技術の進歩はもちろんのこと、テニスは道具の進歩が目覚ましいスポーツです。デカラケ、厚ラケブームはもはや昔の話。テニスショップのラケットコーナーには新素材、新構造ラケットがあふれていますから、ラケットに対する知識に乏しい人が自分に最適の1本を探し出すのは大変です。また、ラケットの性能を最大限に引き出すためにはストリングの知識も不可欠。そこでこのコーナーでは、私たちがラケットやストリングなどの知って得する情報や裏話などをお話していきます。正しい知識を持って自分に最適な道具を選べば、テニスがもっともっと楽しくなりますよ。

正しい道具選びをするにあたって、道具選びの基本を伝授してくれる達人たちを紹介しましょう。 テニスショップ、テニスパラダイスの店長『太田稔』さんと、同じくテニスパラダイス、ストリング担当『小山成人』さん、そしてシューズ・アクセサリー担当の『野村智毅』さんです。彼らは中古ラケットの目利き・ビンテージラケットの鑑定人とも呼ばれ、その他テニス用具全般についてなんでも知っているという強者。彼らの知識を身につければ、ラケットを何本も買い換えたりすることはなくなるでしょう。
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【第18話】
「2001年ウインブルドン勝者のラケット」
ゴラン・イワニセビッチの感動的な優勝で幕を閉じた今年のウインブルドン。ティム・ヘンマンとの3日間にわたった準決勝、そしてパトリック・ラフターとの決勝と、いずれも見応え十分の好マッチでした。また、女子では19歳のジャスティン、ヘナンが頑張りました。個人的には年間グランドスラムのかかるジェニファー・カプリアティに勝たせてあげたい気持ちもありましたが、そのカプリアティを準決勝で破ったヘナンは凄かったです。さて、今回はウインブルドンで大活躍したヘナン、イワニセビッチ、ラフター、ヘンマンたちの使用ラケットに注目します。
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◆注目の男子プレーヤー使用ラケット◆ |
【優勝】G.イワニセビッチ>>>ヘッド
"iプレステージMID"
【準優勝】P.ラフター>>>プリンス "TTウォーリアータングステンMP"
【ベスト4】A.アガシ>>>ヘッド "TiラジカルOS"
【ベスト4】T.ヘンマン>>>スラセンジャー "プロブレイデッド" |
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◆注目の女子プレーヤー使用ラケット◆ |
【優勝】V.ウイリアムス>>>ウイルソン
"ハイパーハンマー4.3 110"
【準優勝】J.ヘナン>>>ウイルソン "ハイパーハンマー5.2 95"
【ベスト4】L.ダベンポート>>>ウイルソン "ハイパーハンマー5.2 95"
【ベスト4】J.カプリアティ>>>プリンス "TTレベルMP" |
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今年のウインブルドンでもっとも注目したのはジャスティン・ヘナンのオレンジラケットです。ウイルソンのこの夏のニューモデル「ハイパーハンマー5.2
95」は、先の全仏オープンでヘナンがベスト4に入った頃から注目されていましたが、ウインブルドンでの活躍によってさらに注目度はアップ。7月中旬に国内で発売されて以来人気を集めています。
競技プレーヤー向けの「プロスタッフ」シリーズに対して「ハンマー」シリーズはクラブプレーヤー向けというイメージがありますが、この「ハイパーハンマー5.2
95」は平均重量282gと「ハンマー」シリーズの中では比較的重く、フレーム厚も22mmと薄め。余分な機能を排除したシンプルな構造の競技タイプラケットに仕上がっています。もちろん「ハンマーバランス」といわれるトップヘビー構造はそのままですから、振り抜きの良さは抜群。あの小さな体で片手打ちバックハンドをバシバシ決めていたヘナンには驚きましたが、振り抜き重視の「ハイパーハンマー5.2
95」の性能を存分に生かした結果が、スーパーショットになったのでしょうね。
この「ハイパーハンマー5.2 95」はヘナンの他にベスト4入りしたリンゼイ・ダベンポートやトッド・マーチンが使用。発売以来、競技プレーヤーからクラブプレーヤーまで幅広い層で支持を集めています。ちなみにフェースサイズ106平方インチの「ハイパーハンマー5.2
106」には、面ブレを抑えるためにスロート部分にブリッジが入った構造になっています。200g台前半の軽量タイプから揃っている「ハンマー」シリーズは女性にも人気のラケットですが、ある程度スイングできる女性には「ハイパーハンマー5.2」をお勧めします。
話は変わりますが、ヘナンのラケットに描かれていた「HT」という見慣れないステンシルマークに気づかれた方はいるでしょうか。「HT」はフランスのナチュラルガットブランド、ザバレス社のマークです。ナチュラルガットといえば日本ではバボラが圧倒的シェアを誇っていますが、ヘナンの活躍とともにザバレスの知名度も今後上がっていくのではないでしょうか。 |
男子シングルスの勝者、イワニセビッチはヘッドの「プレステージ」を早くから使用していた選手の1人です。フェース面積の小さなグラファイトラケットで鋭いサーブをガンガン打ち込んでエースを量産していました。そのイワニセビッチが今大会で使用していた「iプレステージ」については第17話の中で紹介していますので詳細は省きますが、全仏オープン勝者のグスタボ・クエルテンに続いて「iプレステージ」はこれでグランドスラム2連勝ということになりますね。ヘッドの定番モデルの14年ぶりのモデルチェンジということで日本でも5月の発売以来高い支持を集め、現在国内では超品薄状態が続いています。
人気ラケットといえば、準優勝のラフターや女子ダブルスで決勝進出を果たした杉山愛の使うプリンスの「TTウォーリアー」も国内でコンスタントに売れています。この「TTウォーリアー」はフレーム断面を楕円のレクサス形状(第17話)にしたことでボールの飛びを高めています。クラブプレーヤーにも使える競技モデルという点が、人気の秘訣のようです。
そしてもう1機種、今年のウインブルドンで注目していたのが、男子ベスト4入りしたヘンマンの使用ラケット、スラセンジャーの「プロブレイデッド」です。スラセンジャーという名を聞いて「懐かしい」と思う人も多いでしょう。 そしてもう1機種、今年のウインブルドンで注目していたのが、男子ベスト4入りしたヘンマンの使用ラケット、スラセンジャーの「プロブレイデッド」です。スラセンジャーという名を聞いて「懐かしい」と思う人も多いでしょう。イギリスを代表するメジャーブランドのスラセンジャーも、実は現在は日本に正式な代理店がないため、国内でラケットを入手するのは困難な状態になっています。「プロブレイデッド」にしても、情報入手の手段は「ヘンマンのTV中継を見ること」というのが実態です。ヘンマンは昨年まで白黒デザインの「プロブレイデッド」を使っていましたが、今年はブラックを基調にしたデザインに変更になっていました。でも残念ながら、いつモデルチェンジしたのか分かりません。なにしろ、ヘンマンは毎年ウインブルドンの時期にだけスポットライトを浴びるプレーヤーですから。「プロブレイデッド」について詳しい情報をお持ちの方がいましたら、ぜひ、テニスパラダイスまでご一報ください。 |
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取材構成/岡田洋司 |
【全23話】
【第01話】「ハイテク素材で甦った名器」"ウイルソン・プロスタッフ6.0"
【第02話】「2000年春のニューモデル購入指南」
【第03話】「とっても役立つガット基礎知識」
【第04話】「セントビンセント神話」
【第05話】「2000年全仏勝者のラケット」
【第06話】「2000年ウインブルドン勝者のラケット」
【第07話】「DUNLOPマックス200G」
【第08話】「2000年USオープン勝者のラケット」
【第09話】「2000年秋・注目のニューラケット」
【第10話】「とっても役立つガット基礎知識─その2─」
【第11話】「アクセサリーグッズ活用術」
【第12話】「テニスシューズ選びのヒント」
【第13話】「2001年全豪オープン注目プレーヤーのラケット」
【第14話】「2001年春・新作ラケット購入指南」
【第15話】「ガット張り 初級編」
【第16話】「サプリメントの上手な利用法」
【第17話】「2001年全仏オープン注目のラケット」
【第18話】「2001年ウインブルドン勝者のラケット」
【第19話】「ガット張り講座─中級編─」
【第20話】「2001年USオープン注目のラケット」
【第21話】「2001年秋・注目のニューラケット」
【第22話】「ラケット購入時のテニスショップ活用術─初心者編─」
【第23話】「ラケット購入時のテニスショップ活用術─中上級者編─」
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