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会いたい 会えない 傍にいたい 傍にいない ただ一人だけでよかった ただ一人しか要らない それくらい大事な存在だったのに。 悟史くん 悟史くん悟史くん悟史くん 泣き出したいほど辛い。 信じて待つのがこれほどに辛いなんて・・・ 諦めて、誰かを恨むのは簡単なのに。 信じ続けること、待ち続けることはこんなにも辛い。 絶望や諦めに潰されそうな毎日を、かすかな希望にすがって生きる。 悟史くんは生きている。 悟史くんは帰ってくる。 それだけが希望で、それだけが望み。 蜘蛛の糸みたいに細いそれを、私はすがるように掴んで、信じようとしている。 ・・・それでも。 「・・・会いたいよ・・・悟史くん・・・」 泣きたくなる。むしろ現在進行形で泣いている。
ないっ!そんなことないよっ! 疑ってるんじゃないのか?彼の帰還を 疑ってなんかないってばっ!どっかいってよっ! 本当は諦めたんじゃないのか?北条悟史を? 嫌・・・嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!早く消えてよぉっ!!
「会いたい・・・会って言いたいこと、いっぱいあるんだよ・・・悟史くん・・・」 ぽた、ぱた、と床に小さな水溜りが出来るが、気にかける余裕もない 「また笑って欲しいよ、傍に居て欲しいよ、むぅって言って困った顔して・・・私、私・・・」 月の夜に、幻が見える。 『詩音、ゴメンね・・・泣かせちゃったかな』 その白い指で涙をぬぐおうとしてくれた。 「幻とか、夢でもそんなに優しくて不器用なんですね、悟史くんは・・・」 涙が少しずつ笑顔になっていく。 「まさか、会いに来てくれると思いませんでした。」 目尻に残った涙を払って、彼に向き直る。 『だって、詩音が泣いてたから』 彼はそういうと、やわらかい微笑で私を見つめた。 「そんな理由で、会いにきてくれるんですか・・・毎晩泣いちゃいますよ?」 『むぅ・・・それは困るなぁ』 本当に会いに来てくれるつもりなのか、困った顔で頭をかいている。 「悟史くん、私待ってます。もう何年でも、何十年でも。」 『・・・詩音』 こんなに優しい彼が、私達の信頼を裏切るはずがない。 「だから、おばあちゃんになる前に・・・せめて結婚式でドレスを着れる歳のうちに、帰ってきてくださいね。」 『むぅ・・・頑張るよ』 苦笑いのような微笑み。 『・・・沙都子を、頼むよ。詩音・・・』 月の明かりの中で、彼はまた私に言った。 「・・・か・・てください・・・私に、任せてください・・・悟史くん」 今度は、ちゃんと言えた。伝えることが出来た。 「沙都子は、悟史くんが帰ってくるまで私の妹です・・・私の、妹ですから」 悟史くんを安心させてあげたい。 『・・・ありがとう、詩音』 泣き出してしまった私の頭に、彼はその半透明の手をかざしてふわふわとなでようとしてくれた。 彼になでられながら、随分の時間泣いた様な気がする。
会えなくて 傍に居なくても
「可愛い妹に・・・お弁当でも作ってあげますか」 自炊生活で最近は料理のスキルも向上してきた。 「・・・よし、こんなもんですね♪」 お弁当箱をピンクの布で包んで、出来上がり。 ・・・今日は、良い日になりそうだ。
「詩音さんが・・・?妙な日もあったものですわね・・・」 沙都子がお弁当箱の包みを解き、ふたを開ける。 「な、ななな、なんですのぉっ!?このお弁当はぁ!?」 見事にかぼちゃ一色なそれに、悲鳴じみた絶叫を上げることは私には分かりきっていたことで。 ああ、今日はいい日だな。
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