命題1 点 P から楕円に接線が2本引けるとし、その接点を Q, R と
すれば、点 P の極線は QR である。
証明 P, Q, R の座標を (x_1, y_1), (x_2, y_2), (x_3, y_3) とすれば、
Q, R における接線は
となります。点 P がこれらの上にあることから
が成り立ちます。他方、点 P の極線は
ですから (3), (4) は Q と R がこの直線に乗っていることを示しています。
従って点 P の極線は QR です。
命題2 点 P が直線 m 上を動くとき、点 P の極線 p は
定点 M を通り、 M の極線が m である。
証明 直線 m 上の2点を P(x_1, y_1), Q(x_2, y_2) とし、
その極線をそれぞれ
とします。 p, q の交点を M (x_3, y_3) とすれば、
が成り立ちます。他方、 M (x_3, y_3) の極線は
ですから、(6) は 点 P, Q がこの極線にのっていることを示しています。
直線 PQ は m に他ならないから、 M の極線は m です。
§2 二次曲線と斉次座標
動点 P がある二次曲線上を動くとき、(この二次曲線は最も一般的
で、その中心は原点とは限らないし、対称軸も x 軸や y 軸に
平行とは限らないとします)点 P の極線の包絡線はどうなるか
を研究するのが本稿の目的です。
また、基礎となる二次曲線もはじめは
というような標準形でしたが、さらに、もっと一般的な二次曲線についてどうなるのかを
調べることにします。
そのために二次曲線の一般論を準備します。
二次曲線は一般に
と表わされ、行列を使って
となり、さらに
のように表わされます。これは3次元空間における円錐の方程式
において、平面 z=1 で切った切り口を見ていると考えられます。
(7) は簡単に
と表すことができます。すると 点 P :
におけるこの二次曲線への接線は
となります。
平面上の点 (x_1, y_1) に対して斉次座標 [x_1: y_1: 1] が対応します。
3次元空間におけるベクトル (x_1, y_1, 1) に直交し原点を通る平面は
x_1 x + y_1 y + z = 0
であり、平面 z = 1 による切り口は
x_1 x + y_1 y + 1 = 0
です。
点 (x_1, y_1) に対し直線
x_1 x + y_1 y + 1 = 0
を対応させる双対を 標準的双対 ということにします。
標準的双対は 「二次曲線」
に関する極と極線の関係です。
§4 包絡線
ここで 「もっとも易しい場合」 すなわち 「点 P(x_1, y_1) が二次曲線
を一周するとき、標準的双対に関する極線
x_1 x + y_1 y + 1 = 0
の包絡線は何か」 を調べてみましょう。
点 (x_1, y_1) はパラメーター θ を使って
x_1 = c cos θ , y_1 = d sin θ
と表されるから、その極線は
c cos θ x + d sin θ y + 1 = 0 (8)
となります。
一般に θ をパラメーターとする曲線の族
f(x, y, θ ) = 0
が与えられたとき、その包絡線の求め方は、 θ による偏微分
f_θ (x, y, θ ) = 0
を求めて、連立方程式を解くことです。
(8) を偏微分すると
-c cos θ x + d sin θ y = 0 (9)
となりますから、これらを解いて
c^2 x^2 + d^2 y^2 = 1
となります。これが欲しかった包絡線の方程式です。
このことは、点 P (x_1, y_1) が二次曲線
を一周するとき、標準的双対に関する極線の包絡線は
であること、すなわち二つの行列は互いに逆行列であることをしめしています。
ここで、点 P (x_1, y_1) が一周する二次曲線を、標準形の
から一般の二次曲線
へと、一般化します。
一般に対称行列 B は直交行列 T によって対角化され、
部分空間とその直交補空間という関係は直交行列 T によって変わらないので
次の定理が得られました。
定理3 点 P(x_1, y_1) が二次曲線
上を 一周するとき、標準的双対による極線 x_1 x + y_1 y + 1 = 0
の包絡線は二次曲線
である。
§5 一般的解決
初めの問題では、基準となる二次曲線は
でしたが、これを一般化して、基準となる二次曲線を
としましょう。これは内積の形に (x, Ax) = 0 と書き直す
ことができます。つまり x は Ax と直交しています。
点 x_1 が二次曲線
上を動くとき、点 y_1 = A x_1 は二次曲線
上を動きます。変数を x に戻せば二次曲線は
となり、定理3によって極線の包絡線は二次曲線
となります。
定理4 点 x_1 が二次曲線
上を動くとき、 二次曲線
に関する極線
の包絡線は 二次曲線
である。
点 P がこの包絡線上を一周するとき、その極線 p はもとの二次曲線
に接することは、定理2からも証明できますが、定理4を使って次の
ように直接示すことができます。
いま
と置くと
であり、点 P が包絡線としての二次曲線
を一周するとき、P の極線 p は定理4によって二次曲線
に接します。ここで、
ですから、それはもとの二次曲線であったことがわかるというわけです。