否定文を作ろう
形式論理の勉強というと、すぐ、逆、裏、対偶という話になりますが、
私はまず、ひとつの文に対して、その否定文を作ることができなければならない
と思います。何故なら、裏も対偶も、それぞれ、条件と結論の否定が必要になって
くるからです。
次に、いくつかの問題を掲げます。誤答例と正答例を用意しました。
しかしそれを見る前に、各自、自分の答えを用意してください。
問題 次の文に対して、その否定文を作ろう。
例文01 「太陽は東から昇る。」
誤答例と正答例
説明1 いきなり誤った文章を作らされてまごつきませんでしたか。
否定文を作るという作業は、元の文が、また、否定した文が、
正しいか正しくないか、意味があるか意味がないか、ということと
まったく関係がありません。純粋に 「機械的な」 作業なのです。
説明2 否定文を作るひとつのこつは、例題文全体を疑問文にして、
「いいえ」と答えてみることです。その後に続く言葉が、答えとなります。
「太陽は東から昇りますか?」 「いいえ、太陽は・・・・・」
例文02 「 3年2組の生徒は全員出席です。」
誤答例と正答例
説明3 「すべて何々である」 という形の文を、
全称命題 といいます。
その否定 「何々でないものが存在する」 という形の文を
特称命題 といいます。
全称命題の否定は特称命題になります。
特称命題の否定は全称命題になります。
「 3年2組の生徒は全員出席です。」は全称命題です。
「 3年2組には欠席者がいます。」は特称命題です。
例文03 「 n は6の倍数である。」
誤答例と正答例
例文04 「 n の倍数は6の倍数である。」
誤答例と正答例
説明4 「すべて」 という言葉が省略されていることに気づき、
これは全称命題だから、その否定は特称命題になるはずだと、見通しを
立てることが大切です。
箱に数本のチョークが入っているとします。
例文05 「箱の中はすべて白いチョークである。」
誤答例と正答例
説明5 誤答ではないが、不十分な例として、「箱の中はすべてが白い
チョークだというわけではない。」 という形の解答があります。
もともと日本語は、相手の言った言葉全体をカッコで括って、「ではない」 と
続ければ一応否定したことになります。日常会話の否定はこの形が多く、
普通の生活ではそれで十分かも知れません。しかし、数学ではこの
カッコをはずしたらどうなるかが問題になります。
例文06 「箱の中には黄色のチョークがある。」
誤答例と正答例
説明6 例文が真である場合と、偽である場合とで、それぞれ解答者の心理
に微妙な影響を与えます。偽である文の否定はスムーズに出来ますが、
真である文を否定すると、その内容は偽となるので、解答者はそういう
文を作ることを躊躇します。間違ったことを言ったときに叱られた記憶を
体のほうが覚えていて、条件反射的に避けようとするのでしょう。
例文01 がその例です。
そこで条件の部分を否定してみるという間違いを犯します。すると裏が
出来てしまいます。否定文を作るときには、内容に左右されずに、機械的に
作らなければなりません。
例文04 に似た次の2つの例を比べてみましょう。
「 8 の倍数は 4 の倍数である。」
「 5 の倍数は 4 の倍数である。」
両者の否定文は同じ形でです。否定文の形は内容に左右されません。
例文07 「Aであるか または Bである ならば Cである。」
誤答例と正答例
例文08 「明日、天気がよければ、遠足に行きます。」
誤答例と正答例
説明6 ひとつの文とその否定文は、同時に両方が正しい
ということはありません。このことを
矛盾律
といいます。また同時に両方が誤りであるという
こともありません。このことを
排中律
といいます。
例文09 「太郎だけが知っている。」
誤答例と正答例
例文10 「私以外の全員が賛成しても、私は反対します。」
誤答例と正答例
5角形がひとつ与えられているとして、
例文11 「すべての辺が互いに等しい」
誤答例と正答例
例文12 「立て!」
誤答例と正答例
最後に、逆、裏、対偶などと、否定との関係の一覧表を掲げておく。
上の4つは全称命題である。
下の4つは特称命題である。
それぞれに対応している上と下が、互いの否定になっている。

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