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第6話】
「2000年ウインブルドン勝者のラケット」

 今年のウインブルドン、終わってみれば「やっぱりピート・サンプラス、やっぱりプロスタッフ・ミッド」という感じでしたが、準決勝でアンドレ・アガシを破り、見事に復活してきたパトリック・ラフターも立派でした。今回はそのラフターが使っているラケットの秘密に迫ります。また、女子では初優勝のヴィーナス・ウイリアムスとセレーナ・ウイリアムス。二人のウイリアムス姉妹のラケットに注目です。

◆注目の男子プレーヤー使用ラケット◆
【優勝】P.サンプラス>>>ウイルソン"プロスタッフ・ミッド(セントビンセント製)"
【準優勝】P.ラフター>>>プリンス"グラファイトレスポンス・チタンMP"
【ベスト4】A.アガシ>>>ヘッド"TiラジカルOS"
【ベスト4】V.ボルチコフ>>>ウイルソン"ハイパープロスタッフ5.0MP"

 毎年、力のある選手が勝ち残ってくるウインブルドンですが、今年の上位の顔ぶれを見ても実力者たちが揃いましたね。そしてやはりピート・サンプラス。一時は足のケガで戦線離脱も心配されていましたが、結局は優勝をさらっていきました。サンプラスが優勝すると「プロスタッフが欲しい」という電話が店に結構かかってくるんですよ。中にはセントビンセント製とその他の違いをよく理解されていない方もいます。「プロスタッフ」についてはこの連載の第1話、第4話で詳しく説明していますので、ぜひ、そちらもご覧になってください。
 今回のウインブルドンで注目したのは、準優勝のパトリック・ラフターが使っていたプリンスの「グラファイトレスポンス・チタンMP」です。このラケットには日米のラケットの好みの違いを反映したちょっとした裏事情があるんです。

 プリンスには競技派プレーヤーを中心に根強い支持を集めている「グラファイト」という定番シリーズがありますね。その一方でプリンスはレジャー派向けに厚ラケ系の「サンダー」シリーズを出しています。その「サンダー」シリーズの前身が「プレシジョン」シリーズでした。そして「グラファイトレスポンス・チタンMP」というのは実は日本市場向けのネーミングであり、アメリカでは違う名前「プレシジョンレスポンス・チタンMP」で発売されているのです。ラフターが実際に使っているラケットにも「プレシジョンレスポンス・チタンMP」という名前が入っています。
 しかし、「プリンスといえばグラファイト」というイメージが定着している日本では「プレシジョン〜」より「グラファイト〜」というネーミングのほうが確実に売れます。そこでメーカー側がこのラケットを日本で発売する際に「グラファイトレスポンス・チタンMP」に名前を変更したというわけです。このラケットはダブルブリッジ部分に振動吸収材が装着されており、フレームもそれほど硬くないのでソフトな打感が特徴です。
 さて、最後に別の話を一つ。予選からベスト4まで勝ち上がってきたウラジミール・ボルチコフの使用ガットを紹介しましょう。彼はウインブルドンの数ヶ月前からドイツのキルシュバウムというメーカーのガットを使いはじめたそうです。日本ではあまり聞き慣れないメーカーですが、最近はポリエステルガットを中心に人気を集め、トッププロではカロル・クチェラやパティ・シュナイダーなどが契約しています。さくらんぼマークが目印のキルシュバウム、今回のウインブルドンでの活躍によって無名だったボルチコフも早速契約を結んでもらったということです。

◆注目の女子プレーヤー使用ラケット◆
【優勝】V.ウイリアムス>>>ウイルソン"ハイパーハンマー4.3 110"
【準優勝】L.ダベンポート>>>ウイルソン"ハイパーハンマー5.3 95"
【ベスト4】S.ウイリアムス>>>ウイルソン"ハイパーハンマー6.3 110"
【ベスト4】J.ドキッチ>>>ヘッド"Ti.S2"
 今年のウインブルドン女子シングルスで話題になった選手といえば、やはり優勝したヴィーナスとベスト4のセレーナ、この二人のウイリアムス姉妹ですね。姉のヴィーナスが使用しているのが「ハイパーハンマー4.3」、妹のセレーナは「ハイパーハンマー6.3」を使っています。
 この2機種、実は日米で構造が少し異なります。日本では「ハイパーハンマー6.3」にウイルソン独自のパワーホールを採用しています。パワーホールとは、フレーム内側のグロメット部分を長方形にすることで反発力を高めるという機能のこと。一方、「ハイパーハンマー4.3」は通常のピングロメットです。ところがアメリカではこの逆で、「ハイパーハンマー4.3」にパワーホールが採用されています。さらにややこしい話になりますが、ウイリアムス姉妹の使っているラケットは日本仕様なのです。パワーホールの有無によって打感はだいぶ変わってきますから、姉妹でもそれぞれ好みが違うのでしょう。
 この2機種は春にニューモデルとし登場して以来、高い支持を得ています。今まではフレームの薄いプロモデルと厚ラケの2通りしか選択肢がなかったところに、その中間的な位置づけで登場してきました。「極端な厚ラケは嫌だけどパワーも欲しい」というクラブテニスの中上級層を中心に人気を集めています。8月下旬には両機種とも95平方インチのモデルが発売される予定です。
 ウイリアムス姉妹に加えてウインブルドンでは準優勝のリンゼイ・ダベンポートも「ハイパーハンマー5.3」を使用していましたから、ウイルソンは強いですね。現在、ウイルソンはプロスタッフとハンマーの二つのシリーズにラインナップが分かれています。プロスタッフシリーズはイーブンバランス設計の競技派志向ラケット、一方のハンマーシリーズは軽量トップヘビー設計。「ハンマー」という名前の通りにヘッド部分に重心があるのでスイングすると振り抜きが良いのが特徴です。ハンマーシリーズは220gの超軽量から270g程度まで選択の幅がありますからプレーヤーのレベルやタイプ別で選ぶことができます。このようにあらゆるユーザーに対応できる豊富で明解なラインナップも、ウイルソンが世界的に売れている理由の一つではないでしょうか。

取材構成/岡田洋司

【全23話】
【第01話】「ハイテク素材で甦った名器」"ウイルソン・プロスタッフ6.0"
【第02話】「2000年春のニューモデル購入指南」
【第03話】「とっても役立つガット基礎知識」
【第04話】「セントビンセント神話」
【第05話】「2000年全仏勝者のラケット」
【第06話】「2000年ウインブルドン勝者のラケット」
【第07話】「DUNLOPマックス200G」
【第08話】「2000年USオープン勝者のラケット」
【第09話】「2000年秋・注目のニューラケット」
【第10話】「とっても役立つガット基礎知識─その2─」
【第11話】「アクセサリーグッズ活用術」
【第12話】「テニスシューズ選びのヒント」
【第13話】「2001年全豪オープン注目プレーヤーのラケット」
【第14話】「2001年春・新作ラケット購入指南」
【第15話】「ガット張り 初級編」
【第16話】「サプリメントの上手な利用法」
【第17話】「2001年全仏オープン注目のラケット」
【第18話】「2001年ウインブルドン勝者のラケット」
【第19話】「ガット張り講座─中級編─」
【第20話】「2001年USオープン注目のラケット」
【第21話】「2001年秋・注目のニューラケット」
【第22話】「ラケット購入時のテニスショップ活用術─初心者編─」
【第23話】「ラケット購入時のテニスショップ活用術─中上級者編─」

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