこと。当たり前なんですけどねぇ」 かつての宿敵、園崎の墓石に寄りかかるようにしてもう一口あおる。 「私はねぇ、まだ疑ってるわけですよ。」 こんなに早く酔いが回るのは、この場所にいるからだろう。 「・・・怪死事件は祟りなんかじゃない。「大災害」にすら・・・なにか人為的なものがあったんじゃないか、ってねぇ」 ちびり、と苦味の強いそれを口に含む。 「考えてみれば、最初のおやっさんの事件。アレは納得いくんですよ、祟りだとしても。」 どうせ誰も聴いちゃ居ない。 「年々曖昧になっていく祟りの犠牲者。大災害の年の3人の犠牲者と、オヤシロさまの生まれ変わりの惨殺。・・・んっふっふっ・・・私じゃなくても不審に思いますよねぇ。」 そう、私はまだ追いかけているのだ。 「調べれば調べるだけ分からなくなるってんですから、アンタたちも厄介なものを遺してくれたモンです」 缶の中には一滴も中身がない。 「・・・今だから聞きますけどねぇ・・・アンタたち、もしかすると祟りに関わってなかったんじゃないですか?」 最初の事件は、関わっていたのかもしれないと思う。まだ疑っている・・・が 「雛見沢に巣くっていた別の何かの意思が・・・この事件の黒幕だと考えるとね、不思議と繋がっていくんですよ。アンタたちが犯人だと考えるよりはねぇ」 酒が入ると饒舌になるものだ。自分でも驚いている。 「・・・まぁ、どっちにしろ私の想像なんですがね・・・んっふっふっ」 神社の石段の下からクラクションの音が聞こえる。 「・・・残ぁ念。私はお迎えが来たみたいです。」 缶ビールと安酒のビンを袋に放り込んで立ち上がる。 「大石さん、やっぱりこちらで・・・って飲んでますね」 渋い顔をするあたりまだまだ若いですねぇ。 「オフの日にどこに居ようがどこで飲もうが、私の勝手ですよ?赤坂さん。それに私はもう隠居した身なんですからねぇ・・・んっふっふっ」 隣で説教を始めようとする赤坂さんを軽く流して、日が傾き始めた境内を振り返る。 ・・・また、来年ですねぇ 口に出さないでその場を後にする事にする。 宿敵たちの眠る村は、今年も変わることなく。 ひぐらしだけがないていた。
|