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今日は数少ない村を上げての催し物、綿流しのお祭りの日だ。 ・・・勿論、それは私も同じことで。 「・・・ふふっ」 思わず口から笑いが吹き出す。 「お〜い、詩音〜」 道の向こうから悟史君の声が聞こえた。 「お、お待たせ・・・遅れちゃったかな」 「いえ、全然です。ちょっと私が早く来過ぎちゃっただけで」 「にーにー、きっと詩音さんのことですから30分前には来てにへらにへらしてたに違いありませんわ。」 ・・・ん? 「ちょ、沙都子?何であんたがコッチに居るんです?部活の方じゃないんですか?!」 沙都子の頭を抱え込んで、小声で気付かれないように話す。 「あら、にーにーは「二人っきりで」なんて約束してませんことよ。それに最初に約束してたのは私ですわ。」 「いいからお姉たちと部活に行っちゃってくださいっ!せっかく悟史君と二人で・・・」 「言われなくてもそうしますことよ。もうそろそろ皆さん集まりだす頃合ですわ。」 「二人は本当に仲がいいんだね」とα波を放出している悟史君の後ろから、喧しいくらいの一団がかけてくる。 「悟史ー、沙都子ー、おっまたせ〜」 「だーっ!走るな魅音っ首がっ首がしまるぅっ!?」 「はぅ・・・首輪付きの経緯ちくんかぁいい・・・お持ち帰りしていいかな、かな?」 「みぃ、沙都子はボクをおいていったのです、薄情者なのです」 私は崩れ落ちそうになるのを必死で堪えた。 「クスクス・・・あーら詩音さんいかがなさったんでございますの?」 沙都子が妙に勝ち誇った笑顔をしている。 「んげっ!詩音!?」 「人の顔見て「げっ」は失礼ですね。部活の皆さん、はろろ〜んです」 とりあえず、お姉を弄ってウサを晴らす。 「みぃ・・・沙都子はボクをおいていったのです、裏切り者なのです」 「り、梨花ぁ・・・機嫌直してくださいませ」 お邪魔虫は上手いこと梨花ちゃまがひきつけてくれてるみたいだし、いい感じだ。 「にーにー、手繋いでよろしいですか?」 「ん、構わないよ?」 ・・・あのお邪魔虫め・・・ 「沙都子〜・・・こうなれば私もそちらの流儀にのっとることも止むなしですよ?」 「あら、詩音さん如きに私の相手が務まりますかしら〜」 まず、金魚すくい。 そんな調子で部活が進んでいき、終わる頃には大体全員がヘロヘロになっていた。 「くぅ・・・こんなはずじゃ・・・」 「それはコッチの台詞ですわ・・・」 梨花ちゃんの奉納演舞までブルーシートの上で休むことにした。 「詩音、沙都子、監督のところから麦茶を貰ってきたよ」 ああ、なんて細やかな気配りなんでしょう。 「ありがとうございます、悟史君」 「ううん、気にしないで。今日は沙都子といっぱい遊んでもらっちゃったし」 にこり、と微笑を浮かべる悟史君にうっかり見とれそうになる。 「沙都子、特等席でボクの頑張りを見て欲しいのですよ」 巫女装束の梨花ちゃまがやってきて、沙都子の手を引いていく。 「・・・今日はありがとうね、詩音」 二人っきりになったものの、何を話して言いのかわからない私に悟史君が話しかけてくれた。 「沙都子、凄く楽しそうだったからさ・・・また構ってあげてよ」 そう、悟史君にとって沙都子の幸せは自分の幸せと一緒で。 「んー・・・考えておきます」 「・・・あはは、すぐ「うん」って言ってくれないのは詩音らしいね」 二人でくすくす笑い合うと、悟史君が不意に私の頭を撫でた。 「詩音・・・ありがとう」 きっとそのありがとうは、沙都子と遊んでくれてありがとう。沙都子が楽しそうに笑う顔を見せてくれてありがとう。そういう意味なんだろう。 「どーいたしましてです。お代はデート一回くらいで結構ですよ」 軽口でなら、こんなことも言える。 「・・・うん、いいね。今度お礼にどこかに連れて行くよ」 「・・・はい?」 こういう予想外な返事が返ってくるとは思わなかった。 「きっと興宮は詩音のほうが詳しいと思うけど、二人で歩いてみるのも面白いと思うよ?詩音は嫌かな?」 一瞬夢かと思った。 「そう、ですね・・・お祭りの疲れが抜けた辺りで、遊びに行きましょうか」 「そうしよう。きっと楽しいよ」 そんなのは当たり前ですよ。 そうやって二人で予定を考えるうちに、お姉から声がかかる。 こういう特典があるなら、お祭り騒ぎもたまには悪くないかな?
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