続・超立方体と正軸体の中心切断形
一般の場合



2004/10/12   掲載開始         .
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§1  正軸体の中心切断形

  n 次元座標空間において、 n 本の座標軸の ±2 の点を適切に結ぶと、
正軸体という正多面体が得られます。 2n 個の頂点のうち、半分の n 個
(それを正頂点ということにします)は平面c2a01.GIF
の上に、残り半分の n 個(それを負頂点ということにします)は平面
 c2a02.GIF の上にあります。 この正軸体を、中心を通る
平面  c2a03.GIF で切ると、切り口は n-1 次元の多面体となり、
これを 中心切断形 と呼ぶことにします。
 ここでは、中心切断形がどんな多面体になるかを明らかにします。

 正頂点の一つ、例えば x_1 = 2 の点は、 i≠1 である n-1 個の負頂点
x_i = -2 と結ばれていて、これらを平面 α で切ると、切り口は n-2 次元
正単体となり、 n-1 個の新しい頂点が得られます。元の正軸体の頂点と区
別するため、c 頂点ということにします。同様に、各負頂点も、 n-1 個の
正頂点と結ばれていて、 α での切り口は n-2 次元の正単体です。以上の
考察から、求める中心切断形は、 2n 個の n-2 次元正単体が、互いに c 頂
点を共有して、つながっていることがわかります。

 これだけのことから、c 頂点、c 辺などについてかなりのことがわかりま
す。まず、 n-2 次元の正単体の頂点の個数は n-1 個で、それが 2n 個あり、
互いに共有されていることから、 (n-1) x 2n / 2 = n(n-1) 、すなわち頂
点は n(n-1) 個で、それ以上はありません。
  n-2 次元の正単体の辺の数はc2a04.GIF本で、
それが 2n 個ですから、辺の個数は (n-1)(n-2) / 2 x 2n = n(n-1)(n-2) 、
すなわち c 辺は n(n-1)(n-2) 本であり、これですべてです。

 2次元以上の面については、元の正軸体と言葉が紛れる恐れはないと思われ
ますので、cはつけないことにします。2次元の面としての正三角形の数は
c2a05.GIF すなわち n(n-1)(n-2)(n-3) / 3 
枚であり、 k 次元の面としての k 次元の正単体の数はc2a06.GIFです。
 中心切断形の2次元以上の面としては、正単体で全部というわけではありません。

 2次元以上の面として、正単体以外にどんな多面体が現れるでしょうか。
 次元の番号からなる集合を M_n = { 1, 2, ... , n } として、 M_n の
互いに素な(共通部分をも持たない)2つの部分集合 I = {i_0, i_1, i_2,
 ... , i_h } と J = {j_0, j_1, j_2, ... , j_k } を用意します。
  として、 I に番号をもつ座標が 2 である正頂点からなる h 次元の
正単体、 として、 J に番号をもつ座標が -2 である負頂点からなる
 k 次元の正単体とします。
これらの頂点を互いに結んで、平面 α で切ると、直積の多面体
が現れます。
 例えば I = {1, 2, 3 }, J = {4, 5} であれば は三角柱です。
 また、例えば J = {j_0} がただ1つの元からなる集合であれば、
  はただ一点であり、 にほかなりません。
厳密には、平面 α_+  や α_- 上の正単体に対して、平面 α 上の正単体は、
「中点連結の定理」によって半分の大きさしかないのですが、ここは同じ記号
を使うことにします。

 求める中心切断形において、面  はいくつ現れるか。
それは集合 M_n の中から、 I と J の組を何通り選び出せるかという問題に
帰着されます。 I の選び方は  通り、そのあとの J の選び方は
  通り、正頂点と負頂点の役割を交代させて、全部で
  通りとなります。
ただし h = k の場合は、交代させませんので  となり
ます。これらの係数は、要するに3項係数であって、 (1+x+y)^n の展開において、
前者は x^h y^k と x^k y^h の係数を加えたもの、後者は x^k y^k  の係数と
いうことになります。

 以上をまとめて次の定理が得られます。

  定理   n 次元正軸体の中心切断形に現れる面は、 0 ≦ k ≦ h < n, 
   k+h < n-1 なる h と k の対 (h, k) に対して、 h 次元の正単体と
   k 次元の正単体の直積であり、その個数は、 h ≠ k のとき
   、 h = k のとき 
   個である。

 この個数を実際に求めるには、次のような表を作ると見通しがよくなります。
例えば次は、 n = 6 のときの表です。

表 

 このデータから、6次元正軸体の系表の、対角線成分 30, 120, 120, 90, 
60, 120, 12, 30, 20 を読み取ることは容易です。

 つぎに4次元から10次元までの正軸体の中心切断面について完成した
系表を掲げます。

4次元の系表 

5次元の系表 

6次元の系表 

7次元の系表 

8次元の系表 

9次元の系表 

10次元の系表 





§2  超立方体(奇数次元)の中心切断形

 自然数 n に対して 2n+1 次元の立方体は 2^{2n+1} 個の頂点を
もっていますが、それらを (±1, ±1, ... , ±1) とします。
2つの頂点 (1,  1, ... ,  1) と (-1, -1, ... , -1) を
結ぶ対角線に垂直で中心を通る平面  
でこの立方体を切ると、その切り口は 2n 次元の多面体となります。
これを 中心切断形 と呼びます。ここでは、それがどんなものになるかを
明らかにしていきます。

 各頂点から先ほどの対角線に垂線をおろすと、その足に
したがって 2^{2n+1} 個の頂点を分類することができます。 +1 が n+1 個、
 -1 が n 個の頂点は  あり、平面 
 の上に乗っています。これらを正頂点といいます。また、 +1 が n 個、
 -1 が n+1 個の頂点も あり、平面 
の上に乗っています。これらを負頂点といいます。

  n = 3 すなわち 7次元の場合を例に考えてみます。正頂点、負頂点はそれぞれ
 35 個ずつあります。
 一つの正頂点から一つの負頂点を結ぶことはある座標の符号が変わることを意味
します。



ここでは 4 が上から下へ移っているので、 x_4 の符号が変わっています。
これを平面 α で切ると頂点が現れます。中心切断形の頂点ですので、元の
図形の頂点と区別して、c 頂点と呼ぶことにします。



これを平面 α で切ると辺が現れます。c 辺と呼ぶことにします。



これを平面 α で切ると三角形が現れます。



これを平面 α で切ると六角形が現れます。


  
これを平面 α で切ると、c 頂点で繋がった2つの正四面体が現れます。

 正頂点、負頂点のそれぞれに対して、中心切断系に正四面体が1つ
ずつ対応しますから、正四面体は全部で 70 個あります。c 頂点は 70 x 
4 / 2 = 140  個、c 辺は  70 x 6 = 420 本、三角形は 70 x 4 =
 280 枚あります。

  n = 3 の場合、正四面体は現れますが、正五胞体は現れません。一般に
 2n+1 次元の立方体の中心切断形には、 n 次元の正単体までは現れますが、
 n+1 次元の正単体は現れません。

 正頂点、負頂点のそれぞれに対して、中心切断形の n 次元の正単体が
1つずつ対応しますから、中心切断形には n 次元の正単体は全部で 
  個あります。したがって、c 頂点は  個
あります。c 辺は  本、一般に k 次元の
正単体は  個あります。

5次元の系表5次元の位相的展開図

右の図は、4次元の多面体の位相的展開図を、3次元空間に描いたところを
示しています。詳しい説明は  「立方体と正軸体の中心切断形」 
の §7 5次元立方体の中心切断形 をご覧下さい。

7次元の系表

9次元の系表




§3  超立方体(偶数次元)の中心切断形

 自然数 n に対して 2n 次元の立方体は 2^{2n} 個の頂点をもっていますが、
それらを (±1, ±1, ... , ±1) とします。
2つの頂点 (1,  1, ... ,  1),  (-1, -1, ... , -1) を結ぶ対角線に垂直で、
中心を通る平面 でこの立方体を切ると、その切り口は
 2n-1 次元の多面体となります。これを 中心切断形 と呼びます。
今回は、 +1 が n 個、 -1 が n 個の頂点 個がちょうど平面
 の上に乗りますので、これらが中心切断形の頂点となります。

 例えば、 n = 3 のとき、6次元の超立方体の頂点の個数は 64個であり、そのう
ちの20個が中心切断面の頂点になります。
 そのうちの一つ、例えば頂点P:からその他の頂点までの距離を求め
ますと次のようになります。

               423               453
               156               126

               523               436
               416               125

               623               356
               451               124

               145               452
               256               163

123            153               426               456
456            426               153               123

               163               256
               452               145

               124               451
               356               623

               125               416
               436               523

               126               156
               453               423

 頂点Pから1辺を介して隣り合う頂点は9つであり、これらは4次元空間
の多面体です。この多面体を、頂点Pを中心とする  (Wheel) ということに
します。輪の面を構成する種類と個数を完全に決定することが当面の課題です。
そのために、輪の1つの頂点Q:に対して、その周りの状態を調べて見ま
す。すると
頂点Qの周り

 左右の三角形は実は正三角形であり、 2 x 9 / 3 = 6、 すなわち正三角形は
この輪には6個あることがわかります。また、上下の四角は実は正方形であり、
2つの数で特徴付けられます。よって 3 x 3 = 9、 すなわち正方形はこの輪に
は9個あることがわかります。
 正三角形と正方形からなる3次元多面体は三角柱がもっとも簡単な例であり、
それが6個とすればすべて辻褄が合います。以上で6次元の立方体の中心切断面の
輪について、次の系表が得られます。

輪の系表輪の位相的展開図

 これは4次元の多面体ですから、右のように、3次元空間にその位相的展開図を
描くことができます。

 母関数を利用すると、系表の対角線成分が直ちに得られます。

母関数

 x^i y^j の係数と x^j y^i の係数を加えたものが、 i 次元の単体と
 j 次元の単体の直積の個数となります。

 以上で、輪の構造が明らかになりましたから、元の中心切断形を知ることが
できます。頂点が20個あることはすでに見ましたが、辺は 9 x 20 / 2 = 90、 
すなわち90本です。三角形は輪の辺の数が18なので 18 x 20 / 3 = 120 、すな
わち120枚です。四面体の数は、輪の三角形の数が6なので 6 x 20 / 4 = 30 、
すなわち30個です。輪の正方形は、輪の中心とその対称点とで正八面体を構成
します。輪の正方形の数は9ですから、 9 x 20 / 6 = 30 、すなわち正八面体
の数は30です。
 4次元の胞は何でしょうか。正四面体の各辺の中点をとって、4つの頂点の
角を切ると正八面体が得られますから、これから類推して、4次元の正5胞体
の角を切ったものを調べてみます。すると次の系表が得られます。

系表

これを L と呼ぶことにします。L は4次元の多面体ですから、その位相的
展開図は、3次元空間に作ることができます。
 まず、外に正八面体を、中に正四面体を置きます。
位相的展開図
この二つの図形の間を、4つの八面体と4つの四面体で埋めることができます。
位相的展開図
 この図を作った Visual Basic のプログラム・コードが  こちら   
にあります。
 
 これらを総合して、6次元超立方体の中心切断形の系表が完成します。
 Lをだけを、12個使って作ったものだということがわかります。

系表

 さて次は8次元の立方体の中心切断面についてです。

 8次元の超立方体の頂点の個数は 256個であり、そのうちの
個が中心切断面の頂点になります。
 そのうちの一つ、例えば頂点P:を選び、Pからその他の頂点ま
での距離を求めます。すると、頂点Pから1つの辺を介して隣り合う頂点の
全体、すなわちPを中心とする輪は6次元の多面体になりますが、その面
の種類と個数は、次の母関数を展開することによって得られます。

系表

 ここでも前と同じように、たとえば x^i y^j の係数と x^j y^i の係数を
加えたものが、 i 次元の単体と j 次元の単体の直積の個数となります。

 次の系表は、中心切断形の輪のもので、必ずしも必要ないのですが
念のため、掲げておきます。

系表

 最後の行のデータは、次の母関数を展開したものです。

母関数

 輪の面は、Pを頂点とする錐形を作ると、中心切断形の面、またはその
一部になりますから、系表の第1行目( (1, 1) 成分を除く)のデータに
なります。そこで、第1列目のデータがわかれば、対角線成分が、すなわ
ち中心切断形の面の種類とその個数が全部わかることになります。

系表

 以下、同様にして、高い偶数次元の超立方体の中心切断面の系表を作っ
ていくことができます。例えば次は10次元の超立方体の中心切断面の系表
です。

系表

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