趣味のSF年代史(ばっくなんばー)

1979年に創刊した「趣味のSF」は1987年の17号で突然の休刊となってしまった。これの理由はいろいろあるが、今さら多くは語らない。
今後、この「趣味のSF」のバックナンバーの内容が少しずつでも内容をウェブ上で見れるようにしていきたい。
そして、これから作っていくつもりのデジタル版の「趣味のSF」に協力してくれる人たちが見て、その“イロ合い”を掴むための参考にしてもらえたらと思う。

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[創刊号]1979.7.20.発行

  私なりの遭遇(前島博彦)
  F氏の趣味的SF映画論「ミクロの決死圏」
  内宇宙への旅路 (1)J.G.バラード(猫三平二満)
  「11人いる!」テクニカルマニュアル
  浮舟物語 第一話(のなかひろえ)
  SILENT RUNNING(HAL9000)
  今さらながらの感想文「賢者の石」(Y.ケムケム)
  創刊記念特別対談「発行人vs編集長」

某タウン誌での密逢魔からの「SFっぽいサークル作りましょ?」という呼び掛けで集まったのが約2名。いつの間にか決まった同人誌発行。その記念すべき創刊号。「趣味のSF」というタイトルは密のおばあちゃんがとっていたNHK発行の「趣味の園芸」から。表紙も「趣味の」というロゴも、その表紙からコピーしたもの。
なぜかシュミの悪い真っ赤っかのいいかげんな表紙、だけど100円という定価までつけた。この創刊号は即売会に出したかどうかは覚えていない。

[第2号]1979.11.25.発行

  ダイナメーションは映像の不可能を可能にする!(前島博彦)
  F氏の趣味的SF映画論〈その2〉
  今さらながらの感想文〈その2〉(Y.ケムケム)
  【特集】ロリータ・シンドローム
       対談「ナボコフのロリータについて」
       告白「あるつぶやき〜なぜ私は少女を愛するのか?」
       思春の森〜アリスランドの住人たち〜(密逢魔)
       連載シナリオ「血こそ命なれば(1)」(舟橋立泰)
       現代エイジズム考(猫三平二満)
       詩「心」(シャルル・ゲラン)
  人類無能力化論〜平安文学的考察(のなかひろえ)
  アナーキーな人間ロボットの恐怖(M)

SF文化研究会の会員は、社会人、学生、男女と雑多だった。しかもディープなSFマニアはほとんどいなかった。そんなメンバーが中心となって作り上げた同人誌は、いわゆるふつーのSF同人誌ではなかった。
このメンバーのメイン編集人の独断と偏見でこの号で「ロリータシンドローム」なる特集を組んだ。まだ、ロリータコンプレックスなる言葉が市民権(?)を得ていない頃だった。その第1回の特集は結構マジメなもので、対談、評論などが中心だった。この「ロリータシンドローム」特集とその後の「アリスマニアロリータイズム」の連載が人気を呼び、「趣味のSF」の売上(通販、即売会、書店販売)に貢献した。
シナリオ「血こそ命なれば」は、「宇宙少女ミュウ」(ミュウのページ参照)の脚本も手がけた舟橋立泰の作品。

第3号]1980.3.30.発行

  F氏の趣味的SF映画論〈その3〉「2001年時計じかけのバリー・リンドン」
  シネ・ノートNo.1「プロフェシー」(マメオ)
  【特集】春の短編的恍惚
       連載シナリオ「血こそ命なれば」後編(舟橋立泰)
       体験的CINE SHORT STORY「黒メガネのたけし君」前編(M)
       ショート・ショート(1)「リエゾン」(ナカムラ・ミユキ)
       ショート・ショート(2)「久方の光のどけき」(猫三平二満)
  仮題「COSMO WING準備号」No.1 Vol.1(Double N)
  今さらながらのアンケート(Y.ケムケム)
  1979年封切SF映画雑評(モンキー・パイソン)

第3号は、創作中心の号になった。特にショートショートの二本は今読んでも、手前みそながら質が高いと思う。いずれも女性執筆者だ。
イラストも含めて、この頃の創作関係は女性ライター中心で、彼女らの力量のお蔭でようやく同人誌らしくなって来た。また、映画評の連載も始まり、「趣味のSF」のスタイルが確立しだした。
[第4号](1周年記念号)1980.9.21.発行

  「趣味のSF」一周年!執筆陣はこう語る!!
  F氏の趣味的SF映画論〈その4〉「NECRONOMICON」
  仮題「COSMO WING準備号」Vol.2 No.3(D.N)
  Y.ケムケムの…「独断全集全3巻――対話篇/感想篇/名言篇」
  「X電車で行こう」について考える(波里井雷霧)
  連載シナリオ「オン・エアー」前編(水野充裕・前島博彦)
  たそがれ時…SF少年…悪夢の時…
  MAD BOY SF大作戦 感動の第1回(なりたひろみ)
  〈特別寄稿〉SF…!?おもちゃ(囚人六号)
  吾妻ひでおの"不条理日記"ベストテン
  CINE SHORT STORY「黒メガネのたけし君」後編(M)
  【付録】毎日SF新聞

創刊から(つまりSF文研創設から)一年が経ち、第4号はめでたく1周年記念号となった。
この4号あたりから「趣味のSF」は内容が徐々に偏向の度合いを増していく。その意味でも記念的(?)1周年号だったかも。
「宇宙船」や「スターログ」「OUT」といったオタク色の強い雑誌が同人誌を紹介するようになり、そこに投稿するようになった。ぼちぼち通販も始めるようになり(この号は200円+郵送料で販売)、読者のニーズを考えるようになって来た。
昭和版の東宝怪獣シリーズ、ウルトラシリーズ、ガメラシリーズなどのソノシート、プロマイドといった懐かしグッズ紹介や吾妻ひでおの「不条理日記」を取り上げたりしだした。また、「毎日SF新聞」という付録を付けた。今はすでに僕の手元にもないが、これまたオタク度の高いモノだった。誰か持っていたら譲って欲しい。
怪獣物のソノシート、プロマイドは当時のこの特集の執筆グループが持っていたもので、彼らが今も保存しておれば、今ではかなりのレア物だ。人気復活のギララやガッパもあったようだ。
連載シナリオ第2弾の「オンエアー」は、執筆者のひとり前島博彦が自分が主宰していた自主製作映画の集団"三倫社"で作ったSF映画。
[第5号]1981.2.1.発行

  「不死の人」,そうでない人(情事・ワシントン)
  連載シナリオ「オン・エアー」後編(水野充裕・前島博彦)
  "THE SHINING"(モンキー・パイソン)
  【特集】ロリータ・シンドロームpart2
       ロリコンインタビュー(Yケムケム+密逢魔+はりいらいむ)
       密逢魔氏の「ロリータコレクション」
       マゾッ子メグちゃん(情事ワシントン)
       あじましでおの「ぬとぬとワールド〈ロリータ篇〉」
      「きんぎょ」(猫ヶ洞賢一)
       ロリコンを客観的にみてみよう対談(F氏+編集長)
  「最高級有機質肥料」(筒井康隆)について考える(波里井雷霧)
  「TOKON7」ルポ
  SF…?唐突ながらSF日記(囚人六号)

再び特集「ロリータ・シンドローム」を組んで、時代の要請に応える。さらに編集陣、執筆陣が充実する。特に情事ワシントンは、今後「趣味のSF」に無くてはならない執筆者となり、短編小説、表紙などのイラストなどなど大いに活躍。
「ロリータ・シンドローム」は、密逢魔の少女写真集特集などが見応えある。出版社名と値段付の保存版?
この年、東京は浅草で第19回の日本SF大会(TOKON7)が開催され、SF文研からも2名のスタッフを派遣、そのルポを載せた。この大会は、長年に渡って各地て開催されており、有名なのは大阪のDAICON。かってのこの主催メンバーが、その後アニメプロダクションのガイナックスを作り、「エウ゛ァンゲリオン」などのヒットを飛ばす事になる。

[第6号]1981.8.1発行

  「オン・エアー」監督インタビュー(監督:前島博彦vs舟橋立泰)
  連載・アリスマニアロリータイズム第1章
  マメオのシネノートNo.2「ニューヨーク1997」
  仮題「COSMO WING準備号"K氏の証言"」D.N.
  情事・ワシントンのSF講座
    「第1講:趣味の悪いSF」「第2講:サウンド・イン・SF」「付録:試験に
    よく出る実用SF単語」
  SF大作戦(成田博美)
  マメオのシネノートNo.3「アルタード・ステーツ」
  1980年封切SF映画雑感(モンキー・パイソン)
  
ロリコンネタの記事が遂に連載化してしまって「アリスマニアロリータイズム」となった。ただ、この第1回の記事内容はいまいち内容が薄い。
「情事・ワシントンのSF講座」は当時のSF事情を的確に捕らえている。名古屋の南山大学文学部出身の彼のアイロニカルな面が良く出た傑作講座。
なお、この号はから平とじになって背表紙が付いた。また、表紙は初めての2色印刷だった。

[第7号]1982.1.1発行

  【巻頭特集】ジェニー,マイ・ラブ
         「ジェニーの肖像」時をかける少女(密逢魔)
         対談「ジェニーの肖像」を語る(密逢魔vs情事・ワシントン)
         短編「ジェニーの症状」(ロバート姉さん)
         書評「ジェニイ」ポール・ギャリコ(情事・ワシントン)
         ジェニー愛唱歌
         3人のジェニー☆銀幕のジェニーたち☆
  マメオのシネノートNo.4「イレイザー・ヘッド」
  「DAICON3」レポート
  「決戦・日本シリーズ」について考える(波里井雷霧)
  山野浩一論(波里井雷霧)
  連載・アリスマニアロリータイズム第2章
    「ちび猫ルックを作ろう!(ナカムラミユキの手芸の項)」「ロリータウォッチング」「シナリオ・森の中〈前編〉(舟橋立泰)」「アリスマニアごしょーかいコーナー」「ALICE LIBRARY」
  マメオシネノートNo.5「デビルスピーク」
  GREEN ODYSSEYの一寸一言(N.HARADA)
  サイエンス・"赤方偏移"について(DoubleN.)
  SF大作戦3(なりたひろみ)
  チャンピオンたちの朝食(カート・ヴォネガットJr著、情事・ワシントン訳)
  封切SF映画いいたいほうだい(モンキー・パイソン)
  やる気のなーい進化論(Y・ケムケム)

この7号は、内容充実の面でひとつのピークに達した。ページ数も80ページとなった。創刊号は37ページだった。ちなみにこの号の販売価格は250円。
しかし、SFカラーはどんどん褪色していった。「ジェニーの肖像」特集は、まあ対象作品自体がファンタジーだからいいようなものの、連載化した「アリスマニア…」などはこの時期の本誌のこういったカラーを決定づけしている。
執筆者もやたら増えて来た時期だ。その執筆陣も一応SFではあるが、SFがその趣味(読書傾向とか)のメインではないという人たちも多かった。
「チャンピオンたちの朝食」は実は第5章の日本で初の翻訳だ。早川書房で全訳が出るのは、この2年後である。
なお、この年の大阪での日本SF大会「DAICON3」に2名が参加、レポートを掲載している。

[第8号]1982.6.1発行

  【特集】短篇集
       シナリオ「森の中」後編(舟橋立泰)
       「犬」(情事・ワシントン)
       「岸辺で」(ヴォルフカング・ケーペン著、Y・ケムケム訳)
       「星娘(STAR GIRL)序章」(D.N.+Ny)
       「浮気はしません」(堀井圭)
       コミック「PROGRESS」(KEITH)
  マメオのシネノートNo.6「爆裂都市」
  悲報!P.K.ディック死す(情事・ワシントン)
  これから作りたいと思っている自主製作による映画「ハート哀しく」の話…(前島博彦)
 RELEASE!!SFMOVIE採点表(モンキー・パイソン)
  
この号はガラッと趣を変えて、創作特集になった。同じく創作短篇を中心にした第3号に似ている。ただ、意図的にそうしたわけでなく、連載陣が休筆したせいだったと思う。
この号で趣味のSF初のマンガが掲載された。作者のKEITHこと増田早苗さんは、当時、武蔵野美大の学生で、すでにセミプロとして活躍していた人。この後、何回かイラストなどを掲載させてもらった。また、この頃イラストレーターの末弥純と同人誌を作っていた。その本のチラシをこの号に折り込みで入れて配って拡販協力していた。
あのフィリップ・K・ディックが死亡、「アンドロイドは電気羊の夢をみるか?」を原作とした映画「ブレードランナー」公開直前の事だった。

[第9号]1982.11.1発行

  対談「ブレードランナー」を語る(舟橋立泰vs情事・ワシントン)
  長篇連載「星娘(STAR GIRL)PLOROG PART2」(D.N.+Ny)
  短篇「アラスカ綺譚」(堀井圭)
  ALICON3〔第1回アリスマニアコンベンション〕
                  〜アリスマニアロリータイズム第3章
  イラスト「無限時空」(採触憲微)
  SF大作戦4(なりたひろみ)
  RELEASE SF MOVIE REVIEW(モンキーパイソン)
  諸星大二郎と出雲神話(舟橋立泰)
  「平衡世界」(情事・ワシントン)
  
8号のところでも書いたが、ディックがこの年亡くなった。それもあって巻頭では映画「ブレードランナー」についての対談をした。まだ、カルトムービーとなる前の事で、世間的にはあまり好意的な評価は少なかった頃だ。
「ALICON3」というロリコン向けコンベンションの架空記事を書いたら、何人かが信用して連絡をして来た。今考えるとまさかそんなイベントが開催されるワケないと思うのだが…。そういう時代だったのだろう。
[第10号](10号記念特大号)1983.3.1発行

  【10号記念特集】「レギュラーメンバー大座談会」
          「お好みSFアンケート」
          「モンキーパイソンのSF映画評No.3〜9まで」
  SF文研ミニレポート1「BOOK BOX & COMICA」
  短篇「妖怪の森」(堀井圭)
  短篇「死盗人」(舟橋立泰)
  短篇「謎の女」(情事・ワシントン)
  試験によく出るSF名作早わかり(情事・ワシントン)
  SF文研ミニレポート2「STAR BASE NAGOYA」
  イラスト・採色憲微作品集
  モンキーパイソンの封切SF映画評
  連載・アリスマニアロリータイズム第4章「解放されたロリータコンプレックス」
    「レムの捜査線 2001年トラウマシティ」(密逢魔)
    Alice Photography Best10(密逢魔)
    ぼくのお好きな少女たち(密逢魔)
    毎日ロリータイムス
    シナリオ「漫画」(脚色・舟橋立泰)
  「トラブル」(筒井康隆)について考える(波里井零須)
  NOTES 1、2(D.N.)
  季節はずれの感想文なのだ(Y.ケムケム)
  怪奇大作戦よ、ふたたび…第1回(T.F.)
  久しぶりに…映画雑感(MAMEO)
  連載小説「タマシイさん・1」(水陸翼)
【付録】特製しおりセット

1979年の創刊から4年経って「趣味のSF」は10号を迎えた。レギュラースタッフおよび執筆陣8名による大座談会を催し、その採録を載せた内容は大した事ないが、当時のSF文研のムードを良く伝えている。執筆陣の一人の「SFは(文学の)場外乱闘だ!」という名言がなかなか奥深い。
この記念号には、プリントゴッコでしこしこ作ったしおりを綴じ込み付録として付けた。
[第11号]1983.9.1発行
  【特集】今さらながらのミンキーモモ――あるいはおくれてきたアニメ特集
                        (アリスマニアロリータイズム第5章)
       軟弱!!ミンキーモモ対談(モチャーいとうVSしんどぶっくおーま)
       ミンキーモモルックの作り方(ナカムラミユキ)
       彼女がCMのモモ"根本しのぶちゃん"なんだぜい
       毎日ロリータイムス"号外"「ミンキーモモファン大集会」
       ぼくの好きなアニメキャラ(採触憲微)
       モンキーパイソンの映画・夢幻・無限・館「アニメ映画の間」
  短篇「阿蘇の秘密」(堀井圭)
  「さよならジュピター」の舞台について(切里枝)
  詩「銀河の岸辺にて」(切里枝)
  長篇連載「"流星"の一 ある天才少年の死(前)」(?)
  モンキーパイソンの映画・夢幻・無限・館
  連載「STAR GIRL(星娘)PART3」(D.N+N.y)
  今さらながらの感想文「バリントン・J・ベイリー"カエアンの聖衣"について」
                                 (Y・ケムケム)
  怪奇大作戦よふたたび…第2回(T.F. )
  連載小説「タマシイさん・2」(水陸翼)
シナリオ「宇宙を翔る少女(前編)」(舟橋立泰)
  日野日出志と彼のフリークたち(マメオ)
  切里枝のクロスワードパズル

盛り上がるアニメブームに呼応し、「魔法のプリンセスミンキーモモ」の特集を組んだ。コミカなどの同人誌即売会での拡販も狙っていた。
この号からの長篇小説「流星」は本当に長い作品で、お蔭でこの11号と次の12号は結構分厚い本となってしまった。

[第12号]1984.3.1発行
  【特集】アマチュアフィルムメーカーのSF世界(モンキーパイソン)
       スタジオパイポ・福原浩インタビュー「夢幻飛行」
       DAICON FILMのこおなあ
       8mm映画「ANDROIDwcw1021」完成まで(木村真澄)
       AFM SF MOVIE
  はじめましてのページ(じゅんこ)
  マメオのシネノートNo.7「異色対談」(マメオVS中家純春)
  第3の選択と宇宙人について(河野純司)
  連載小説「タマシイさん・3」(水陸翼)
  連載小説「STAR GIRL(星娘)PART4」(D.N.+N.y)
  切里枝のSF小説★漫画のセリフクイズ
  連載・アリスマニアロリータイズム終章「さらば!!愛しき少女達よ」
   ロリータシンドロームからアリスマニアロリータイズムまで
   これが「ヘイ!バディ」だ!!
   同人誌「銀河系」紹介
   「うる星やつら」小特集"ラムにムラムラ"
  長篇連載「"流星"の一 ある天才少年の死(後)」(?)
  絹の道(シルクロード)に思いをこめて(切里枝)
  イラスト「日本名画劇場(1)イ・ノ・チ・ミ・ジ・カ・シ・コ・ヒ・セ・ヨ・ヲ・ト・メ」(KGK )
  イラスト「Alpha」(採触憲微)
  コミック「ペンシル・スクランブル」(採触憲微)
  コミック「Lost Time」(巳波真裕)
  イラスト(KEITH)

会員に自主製作映画作家がいた事から、この号以前にもしばしばアマチュアのシナリオなどを掲載していたが、SF映画ブームの中、アマチュアフィルムにもそういったジャンルの作品が増えて来て、12号では特集を組むことになった。
「趣味のSF」にも漫画を連載(最終的には中断)してもらう事になった福原浩氏の「夢幻飛行」を取り上げたのを初め、大阪SF大会のフィルム、「ミュウ」の甲藤プロのフィルムなどを紹介した。この頃、甲藤プロの「続・海底軍艦」の撮影にエスキトラなどで会員が協力したりしていた。
また、「アリスマニアロリータイズム」が終章を迎えた。密逢魔的には、「ネタがつきた」という事だが、その実アキが来たってのが正解だったかもしれない。
この号ではなんと漫画が2本も掲載、イラストの執筆も多く、だんだん文学からビジュアル(映像、絵)志向になっていく。勢い、スタッフ、執筆陣も代わっていく。丁度この12号はそんな代替わりの時期だったようで、新しいスタッフが3名も入って来た。そのひとりKGK氏は、情事・ワシントン氏に代わって表紙などのイラスト担当になってくれるひとりだった。
また、「夢幻飛行」スタジオパイポの福原浩氏も会員として、以後やはり表紙や漫画の連載でセミプロを腕を発揮。いや、実際にコバルト文庫の挿絵を描くというような仕事ともしているので、プロと言えるだろう。また、ニュース映画の仕事にも携わっていた。
[第13号]1984.8.31発行
  イラスト「日本名画劇場(2)二十四の瞳」(KGK)
  連鎖短篇「流星PART4」(?)
  イラスト「Summer!」(採触憲微)
  シナリオ「宇宙を翔る少女(中編)」(舟橋立泰)
  連載小説「タマシイさん・4」(水陸翼)
  イラスト「萩尾望都礼賛」(式出典子)
  連載小説「地球より愛をこめて・第1回」(くるみちゃん)
  笑いの爆弾…シェイプアップ乱(マメオ)
  イメージイラスト・流星の三「柳生列伝、月ノ抄」(?)
  アニメアンケート(D.N.+N.Y.&H.)
  短篇「蒸発」(舟橋立泰)
  「さよならジュピター」のキャラクターについて(切里枝)
  封切SF映画雑評(モンキーパイソン)
  GIGER'S…
  堕天使ラム=その数奇な女優生涯(K&K)
  コミック「MORI〈PART1〉」(じゅんこ)

「あなたもわたしもピーターパン・シンドローム号」と銘打った13号だが、実は特に特集も無い号だった。なぜ、こういうタイトルを付けたのか今ではよく覚えていない。この言葉が流行った1984年、結構いい歳を重ねた連中がこんな雑誌を作ってモラトリアムしていることへの自戒を込めたコピーだったのかもしれない。
[第14号]1985.3.10発行
  イラスト「日本名画劇場(3)楢山節考」(KGK)
  お年賀ありがとう★オリジナルデザインケッ作選★
  詩「ペルシアン・ブルーの伝説」(切里枝)
  コミック「逝く星〜THE DYING PLANET1」(福原浩)
  【特集】ビデオでびでおる日々★CHAP1★
       1−"もっと見たいよ!グログロホラー!!"(TF)
       2−VIDEODROMEの日々Vol.1(MAMEO)
       3−季節を感じない恐怖映画のお話し(山田五紀)
  シナリオ「宇宙を翔る少女(中編の2)」(舟橋立泰)
  赤亜満のひとり言「SFの普及についての一考察」
  モンキー・パイソンの趣味のSF映画雑評
  切里枝のマンガ・エッセイ「KEITHさんの作品との出会い」
  ?個人集「流星」より
  コミック「MORI〈PART2〉」(じゅんこ)

今や巷にはレンタルビデオ店が溢れかえり、国内外の映画作品が新作でも旧作でもいつでも見れるような状況にある。1985年のこの当時、ビデオで見れるグログロホラーの特集をやった時は、丁度ビデオソフトが普及して来たところだった。日本ビクターが開発、ソニーのベータを凌いで、世界の家庭用ビデオの標準規格となったVHSの作品がどんどん海外からも入って来始めていた。しかし、それまで海賊版で横行していたマイナーなスプラッターは、海賊版の取り締まりにより、却って観ることが出来にくくなってしまったのだ。しかし、そんなマイナー系だったスプラッターも今ではほとんどメジャーで作られている。ホラーのジャンル自体が、SFと同じく国内外で1ジャンルとして地位を固めている今日、労せずしてレンタルできる。グログロホラー特集をしたこの当時、字幕の無いダビングを重ねたビデオを食い入るように観ていたのが、また逆に懐かしい。
この号から福原浩氏の漫画の連載が始まる。かなり力の入った力作だったが、3回で中断してしまったのが残念。不安定で不定期発行の同人誌の宿命で、「趣味のSF」も連載中断の多い本だった。
この号から編集部にもワープロが導入された。でも完全原稿での投稿方式なので、依然として手書き原稿もまだ多かった。

[第15号]1985.9.30発行
  イラスト「日本名画劇場(4)関東緋桜一家」(Mr.サイバーダイン)
  ?無題?(D.N.)
  【特集】ビデオでびでおる日々★特別編★"スペシャル三木の華麗!?な世界"
       1−特殊メイクアーテスト〈三木理〉インタビューと実践!メイク講座!!
       2−Mr.サイバーダインの突撃体験レポート「特殊メイクに地獄を見た!」
       3−あなたも私もホラー映画!(山田五紀)
  ちょっとだけいいほうだい!!(桑葉之右)
  『デンジャートリップ』クランクイン直前レポート
           〜ある無名文化人の私がMという男を知って…(TOWNおじさん)
  読切短篇"THE BLUE DEGRATION"(鞍開朝志)
  GOAISATSU(野口修司)
  詩「降星夜」(切里枝)
  連載小説「NAOSHIGE」(小池あずさ)
  コミック「逝く星〜THE DYING PLANET2」(福原浩)
  連鎖短篇「流星の六"何故"」(?)
  シナリオ「宇宙を翔ける少女(完結篇)」(舟橋立泰)
  コミック「MORI〈PART2〉」(じゅんこ)

特集は名古屋在住の特殊メイクアーティスト三木理氏のインタビューとメイク講座。名古屋をキーとして、早見優主演の映画『KIDS』の特殊メイクといったプロの仕事から甲藤プロのような自主製作まで幅広く活躍していた。SF文研メンバーがそのワークショップへ押しかけ、会員のひとりサイバーダイン氏(旧KGK)にメイクを施してもらいながらの楽しいインタビューだった。
[第16号]1986.6.20発行
  【特集】THE MAKING OF『IN BAD TASTE』
(ヤングジャンプシネマフェスティバルSFX部門賞受賞!!)
       「PROLOGUE」「IN BAD TASTEとは…」「シナリオ採録」
       「ぐちぐち(みきおさむ)」「本編仮想ストーリー」「撮影すけべじゅうる
       "IN BAD TASTE"の頃」
  コミック「逝く星〜THE DYING PLANET3」(福原浩)
  連載小説「ワルハラの星(1)」(なかとし)
  連載小説「THE KNIGHTLY OP I "FAREWELL,MY UPTOWN GIRL"(1)」
                                  (鞍開朝志)
  連載小説「ワープロの幽霊(1)」(アンギラス北村)
  コミック「はるか」予告編(坂純子)
  〈作品紹介〉オリジナルSF連載短編集「流星」(?)
  連載小説「NAOSHIGE PART2」(小池あずさ)
  1985 SF MOVIE REVIEW(MONKEY PYTHON)
  「デンジャー・トリップ」撮影快調!
  短篇「時間」(舟橋立泰)
  もう一つの病気(D.N.)
  「日本名画劇場(5)また逢う日まで」(菊千代)
  SF怪奇名作劇場採録(山田五紀)

15号でインタビューした三木理氏が「IN BAD TASTE」というオリジナル8mm作品で 雑誌「ヤングジャンプ」のシネマフェスティバルSFX(特殊メイク)賞を受賞したので、それをまたまた特集した。シナリオの誌上採録、撮影ウラ話などのなかなか力の入った記事になった。「IN BAD TASTE」は予告編という形を取った作品で、「物体X」「狼の血族」といった作品の特撮シーンを思わせる三木デザインのグログロメークをこれでもかと言うくらい見せるなかなか濃い作品だった。
その他は小説、コミックの連載、読み切りを掲載。

[第17号]1987.3.30発行
  【特集】ADプロダクション最新作「デンジャートリップ」
       「CAST」「STAFF」「EXPLANATION」「SYNOPSIS」「にほんえいが
        がえすえふするとき(モンキーパイソン)」「INTERVIEW」「SFX」
       「たかが映画…されど映画…(前島博彦)」「ギガダイムス」
  ちょっとだけいいほうだい(桑葉之右)
  SF MOVIE REVIEW(モンキーパイソン)
  連載小説「THE KNIGHTLY OP I "FAREWELL,MY UPTOWN GIRL"(2)」
                                  (鞍開朝志)
  連載小説「NAOSHIGE PART3」(小池あずさ)
  ためになる海外ニンジャ映画ガイド(山田五紀)
  短篇「風」(舟橋立泰)
  「日本名画劇場(6)赤ひげ」(菊千代)

結局この17号が最終号になってしまった。連載中だった作品も多く、はなはだ中途半端な終わり方だったのが今でも心残りだ。
当初年2〜3回は発行していたのが、1986〜87は年一冊のペースになってしまっていた。また、最終号は執筆陣の休載も多く、うすーい本になっていた。レギュラー執筆陣に社会人が多く、丁度3月の決算期に当たっていたのもこんな形になってしまったリアルな要因のひとつだった。
願わくば、このホームページを見た旧執筆陣が中途に終わった連載をデジタル版「趣味のSF」の誌面を飾ってくれるとうれしい。
15号から17号まではその特集がいずれも自主製作がらみだった。特に17号の「デンジャートリップ」特集は、執筆陣のひとり前島博彦氏の監督作品のため、ほとんど作品のパンフレットと言っていい程の内容になった。実際に確かチラシかパンフでこの原稿を使ったような気がする。「デンジャートリップ」は青春SF(?)とでも言う作品。田舎出のイモ兄ちゃんが特殊な新薬で180度変わってシティボーイになるというストーリー。インナースペース物と言ってもいいか?ちょっとディックとは違うけど。