生きものたちとの共生

生きものたちとの共生

  • [随筆かごしまNo.151号掲載]

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 ~カナディアン・ロッキーで見たもの~

 6月14日から10日間、カナダ、シカゴをツアーした。
百年前、4人の男たちがシカゴの片隅で会合を開いた。いま、全世界で160カ国120万人を超すロータリークラブが産声を上げたまさにその時であった。センテニアルという横文字で百周年を祝う国際大会が6月15日から1週間にわたってシカゴで開催された。 鹿児島からも何人か参加したが、旅行業者によるツアーだったようだ。私もその一人。大会参加プラス観光組でプラスが8割くらいだから、あまり大きな声で大会に行ってきましたなどとはいえない。
 でも旅行はどこへ行っても楽しいし、またいろいろな刺激を受けてくる。お定まりだが、自分の身の回りと比べる「比較文化論」になってしまう。


 SnowbirdGlacier.jpgカナディアン・ロッキーが見たくてそのコースを選んだが、鹿児島の同僚は誰もいない。 少し迷ったが身知らずの組に参加した。同じ日本人でしかもロータリアンじゃないか。もともと私は人見知り?
しないタチだ。若いときは少しく無鉄砲さもあってよく一人旅をしたものだ 。

 ツアーの仲間は藤沢、東大阪みどり、古河、宇都宮東、東京板橋のロータリアンだった。

天候に恵まれた。晴天続きでその地を離れるときに激しい雨が降ったりした。 カナダ アメリカ両国にまたがるア メリ大陸の背骨 ロッキー 山脈。 氷河が削り落とし た3000m級の岩山が 連なる。
まず気づいたのは山肌に何 層かの地層が一様に見られるということ。明らかに太古の昔、海底から隆起した証拠だと思った。


 カルガリーに住んでいるという日本人のガイドは博学だった。彼女の説明は動物、植物は勿論、カナダの歴史からはてはカナディアン・ロッキーの形成まで、プレートテクトニクスのジオグラフィック解説にまで至ってはただ脱帽であった。
やはりプレートの東進によって海底が隆起し、繰り返す氷河の進退がこの地形を造った。かつて、コロラド川が大地を削り取って1000mにもなる深い峡谷を造った、あのグランドキャニオンを見たときとまったく同じに、偉大な地球形成の現実にただただ畏怖を覚えた。


四つの国立公園からなるカナディアン・ロッキー観光は、また動物との出会いもその目玉になっている。

 「動物に近寄らない」「さわらない」「餌を与えない」この三原則を守ってください、これがカナディアン・ロッキー観光のお約束ですと彼女は強調した。

 カルガリーからバンフまで一直線に延びたハイウエーの両側には金網の柵が続いている。野生動物を交通事故から守るためだという。道路によって分断された左右の広大なテリトリは、生息する動物たちに種の不均衡を与えるため、両テリトリをつなぐ人工のケモノ道が造られていた。道路の下をつなぐトンネルから歩道橋まがいの立派な橋まであった。 カナディアン・ロッキーを乗り越える大陸横断鉄道は数十台の貨車を引っ張っていまでも観光の目玉になっている。だが、ときどき野生の熊をはねるという。貨車に積んでいる穀物のにおいを嗅ぎつけて熊が線路に入ってくるのだそうだ。
 だがそのほかは動物たちの生態に人間が干渉しない仕組みになっているようだ。

 Elk.jpgこの様にして保護している野生動物でもなかなか観光客の前に現れることがないという。( だから皆さんが動物に会えたらラッキーなんです) というあたりになると、観光客には本当のことはわからない。
 そのラッキーなことが二度もあった。
 写真はエルクという大角鹿だ。観光バスが通る道路のすぐ脇で草を食んでいた。バスが停まってもいっこうに気に しない。
  この場合でも客は絶対に バスから降りない。ドライ バーが撮影しやすいように 少しづつ移動してくれる。

 Bear.jpg次の日、子連れの熊に会えた。うん、これはガイドの言葉どおりラッキーだろう。日本でも子連れのクマを見たら人間の方が逃げる。
タンポポが好物だとか、親子仲良く食事に熱中していた。道路からの距離、約10数m。違うところで子鹿のバンビも見た。キョトンとした顔でバスの方を見ていた。

 北海道のキタキツネを思い出した。バスのドアまでやってくる。ドライバーはドアを開ける。観光客は争って餌を与える。キツネは食べる術を人間に学習させられている。

 霧島のホテルでは窓の外にイノシシが現れる。餌付けしているからだ。

 阿久根大島では鹿が海水浴の子供たちから餌をもらっていた。

 大分の高崎山、静岡の猿ヶ島でも同じだ。屋久島の果樹園被害は自然現象だろうか。

 出水のツルも集団感染が懸念されている。

 国土の広さが極端に違うことも事実だ。狭い日本でカナダと同じように動物の生態を崩さないようにして共生することは難しいことなのだろうか。

 ツアーの最後はナイアガラ見物だった。この巨大な滝を生んだ落差は少しずつ後退しているという。何千年か後にはナイアガラ・フォールズがなくなっているだろうとガイドは説明していた。

 17年前、鹿児島で国際火山会議があったとき聞いた講演が未だに耳朶に残っている。 桜島は青年期の火山で、あと数百年はこの状態が続くだろうという。自然の営みと人間のそれとはタイムスケールが全く違うのだ。

 地球は休むことなく変化している。進化なのか退化なのかわからない。宇宙創造で生まれた惑星の宿命か。ヒトも動物も動き続ける地球に乗って限りある命を神にお任せしている。

 カナダ・ツアーは私に様々なことを教えてくれた。  ( 鹿児島北ロータリークラブ)