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§1 座標系の中の立方体と正軸体
平面に描かれた一辺が 2 の正方形を、平面と垂直に 2 だけ並行移動する
ことによって、立方体が得られます。この立方体をさらに4次元方向に 2
だけ平行移動すると、4次元の立方体が得られます。
座標を使って、もう一度考えて見ましょう。
数直線上の +1 と -1 の2点は、1次元の正方形と考えることができます。
次に、 xy 平面上で、 (±1, ±1) の4点を結ぶと正方形が得られます。
1辺の長さは 2 、対角線の長さは root 8 です。
3次元空間では、 (±1,±1,±1) の8点を結ぶと、立方体が得られます。
1辺の長さは 2 、対角線の長さは root 12 です。
4次元空間では、 (±1,±1,±1,±1) の16点を結ぶと、4次元の超立方体が
得られます。1辺の長さは 2 、対角線の長さは root 16 です。
高い次元の立方体を考えるには、このように帰納的に考えていくと、わか
り易くなります。
また、各座標軸の単位点と呼ばれる ±1 の点を結んでも、正多面体が
得られます。正8面体に代表されるもので、正軸体と呼ばれています。
まず1次元では ±1 の2点からなる集合です。1次元の正方形と同じもの
です。
2次元平面では、 (±1, 0), (0, ±1) の4点を結んだ正方形です。1辺の
長さは root 2 、対角線の長さは 2 です。以下、1辺の長さと対角線の長さ
は、何次元でも変わりません。
3次元空間では、 (±1, 0, 0), (0, ±1, 0), (0, 0, ±1) の6点を結んだ
正8面体です。正三角形が8枚使われています。
4次元空間では、 (±1, 0, 0, 0) とその置換の計8点を結んだ図形です。
正四面体が16個使われています。正16胞体と呼ばれることもあります。
§2 正多面体の系表と位相的展開図
正多面体を構成する、頂点、辺、面の数、また1つの頂点に何本の辺、何枚
の面が集まっているかを、一目で知ることのできる表があります。
例えば、立方体は、6枚の面(正方形)と、12本の辺と、8個の頂点とか
らなり、各面にはそれぞれ4本の辺と4個の頂点があり、各辺には2個の頂点
があります。また、各辺の両側から2枚の面が接し、各頂点には3本の辺と3
枚の面が会しています。これらを一つの表にまとめることができます。対角線
上は欄外の説明に関係なく、それぞれ多面体全体の面の数、辺の数、点の数を
書き込みます。対角線以外は欄外の説明の通りで、例えば立方体で点上の面の
数が3であるとは一つの頂点を共有する面が3枚あることを意味します。
同様にして、正八面体は、8枚の面(正三角形)と、12本の辺と、6個の
頂点とからなり、各面にはそれぞれ3本の辺と3個の頂点があり、各辺には
2個の頂点があります。また、各辺の両側から2枚の面が接し、各頂点には
4本の辺と4枚の面が会しています。
定義 このような表を、 The Symbol of the Configuration
系表 とい
います。
系表の歴史については、文末を参照して下さい。
3次元の多面体を2次元平面に描こうとするとき、展開図はそのひとつの
方法ですが、本来つながっているところが切り離されているという欠点
があります。つまり、連続性が犠牲になっているのです。
これに対して、あくまで連続性を尊重する、その代わり、寸法や、角度
などは犠牲にするということで、図を描く方法があります。
それぞれの系表の右の図がそれで、このような図を、
位相的展開図
といいます。
一方の系表を、 180 度回転すると、もう一方と一致します。このことは、
立方体と正八面体が互いに双対であることによります。すなわち、ある正
多面体の系表を 180 度回転するとその双対正多面体の系表になります。
命題 系表の成分を行列のように a_{ij} で表すとき、
a_{ii} a_{ij} = a_{ji} a_{jj} が成立する。
例えば、辺と面の接着部分の数として、
辺の両側においたおはじきを数えると、
辺の数 x 一つの辺に会する面の数
= 面の数 x 一つの面上の辺の数
となります。
正四面体については、次の系表が得られます。この系表が 180 度の
回転に関して対称であることは、正四面体が自己双対であることに対応
します。
§3 4次元正多面体の系表と位相的展開図
4次元正多面体は全部で6種類ありますが、ここではそのうち、
正単体、正軸体、超立方体について、その系表と位相的展開図を
示しておきます。
正八胞体と正十六胞体は互いに双対ですから、その系表も互いに180度の
回転で一致します。
§4 立方体と正八面体の中心切断形
直交座標系 (x_1, x_2, x_3) を持った3次元空間で、8個の頂点
(±1, ±1, ±1) を結んで得られる立方体を考えます。2点 (1, 1, 1)
と (-1, -1, -1) を結ぶ対角線に直交し、原点を通る
平面 x_1 + x_2 + x_3 = 0 を α とします。
この立方体を、平面 α で切った切り口を、 中心切断形 といいます。それは
正六角形になりますが、その頂点と辺が、元の立方体のどの部分の切断かを
明らかにしておきます。これは、さらに高い次元での考察のために、大切な
作業です。
まず、頂点を表す記号ですが、例えば (1, -1, 1) は
13
2
というように、座標が +1 の番号を上に、座標が -1 の番号を下に書くことに
します。
上記の対角線に垂線をおろして8個の頂点を分類すると、
さて、次は正八面体についてです。
正八面体の頂点の座標は、 (±2, 0, 0) およびその置換の6個からなるも
のとします。これらは2枚の平面 x_1 + x_2 + x_3 = ±2 のどちらかに乗って
います。平面 α : x_1 + x_2 + x_3 = 0 でこの正八面体を切った中心切断形
は正六角形になります。
例えば (2,0, 0) と (0, -2, 0) との中点は (1, -1, 0) ですので、これを
12 と表すことにします。すると、正六角形は次のように求められます。
13 23
12 21
32 31
§5 4次元の立方体の中心切断形
直交座標系 (x_1, x_2, x_3, x_4) を持った4次元空間で、16個の頂点
(±1, ±1, ±1, ±1) を結んで得られる立方体を考えます。
2点 (1, 1, 1, 1) と (-1, -1, -1, -1)、 すなわち
1234 ----
---- と 1234
を結ぶ対角線に直交し、原点を通る平面 α : x_1 + x_2 + x_3 + x_4 = 0
でこの立方体を切った中心切断形を求めます。
上記の対角線に垂線をおろして16個の頂点を分類すると、
12
34
123 1
4 13 234
24
124 14 2
3 23 134
1234 ----
---- 23 1234
134 14 3
2 124
24
13
234 4
1 34 123
12
対角線の垂直2等分線上には、立方体自身の6個の頂点が並ぶ。
これらが求める中心切断面の頂点でもある。それらをもう一度
12 と 34
34 12
とを両端とする対角線をもとに並べなおして見ます。
13
24
14
23
12 34
34 23 12
14
24
13
すると、正八面体であることがわかります。
このように、立方体の頂点のいくつかが、求める中心切断面の頂点でもある
というのは、偶数次元の立方体の特徴です。
§6 4次元の正軸体の中心切断形
4次元の正軸体の頂点の座標は、 (±2, 0, 0, 0) およびその置換の8個から
なるものとします。これらは2枚の平面 $x_1 + x_2 + x_3 + x_4 = ±2 のど
ちらかに乗っています。平面 α : x_1 + x_2 + x_3 + x_4 = 0 でこの正軸体
を切った中心切断形を求めます。
頂点の記号は §3 と同様、例えば (2, 0, 0, 0) と (0, 0, -2, 0) との
中点 (1, 0, -1, 0) を 13 などと表します。
---------------------------------------------
13 24
14 34 23
12 21
32 43 41
42 31
頂点 12 には2つの正三角形と2つの正方形が会しています。
これは、立方体の各辺の中点をとり、それらを結んだ、角を切り落とした立方体
です。
この図形の中には、正六角形の「赤道」が4本あります。それは x_i=0,
(i=1, 2, 3, 4) なる平面との共通部分、すなわち切り口です。たとえば、 x_1=0
の切り口としては
43 42
23 32
24 34
という、 1 を含まない正六角形が見つかります。
§7 5次元の立方体の中心切断形
直交座標系 (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5) を持った5次元空間で、32個の
頂点 (±1, ±1, ±1, ±1, ±1) を結んで得られる立方体を考えます。
2点 (1, 1, 1, 1, 1) と (-1, -1, -1, -1, -1) すなわち
12345 と -----
----- 12345
を結ぶ対角線に垂線を下ろし、その足で32個の頂点を分類すると次のように
なります。
123 12
45 345
124 13
35 245
1234 1
5 125 14 2345
34 235
1235 134 15 2
4 25 234 1345
135 23
12345 1245 24 145 3 -----
----- 3 1245 12345
145 24
23 135
1345 4
2 234 25 1235
15 134
2345 235 34 5
1 14 125 1234
245 35
13 124
345 45
12 123
整数 k について、平面 α_k : x_1 + x_2 + x_3 + x_4 + x_5 = k
を考えると、上の頂点は左からそれぞれ k=5, 3, 1, -1, -3, -5 の平面
上にありますが、そのうち k=1 の平面上の10頂点を正頂点、 k=-1 の平面上の
10頂点を負頂点ということにします。
原点を通る平面 α: x_1 + x_2 + x_3 + x_4 + x_5 = 0 で
この立方体を切った中心切断形は、何か4次元の多面体ですが、その頂点は
正頂点と負頂点を結んだ線分の、平面 α との交点です。例えば正頂点
123 と結ばれている負頂点は 12 13 14 の3点であって、
45 345, 245, 235
これらの辺を平面 α で切断すると三角形が得られます。
このような三角形は正頂点が10個あるので、10枚得られます。正頂点と
負頂点の役割を交換してさらに10枚得られますので、全部で20枚得られます。
を平面 α で切断すると正六角形が得られることは、§4で3次元の
立方体を切ったときに考察したものと同じです。
また、この正六角形は、2枚の超平面 x_1 = 1, x_5 = -1 の上にあります。
2枚の超平面の選び方は
通り、
すなわち正六角形の総数は20枚です。
正三角形と正六角形を面に持つ3次元の多面体をしては、正四面体の
各辺を3等分して、角を切り落とした「3分角切り四面体」が考えら
れます。
これを M と呼ぶことにします。
求める中心切断面の系表は次の通りです。
おことわり: 点の上の六角形の数が2、Mの数が2 となっていましたが、
間違いでした。どちらも4です。2014.11.28 修正。
系表が完成した段階で、われわれは求める多面体を完全に決定したといえる
のですが、念のため、位相的展開図をつくっておきましょう。
求めた中心切断面は、この M が10個使われています。その位相的展開図
を少しずつ作っていきます。
まず中と外に1つずつ、 M を配置します。
このとき、中の M の三角形と外の M の六角形が向き合うように、
また、外の M の三角形と中の M の六角形が向き合うようにします。
補助的に描いた「足場」(空色の四面体)を消します。
2つの M の間に、8個の M を配置しなければなりません。
M はそれぞれ8枚の面を持っていますので、これは好都合です。
M の頂点は12個、2つで24個。他方、中心切断面の頂点は30個。よって二つの
M の間に、その差6個の頂点が必要です。
外の三角形と、中の六角形の間に、ひとつ M を緑で入れました。
逆に、外の六角形と中の三角形との間に、ひとつ M を入れました。
このようにして、3次元空間に、中心切断面の位相的展開図を描いて
いくことができます。
§8 5次元の正軸体の中心切断形
5次元の正軸体の頂点の座標は、 (±2, 0, 0, 0, 0) およびその置換の10個から
なるものとします。これらは2枚の平面 x_1 + x_2 + x_3 + x_4 + x_5 = ±2 のどち
らかに乗っています。平面 α : x_1 + x_2 + x_3 + x_4 + x_5 = 0 でこの正軸体
を切った中心切断形は、何か4次元の多面体です。それを求めます。
頂点の記号は §3 と同様、例えば (2, 0, 0, 0, 0) と (0, 0, -2, 0, 0)
との中点 (1, 0, -1, 0, 0) を 13 などと表します。頂点の個数は、
すなわち20個です。
---------------------------------------------
13 34 25
14 35 24
15 45 23
12 21
32 54 51
42 53 41
52 43 31
頂点 12 には2つの正四面体が会していることが読み取れます。したがって
6本の辺、6枚の正三角形が集まってきています。
四面体の総数を x とおくと、 4x/2 = 20, よって x = 10, すなわち
正四面体は全部で10個です。すべての辺、すべての三角形はそれぞれただ1つの
四面体に属するので、その数はそれぞれ60本と40枚です。
頂点 12 と 13, 53, 52 と結んで見ると、正方形であることがわかります。
三角形 {\tt 12, 13, 14} の3辺に接する正方形は上記のほかに
12, 14, 54, 52 と 13, 14, 54, 53 があります。これらは全部で三角柱
を構成します。この三角柱は、各頂点に三角形に対応する数だけ、すなわち
6個ずつが会しています。三角柱の総数を y とおいて、三角形の数を比べると
2y = 40 よって y = 20 、すなわち三角柱の総数は20個です。
以上をまとめて、次の系表を作ることができます。
この系表に基づいて、4次元の正軸体の中心切断形の位相的展開図が次の
ように作っていくことができます。
まず、三角柱をひとつ、縦におきます。
上と下に正四面体をくっつけます。
三角柱の側面に、三角柱を3つくっつけます。ただし、向きは横向きと
します。
横向きの三角柱の間に、四面体を挿入します。
これで三角柱を4つ、四面体を5つ使いました。
これらを、大きな三角柱で包みます。外の三角柱と中の立体との間に、
三角柱を15、四面体を5つ、入れなければなりません。
2つの四面体は、辺を共有することはなく、高々頂点を共有するだけである
ことに注意します。
中央の三角柱に対して行った作業を、今度は外の三角柱の内側に対して行って
いきます。すなわち、まず、上下の面に四面体をくっつけて、その頂点が
前の四面体と共有されるようにします。
外の三角柱の側面の内側に、3つの三角柱を、横向きにくっつけます。
このとき、稜線が前の四面体の辺と一致するようにします。
すると向き合った三角形の面の間に四面体ができていることがわかります。
これで、四面体は10個、つまり全部、使いました。
この段階で、辺は60本、つまり全部使い果たしています。ということは、
残りの12個の三角柱もすでにできているということです。見つけてみましょう。
さらに高い次元の超立方体と正軸体の中心切断形については、