【第2話】
「2000年春のニューモデル購入指南」

 桜咲く4月、待望のテニスシーズンがやってきました。今春もニューモデルラケットが続々と登場してきています。毎年この時期は学校や会社のテニス部、サークルの新入生向けのラインナップが充実しているのが特徴です。そこで今月は、この春からテニスを始めようと思っている初心者の方、本格的に練習しようと決意している初級レベルの方、そしてラケットを買い換えてレベルアップを狙いたいという中級レベルの方のために「お勧めのニューモデルラケット&ラケット購入の際に役立つヒント」をお話ししましょう。

 ■■■初心者
 この春からテニスを始めようという皆さんの中には「どんなラケットを購入したらいいのか?」と悩んでいる方も多いことでしょう。最適の1本を求めてテニスショップへ行っても、ズラリと並んだ色とりどりのラケットの大群に圧倒されて、さらに悩みは深まるばかりです。そんなときこそ、一人で悩まずに私たちテニス専門店の店員に相談してください。私たちがお客様から相談を受けた場合は、以下の4項目を質問しています。(1)テニス歴、(2)技術レベル、(3)1週間のプレー回数、(4)1回のプレー時間。また、お客様が来店した時点で、性別はもちろん体型もチェックしています。お気に入りのメーカーがあるならぜひ教えてください。私たちはお客様から得たそれらの情報をもとに、その方に最適のラケットを探し出すお手伝いをいたします。
 それでは、この春登場したニューモデルの中から、初心者の方にお勧めのラケットをご紹介しましょう。

・ウイルソン「ハイパーハンマー5.6」
・ウイルソン「ハイパープロスタッフ5.4」
・ヘッド「Tiレーザー」
 これらのラケットは必ずしも初心者向けモデルではありません。初級や中級レベルの方でも十分に使えるラケットです。では、なぜ初心者の方にお勧めするのでしょうか。その理由は、これらのラケットでプレーすることで、自然に「スイングしてボールを飛ばすテニス」を覚えることができるからです。
 最近のラケットは数年前に比べて性能が大きく向上し、面にボールを当てただけで楽に飛んでいく高反発ラケットも数多く発売されています。フレーム厚25〜30ミリ、いわゆる厚ラケと呼ばれるラケットですね。厚ラケは軽くて操作性も優れているので
「楽にテニスをしたい」という中高年プレーヤーから高い支持を受けています。
 ところが、これからテニスを覚えようという皆さんにとっては最初から厚ラケを使うことはあまりお勧めできません。ラケットの反発力でボールが飛んでしまうため、スイングせずにチョコンと当てて小手先でボールをコントロールする悪いクセがつきやすいからです。まず最初はフェース厚23〜25ミリ、重量260〜270gあたりのラケットを使って、正しくスイングしてボールを飛ばす打ち方を覚えてほしいですね。
 また、お客様の中には「ヒンギスのファンなのでヒンギスと同じラケットが欲しい」という選び方をする初心者の方もいます。たしかにスポーツは「格好から入る」という方法もありますが、テニスパラダイスでは初心者の方にはプロモデルはお勧めしていません。これからテニスを覚えようという初心者には、プロモデルよりも使い勝手がよく、コストパフォーマンスに優れたラケットが数多くあるからです。イメージや形、デザインなどの外見だけで選んでしまうと、失敗するケースも少なくありませんから注意しましょう。
 ■■■初級〜中級レベル
 ここ数年間のラケット性能の進化には目覚ましいものがあります。4、5年前までラケットの素材といえばグラファイトが主力でした。もちろん今でもベースはグラファイトですが、2、3年前からチタンが注目を浴びて一気に市場に浸透しました。そして現在ではチタンよりもさらに性能をアップさせたアルティマムチタンやハイパーカーボンなどの最新素材が登場してきています。
 このような素材の変化は、私たちのプレーにも大きく影響を及ぼしています。チタンやハイパーカーボンなどの素材は従来のグラファイトに比べて硬く、反発力や振動吸収性などに優れている点が特徴です。また、これらの素材は軽量化が可能で、ロングサイズにしても重くなりすぎることはありません。つまり、今までと同じスイングをしても素材の反発力やロング化の効果でより勢いのあるボールが打てるようになったということです。しかも、手首や腕への負担は軽減されています。初級、初中級レベルの方の中には4、5年前に購入したグラファイトラケットを使い続けているという人も多いでしょう。そんな方は新素材ラケットへの買い換えを検討してみてはいかがでしょうか。
 それでは、この春登場したニューモデルの中から、初級〜中級レベルの方にお勧めのラケットをご紹介しましょう。

「アルティマムRQチタン1500」
ヨネックス
〜アンナ・クルニコワ使用モデル〜

「アルティマムRQチタン1700」
ヨネックス
〜マルチナ・ヒンギス使用モデル〜

「ハイパーハンマー6.3」
ウイルソン
〜セレーナ・ウイリアムズ使用モデル〜

「ハイパーハンマー4.3」
ウイルソン
〜ヴィーナス・ウイリアムズ使用モデル〜
 これらはいずれも人気女子プレーヤー使用のプロモデルですが、最近のプロモデルはすべてが上級者向けというわけではありません。そのプレーヤーのアドバイスを取り入れながら、アベレージプレーヤーにも使いやすいラケットとして開発していますので、初級レベルの方にもお勧めできる作りになっています。
 ただし、グラファイトラケットから新素材ラケットへ買い換える際に注意してほしい点が一つあります。それはラケットのウエイトです。4、5年前までほとんどのラケットは300g以上の重量がありました。ところが新素材が登場してから一気に軽量化が進み、最近では200g台前半のラケットも珍しくありません。しかし「ラケットは軽い方がいい」と断言することはできません。ラケットの重さはショットの安定性につながります。軽すぎるために振り回し過ぎて本来のスイングを壊したり、ショットが不安定になってしまったという人も少なくないのです。
 テニスパラダイスでは、ラケットを買い換えるお客様には「今までどんなラケットを使用していたのですか?」と必ず質問しています。それまで320gのラケットを使ってきた人にいきなり240gのラケットをお勧めすることはありません。ショットの安定性を保つためには重量差は30g程度の範囲にとどめておいたほうがいいでしょう。わずが30gの軽量化でも、ラケットを手に持った時の感覚はだいぶ違います。パワーアップを考えるなら、軽量化ではなく同じ重さのロングサイズラケットを選ぶという方法もありますね。この春からの飛躍を狙っている人は、ぜひ、新素材ラケットの効果を味わってみてください。

取材構成/岡田洋介 

 

 

【全23話】
【第01話】「ハイテク素材で甦った名器」"ウイルソン・プロスタッフ6.0"
【第02話】「2000年春のニューモデル購入指南」
【第03話】「とっても役立つガット基礎知識」
【第04話】「セントビンセント神話」
【第05話】「2000年全仏勝者のラケット」
【第06話】「2000年ウインブルドン勝者のラケット」
【第07話】「DUNLOPマックス200G」
【第08話】「2000年USオープン勝者のラケット」
【第09話】「2000年秋・注目のニューラケット」
【第10話】「とっても役立つガット基礎知識─その2─」
【第11話】「アクセサリーグッズ活用術」
【第12話】「テニスシューズ選びのヒント」
【第13話】「2001年全豪オープン注目プレーヤーのラケット」
【第14話】「2001年春・新作ラケット購入指南」
【第15話】「ガット張り 初級編」
【第16話】「サプリメントの上手な利用法」
【第17話】「2001年全仏オープン注目のラケット」
【第18話】「2001年ウインブルドン勝者のラケット」
【第19話】「ガット張り講座─中級編─」
【第20話】「2001年USオープン注目のラケット」
【第21話】「2001年秋・注目のニューラケット」
【第22話】「ラケット購入時のテニスショップ活用術─初心者編─」
【第23話】「ラケット購入時のテニスショップ活用術─中上級者編─」

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