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「お昼は散々でしたでございますわっ」 全く、かぼちゃ尽くしのお弁当なんて地獄めぐりと同じですわよ・・・と沙都子がぼやいている。 「みぃ・・・それが詩ぃの耳に入ったら、明日のお弁当の時間も沙都子はがたがたぶるぶるなのですね。」 「り、梨花ぁ!?お願いだから内緒にしておいてくださいませ〜」 明日のお弁当がかぼちゃ一色なのは私だってごめんこうむりたい。 「残念ながら、ボクにはもうどうすることも出来ないのですよ。にぱー☆」 「ほほ〜ぅ?沙都子は今日のお弁当じゃ足りなかったと・・・ふぅ〜ん・・・へぇ〜・・・」 沙都子の後ろに立ったみどりのあくまがそれを許すとは思えなかった。 「はぅわ!?し、しししし詩音さん!?」 「沙都子にはすこ〜し明日は辛いかも知れませんねぇ?ふふふ・・・」 沙都子をからかうようににやりと笑うと、詩音はわざとらしく沙都子の嫌いな野菜を買い物メモに付け足していく。 「ねーねー!あんまりイジワルしないでくださいませ〜!?」 ・・・この単語が出たってことはそろそろ終わりね。 「んん〜・・・どうしましょうかねぇ?」 詩音詩音、口元が妙にぴくぴくしながらにやけてるわよ。堪え切れてないから。 「ねーねー・・・」 ああ、こういうときの沙都子は反則的な可愛らしさ(例えるなら小型犬)があるからな・・・ 「し、しょうがないですねぇ・・・沙都子ってば」 詩音がでれーっとした笑みを浮かべて、沙都子を撫でている。 「じゃ、今日も一緒に晩御飯のお買い物に行きましょうか」 悟史以外の人に撫でられて、沙都子がああいう表情をするのかと思うほどに、落ち着いて楽しそうな笑顔だったから、正直嫉妬した。 「そういえば、最近詩ぃが沙都子にべったりなのですが、沙都子は大変なのですか?」 沙都子は苦笑いのような笑みを浮かべると 「ええ、そりゃもう大変でしてよ〜?朝は迎えに来ますし、お弁当はかぼちゃ尽くしですし、こうやってお夕飯もメニューにお野菜たっぷりになっちゃいますもの」 「みぃ、それは沙都子にはいい薬なのですよ、にぱー☆」 そういえば、詩音は沙都子の苦手な食べ物ばかり食卓に上げたがる。 「でも、不思議と嫌じゃないのが悔しいですわね。・・・なんといいますか、微妙に優しいような気もしないでもないですし。」 「みぃ・・・詩ぃが姉バカなら、沙都子は妹バカなのですか」 お互い嫌っていたらこうはならない。 「バカとは失礼でございますけど、詩音さんが姉バカなのは間違いありませんわね。」 そして沙都子の運命が決定した。 「ほほぅ、私がバカですか。沙都子にしては言うようになったものです。」 「ふぁっ!?詩音さんっ!」 昼間の焼き直しのようだが、こんな繰り返しならもう二三回見てもいい。 「みぃ・・・沙都子はかぼちゃに埋まってしまうのです。かぁいそかぁいそなのですよ」 詩音の笑みがあながち間違ってませんよ、とばかりに邪悪さを帯びていく。 「今日は天ぷらがいいですかね?それとも煮付け?ああ、かぼちゃサラダって手もありますねぇ・・・くっくっくっ・・・」 沙都子があわてる姿は本当に嗜虐欲を誘う。思わず突っつきたくなるくらいだ。 「詩ぃ、この前の煮付けは美味しかったのです。ボクはアレがいいのですよ☆」 「り、梨花ぁ!?裏切りますのっ?!」 「僕は沙都子が何を言っているのか分からないのですよ、にぱー☆」 あぅあぅやりだした沙都子を、詩音と二人でつっつきながら遊ぶのは楽しいのだが・・・。 「だから・・・かぼちゃもアスパラもピーマンもゴメンですわ〜!?たまには矯正メニュー以外が食べたいんですのっ」 「はいはい、一個でも克服したら考えてあげますよ」 「みぃ、何十年先の話か分からないのです」 「梨ぃ花ぁ〜!」 うん、コレはコレで楽しい。 |