世界の中心で、愛をさけぶ Maniacs:カセットテープ


第1話 朔→亜紀

あ、あ、入ってるのかな
松本朔太郎です。
この間はごめんなさい
でもわかって欲しいこともあって
あれは俺にとって本当に切ない話だったんだ
俺は廣瀬が居なくなるのがなによりも一番切ない
もし許してくれるのなら
今日の放課後
あの場所に来てください

第1話 亜紀→朔

廣瀬亜紀です

今日は私の好きなものについて話します

第5位
たこ焼きパパさん
の前でこそこそはがきを書いている松本朔太郎

第4位
ガムのおもちゃで騙される人のいい松本朔太郎

第3位
いつもいつも鍵をなくしてもぞもぞしている松本朔太郎

第2位
ジュリエットやめてくれたらと言ってくれた松本朔太郎


第2話 亜紀→朔

こんばんは
廣瀬亜紀です

ふふ、びっくりした?
7月3日
今日の晩御飯
うちはコロッケでした。
うちのコロッケってお父さんの好みでカニクリームなの
だから普通のじゃがいものやつあんまり食べたことないのね

わらわはコロッケが食べたいぞよ

図書室で一緒にコロッケパンが食べたいよ


第2話 朔→亜紀


おはようございます。
松本朔太郎です。

突然ですが
わたくし
文化祭の演出に立候補しようと思います。

そなたの接吻を阻止するのじゃ

コロッケパンが待っておるぞよ
あ、図書室で、


第4話 朔→亜紀

おはようございます。松本朔太郎です。
明日はいよいよ県予選ですね。

さすがに亜紀の気が散るといけないので、行かないで我慢します。
その代わりに元気の出る歌を集めてテープを作ってみました。
練習の合間にでも聞いてください。

第5話 朔→亜紀

具合はどうですか

じつは明日のキャンプ
智世とボウズはいけなくなっちゃいました
みんなで行きたいと言ってたのに
そんなことになっちゃってごめん

でも
楽しいキャンプになるように
その分いろいろ用意しとくし
亜紀がちょっとくらい熱出しても大丈夫なように
120%準備しとくから
安心して来てください



第5話 朔→亜紀

未来の廣瀬亜紀さんへ

えーと、廣瀬って入れたけど、廣瀬なのかな
できれば松本になっていてほしいです
あ、でも
亜紀は一人っ子だし
俺は妹いるから
俺が廣瀬になるほうが

とにかく
僕は毎日をずっと
今日のように亜紀とのんびりと過ごしていければ



第5話 亜紀→朔


未来の松本朔太郎へ
朔ちゃん、私ね、
わかったんだ

幸せってすごく単純なことだね
朔ちゃんがいて、私がいることなんだよね
きっと
そういう毎日のことで
だから
これからもずっと
昨日のように

朔ちゃんとずっと
手をつないでいけたらと思うよ
私が朔ちゃんの手を引っ張って
朔ちゃんが子供の手を引いて
そんな風に歩いていけたらと思う

第7話 亜紀→朔

おはようございます!廣瀬亜紀です!
ふふ、油断してたでしょ?

あ、考えたら
なんかおはようって久しぶりだ。

とにかく今日一日は
病気のことは忘れようと思ってます。

まずは
コロッケパンが食べたいぞよ。


第8話 亜紀→朔

朔ちゃん
わたし
最近、朔ちゃんといるとすごく疲れるんだ
病人扱いされるのも
治るとか信じられるのもうっとうしいし
だから
もう来ないでください
さようなら、朔ちゃん


第8話 朔→亜紀

こんばんは、松本朔太郎です。
今日は俺の
嫌いなものについて話します。

第5位
図書室でキスされるような、男にガードが緩い廣瀬亜紀

第4位
俺の前で無理をして俺を特別扱いしない廣瀬亜紀

第3位
夜の海で死のうとする廣瀬亜紀

第2位
テープ1本で別れようとするふざけた廣瀬亜紀

第1位
後ろに乗ると言ったくせに約束を守らない廣瀬亜紀

以上、
のみ。
あとは好き。全部好き。

第9話 亜紀→真

おとうさん

あした
わたし、結婚写真撮るよ

私のウエディングドレスとか
興味ないかもしれないけど

わたし
がんばってしゃんとするから

髪の毛にも踏ん張るように指令出したぞよ

今の私には
もうこんなことしか頑張れないけど

おとうさんに見て欲しい

第9話 亜紀→朔


朔ちゃん

いつも空の写真
ありがとう

今度の薬はきついけど
これだけきついんだから
きいてるはず

ここで頑張れば
ぜったい
悪い細胞をやっつけられる

だから
心配しないでね
朔ちゃん


第9話 亜紀→朔

朔ちゃん

いつも空の写真
ありがとう

毎日
朝も昼も夜も

ちゃんと学校は行ってる

私は最近
やっとアボリジニーの本を読み終えました

アボリジニーの世界では
この世にある全てのものに理由が存在するの

災害や争いや死や
私たちの世界ではマイナスと考えられることにも

私の病気にも理由があるはずよ

それを悲しいとか
苦しいとか
さびしいとか思うのは

きっと
理解が足りないせいなんだよね

そうだよね
朔ちゃん


第9話 亜紀→朔

朔ちゃん
生きてるってどういうことかな
死ぬってどういうことかな

たまに生きてるのか死んでるのか
わからなくなる

朔ちゃん
朔ちゃん
朔ちゃん
私の声
聞こえてるよね


第9話 亜紀→朔

朔ちゃん
きのう
夢を見たよ
電話が鳴っていて

そっちのほうに歩いてくと
真っ青な空があるの

あれはきっと
ウルルの空だよ

朔ちゃん
空が見たい
一度しかない
最後なら
わたし
世界で一番
青い空が見たい

第10話 亜紀→両親

おとうさん
おかあさん

ごめんね

これが自殺なのかなんなのか
わかりません

だけど
頑固で
負けず嫌いで
かっこつけで
泣き虫の
私の最後のわがまま

白血病で死ぬことが
私の運命だったとしても
そんなものに
私の17年を
つぶされたくない

きっと
いきたいように生きるために
生まれてきたから
最後まで
そうしたい
青い空を見に
いく

わがままで
ごめんなさい

最終話 亜紀→智世

智世へ

智世と初めてしゃべった日
いまでも覚えてるよ
陸上部の練習の初日

タオル貸して

屈託のない智世の明るさは
私のあこがれだったんだよ
智世の笑った顔
すき
大きな声もすき
だから
いつまでも変わらないでね

最終話 亜紀→ボウズ

ボウズ 
一回呼んでみたかったんだ
怒るかもしれないけど
お坊さん 向いていると思うよ
ボウズの明るいお経 いいなぁ
聞いてみたいよ
わらわはばっちり聞いておるぞよ

最終話 亜紀→龍之介

大木君
夢島ありがとう

わたしと大木君は
ちょっと似てるかなって思ってます

かっこつけのところと
実は小心者のところとか

もっと
いろんなこと話したかった
もっと
友達になれたよね

おまえさん

朔ちゃんを
よろしく


最終話 亜紀→谷田部

先生
最後までありがとうございました

いつでも
誰に対しても変わらない
先生の強さと優しさは
こうでありたいと願う
私の理想でした
恩師と呼べる人に出会えた私は
幸せでした。


最終話 ソラノウタ

生きていくあなたへ
もしも、おまえが枯葉って何の役に立つのってきいたなら
私は答えるだろう。
病んだ土を肥やすんだと

おまえは聞く
冬はなぜ必要なの
すると私は答えるだろう
新しい葉を生み出すためさ

おまえは聞く
葉っぱは何であんなにみどりなの
そこで私は答える
なぜって奴らは命の力にあふれてるからだ。

おまえはまた聞く
夏が終わらなきゃいけないわけは
わたしは答える
葉っぱどもがみんな死んでいけるようにさ

おまえは最後に聞く
隣のあの子はどこに行ったの
すると私は答えるだろう
もう見えないよ
なぜならお前の中にいるからさ

お前の足は
あのこの足だ

がんばれ


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