§1 正単体(正5胞体)
各次元の空間において、最も簡単な多面体を単体といいます。
まず、1次元では、直線上に2点をとると線分が得られて、これが1
次元単体です。
2次元平面では,一直線上に並ばない3点をとると、三角形が得られ
て、これが2次元単体です。
3本の辺からなりますが、それらは3つの頂点から2個ずつを選んで
結んだ1次元単体であることに注意します。
3次元空間では、同一平面上にない4点で、どの3点も同一直線上に
ないとすると、すべての2点ずつを結んで4面体が得られます。これが
3次元単体です。
4次元の単体について考える前に、正単体の作り方を思い出しましょ
う。正単体とは、各辺の長さが互いに等しい単体です。
一直線上に線分を一つとり、その左右に同じ長さの線分をくっつけま
す。これを2次元平面で折り曲げると正三角形が得られます。
同様に、2次元平面において、一つの正三角形の回りに、合同な正三
角形を3つ隣接させます。これが正4面体の展開図であって、これを3
次元空間で折り曲げて立体的に組み立てますと、正四面体が得られます。
3次元空間において、一つの正四面体の回りに、それと合同な4つの
正四面体を隣接させてくっつけます。これを4次元空間の中で立体的に
組み立てますと、5つの頂点を持ち、5つの正四面体からなる、正単体
が得られます。
位相的展開図は次のようになります。
中身の詰まった正多面体を「胞」と呼ぶことにします。4次元の正単
体は、5つの中身の詰まった正四面体でできていますから、正五胞体と
もいいます。
もう一度ただの単体の話に戻って、 n 次元単体を構成する頂点の個数
や、 k 次元単体 k = 1, 2, ... , n - 1 の個数について考えます。
例えば、4次元の単体では、5個の頂点があって、
です。系表を使うと一目瞭然なので、三角形や四面体のものと一緒に示
します。
それぞれはすべて組み合わせの数ですので、その記号を用いて表した
方が分りやすい場合もありますから、それを掲げておきます。
§2 超立方体(正8胞体)と正軸体(正16胞体)
2次元平面で4本の辺で囲まれた正方形、3次元空間で6枚の正方形
で囲まれた立方体の自然な延長として、4次元空間では8個の立方体で
囲まれた正八胞体が得られます。
直交座標系を用いれば、頂点は ( ±1, ±1, ±1, ±1) (復号はすべ
ての組み合わせに亙る)の16個を用意して、例えば超平面(3次元平
面) x_1 = 1 の上には (1, ±1, ±1, ±1) (復号は符号のあらゆる組
み合わせに亙る)の8個を頂点とする立方体があります。このような平
面は $x_i = ±1 (i = 1,2,3,4) の8枚があり,それぞれに応じて8個
の立方体が胞を構成します。
展開図は、3次元空間において、一つの立方体の回りにそれと合同な
6個の立方体を外からくっつけます。ここまでに立方体を7つ使いまし
た。これで4次元空間において組み立ててみると、あとふたをするため
にもう一つ必要であることが分ります。
位相的展開図を考えることも容易です。
筆者はこれを学生のころ、ガモフの「1, 2, 3, ... 無限大」の挿絵で
初めて目にして感激しました。
次は正軸体といって、各座標軸上の原点から等距離にある2点をとっ
て結んだ図形です。2次元では正方形、3次元では正八面体です。
4次元にあっては ( ±1, 0, 0, 0), (0, ±1, 0, 0),
(0, 0, ±1, 0), (0, 0, 0, ±1) の8点を用意します。
16 枚の超平面 ±x_1 ±x_2 ±x_3 ±x_4 = 1 のそれぞれの上に,
4点を頂点とする正四面体があり、それらが胞となっています。
例えば超平面 x_1 - x_2 + x_3 - x_4 = 1 の上には
(1, 0, 0, 0), (0, -1, 0, 0), (0, 0, 1, 0), (0, 0, 0, -1)
を頂点とする正四面体が乗っています。
展開図を考えるには、まず一つの正四面体の回りにそれと合同な正四
面体を4つ接着します。この時点では正五胞体の展開図と同じです。
正十六胞体は各辺を4つの胞(正四面体)が共有しているので,中心の
正四面体の6つの辺に沿って6つの正四面体をさらに付け加えます。
これで 11 個の胞を使いました。
あとの5つは例の正五胞体の展開図でふたをして完成です。
位相的展開図は次の通り。
立方体の8つの頂点のうち4つを、各面で対角線の両端にくるように
選ぶと、立方体に内接する正四面体が得られます。これと同じように、
正八胞体の16個の頂点 ( ±1, ±1, ±1, ±1) のうちから -1 が偶
数個の頂点を選ぶと、これらを頂点とする正十六胞体が得られます。
この正十六胞体は頂点を共有しながら正八胞体に内接しています。
正十六胞体の16個の胞は正四面体で構成されていますが、そのうち
の8個は超平面 x_i = ±1 の上にあって、元の正八胞体の胞である立
方体に内接しています。
残りの8個の正四面体は、8枚の超平面 ±x_1 ±x_2 ±x_3 ±x_4 = 2
の上にあるもので、例えば超平面 x_1 + x_2 + x_3 - x_4 = 2 で正八
胞体を切ると、その切り口は4点
(1, 1, 1, 1), (-1, 1, 1, -1), (1, -1, 1, -1), (1, 1, -1, -1)
を頂点とする正四面体になります。
正八胞体と正十六胞体は互いに双対ですから、その系表も互いに 180
度の回転で一致します。
ここで立方体と正八胞体の系表について、適当な2べきを括り出して
みると、残りの因数が組み合わせの数になっていることに気づきます。
そこで組み合わせの数で書きなおすと
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