第三段
万(ヨロヅ)にいみじくとも、色好まざらん男は、
いとさうざうしく、
玉の巵( サカヅキ)の当(ソコ)なき心地ぞすべき。
露霜(ツユシモ)にしほたれて、
所定めずまどひ歩(アリ)き、親の諫(イサ)め、
世の謗(ソシ)りをつゝむに心の暇(イトマ)なく、
あふさきるさに思ひ乱れ、
さるは、独り寝がちに、まどろむ夜なきこそをかしけれ。
さりとて、ひたすらたはれたる方にはあらで、
女にたやすからず思はれんこそ、
あらまほしかるべきわざなれ。
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