04.3.2
 

浅草へ落語を聴きに行ったとき、
顔をはめて写真を取る板があったのです。
あれは「顔ハメ」というのですね。

やってみたらどう?
という雰囲気になったのですが、
とても恥ずかしくてできませんでした。
あの恥ずかしさは何なのでしょう。

いや、恥ずかしさというよりも、
僕は「顔ハメ」に底知れない不安を感じるのです。
顔は自分なのに、体が自分の意思と
違うポーズをとっているからなのでしょうか。

レントゲンを撮るときもそうなのですが、
顔だけ前に突き出して、何かの上に固定する体勢は、
とても不安になります。
きっとこの無防備な感じが
動物の本能に拒絶されるのだと思うのです。

「顔ハメ」をしているときに
後ろから敵に近づかれても気がつきませんし、
その敵に刀で斬りかかられたら、
終わりです。
もし斬りかかられたときの、顔ハメの前面が
勇壮な弁慶の絵とか、ドラえもんとかでしたら、
もっとなにか、こう気持ちが悪くなります。

いろいろなことが混ざって
顔ハメが不安になるのです。
 

04.3.3
 

電車を待っていると、よく
おばさんや、おじさんに横入りをされる。

僕はきっと、横入りをされやすい雰囲気を
出しているのだと思います。いかにも弱そうですし、
横入りしても大丈夫だろうと、
そういうことになっているに違いない。

そう思うと、なんだか悔しくなってくるので
髪の毛を赤くして、モヒカンにして、
配管とかで使うナットのような銀の指輪をして、
両袖から龍の刺青を出して、0Gのピアスをして、
舌はスプリットタンにして、

「わいが『蛇にピアス』や!」

という顔をして、
朝の横須賀線の戸塚駅のホームで待っていれば、
横入りされないと思う。
大崎止まりの山手線だって、
品川まで動かせそうな気がする。

いや、やっぱりだめなのです。
そんな男は横須賀線に乗らない。
外見を変えても、僕なら横入りされるに違いない。
どちらかと言うと
蹴りたい背中をしているのだと思うのです。
 
 
 
 

04.3.4
 

恵比寿でやっている
メディア芸術祭というイベントに行ったのです。

その中のあるブースで、
「ぜひ、やってみてください」
と案内係の人にいわれまして、
なんだかよく分からないまま、
妙な円筒形の装置にフラフラと入ってしまいました。

「この中でダンスをすると、
あなたのプロモーションビデオが自動でできるんです!」

と言われ、装置がスタートすると
リズミカルな音楽とフラッシュが浴びせられまして、

うわー

とオロオロしていると、係りの人に

「もっと手を動かして!」とか
「もっとカメラにアピールして!」と指示されたのです。

新手の反省房みたいです。

3分くらい、いろいろと言われ、
ダンスが終わって呆然としていると、
アンケートを求められまして、
「いくらならこれで遊んでもいいですか?」
との問いに迷わず
「500円くれたら遊んでもよい」
と答えたかったのですが、
「……200円」
と答えた自分がいまして、
このダンスからアンケートまでの
「なんともいえない心の動き」みたいなものこそ
アートにできないか、と思いました。
 
 

04.3.7
 

スキットルというお酒を入れる携帯用容器を買いました。
これに養命酒や、焼酎や、ウイスキーを入れて
持ち歩くことができるのです。
 

−−−

以前に「バカダス」という
適当な単語をランダムにつなげて
文を作るツールを作ったのですが、
その「バカダス」で文を読み上げたらおもしろいと思い、
自分で単語ひとつひとつを録音しました。

しかし、この単語が3000語もありまして、
ずっとマイクに向かって、
「2人羽織で」とか、「老人会の話題」、「料金未払い」と
夜中に言い続け、
全部終わったときには、朝の5時。
喉がかれていました。

やっと終わったと思って、
最初から聞いてみたら、
最初と最後で声の調子が違っていまして、
そりゃずっと言っていれば声も変わるのでして、
また最初の1000語を収録しなおして、
全体の音量を平均化し、無音部分を削除して、
プログラムに入れたら、
 

あまりおもしろくありませんでした。
 

恥ずかしいので、公開はしないのですが、
後悔はしています。
 
 
 

04.3.9
 

消極的な方向にばかり素早い思考が働くのです。

たとえば、テーブルの上のビールが
ぐらっと倒れそうになったとき、
普通は、倒れないようにグラスを
手で支えると思うのです。

しかし、どうもこれまでの生活を振り返ると、
僕はビールが倒れてビショビショになったときに、
ビールを拭くためのおしぼりの位置や、
替えのズボンを安く売ってそうなお店のことを
倒れそうなグラスを見ながら、考えている。

もちろん、ビールは倒れて
ビショビショになるのですが、
余計なことを考えずに
とっさにグラスを支えればこぼさずに済むのです。

たとえば、良く出来たはずのテストで
「0点」と採点されたら、
普通は、そんなはずはない!
と抗議するのでしょうけれども、
僕の場合、
「どうも0点ということになっているようだ」
と思って、さっそく、0点の者として
ふさわしい身の振り方を考え始める。

一体、なにが原因で
こんな性格になったのでしょうか。

大切な時期に何かあったとしか思えません。
 
 
 

04.3.13
 

マンションの改装工事が始まったのでして、
もう、ものすごい音なのです。
天井や、壁からコンコンコン、カンカンカン、
ギュイーン、タンタンタンタンとなって、
テレビの音も聞こえないのでして、
あんまりすごいので、思わず
録音してしまいました。

お聞きください。



 
 

(枠内をクリックすると再生されます。
もう一度クリックすると止まります。音量にご注意ください。)
 

家の中にいて、これなのです。
 
 

04.3.14
 

今日はとても天気がよかったので、
音楽を聴きながら散歩をしましたのです。
 


 

近所の公園で、座って人を見ていますと、
小さい子から、お年寄りまでたくさんいまして、
なんだか、小さい子を見ては
自分の小さかった頃を思ったり、
自転車の練習をしている子を見て、
そのお父さんを見ると、
自分はいつか父になるのだろうかと考えたり、
おじいさんが散歩していたら、
自分がおじいさんになって散歩しているような気になったり、
「おねえちゃん」と呼ぶ女の子を見て、
そのなんというか純真な感じに、すこし泣きそうになって、
頭がぼーっとしてきたのですが、
それはきっと
 


 

これが原因だっ!!
座って缶ビール2本と、スキットルに入れた焼酎を
ジャーキーをかじりながら、ひとりで飲んでいたのです。

たしか僕が小学生の頃、
公園で友達と遊んでいると、
そんなオヤジがいた記憶がある。
「目を合わせないようにしよう」
そう思っていたのですが、
まさか僕が「そんなオヤジ」になっているのかっ。
 

……へ、へもすぎる。
そんな日曜の過ごし方。
 

04.3.17
 

動きがおそいとよく言われるのですが、
性格は、とてもせっかちなのです。

電車の切符を買うとき、
せっかちで、早くホームに行きたくて、
適当に小銭を入れて適当な駅の切符を買って、
改札を通って、目的地で精算するのです。

ひげを剃るとき、せっかちで
ビュンビュンとかみそりで剃るので、
アゴや鼻の下から血が出るのです。
会社に着くときには血が固まって黒くなるので

「あれ、しいなくんてそこにホクロあったっけ?」

と血の跡を見た人に、
真剣に聞かれるのです。

シャツを着るときは、
とりあえず穴から頭を出すので、
シャツの前後を50%の確立で間違える。
首の穴ならよい方で、腕を通す穴に頭が引っかかって、
タートルネックだったか?このシャツは?
と混乱することが5%の確立で起こるのです
(ちなみにタートルネックのシャツは1枚も持っていない)。

インターネットで本を注文して、
4日後に発送と書いてあって、5日経っても届かないので、
別のオンライン書店で同じ本を注文して、
最初の注文をキャンセルし、
さらに、それでも発送が待ちきれずに、
近所の有隣堂を探したら、見つかったので購入し、
2つ目の注文をキャンセルしようとしたら、
すでに発送しましたということでして、

上下巻が2冊ずつあるのです。
しかもこの写真、早くアップロードしたいがため、
ピントすら合っていない。

株の値上がりを待ちきれずに売って、
売った翌日に大きく上がったりと、
せっかちが身を滅ぼすに違いなのですが、
気がつくと、こうなっているのです。
気をつけます。
 

04.3.19
 

夕飯をサイゼリアという
レストランで食べたのです。

サラダとピラフとスパゲッティとビールを注文して、
手を洗いに行って戻ってくると、
サラダが運ばれてきていたのですが、
その早さもさることながら、
このサラダ、僕の予想をはるかに超える量、
3人前くらいあったのです。

「な、なんだこれは」

430円なので、小皿に盛られてくるのかと思いきや、
これでもか、と小エビをぶちまけた
てんこ盛りサラダの登場でして、
どうしよう、と思っていましたら
ビール、ピラフ、スパゲッティも運ばれてきて、
またたくまにサイゼリア的、財前教授の総回診状態の
食卓に様変わりしていたのです。
これはどう見てもひとりでは食べきれない。

さらにメニューをよく見ないで注文したので、
ピラフにもスパゲッティにも、手ごねハンバーグサイズの
ミートソースが乗っていた。
どんだけミートソースが好きなんだ。
と思われたかもしれない。

サラダだけでお腹いっぱいになって、
残りを大食い選手権終盤のような精神状態
(小エビがイモ虫に見えてくる状態)
で食べていましたら、
隣の席に男子高校生2人が入ってきて、
パスタとドリアとサラダを注文したのでして、
僕の量と同じなのですね。
 

途方にくれたのです。
 

04.3.22
 

あれだけ暖かくしといて、
急にこんなに冷やしてくるとは、
一体、天気の人は何を考えているのか。
 

8時間くらい眠っても、まだ眠いのです。
しかし、眠ることが最近の楽しみなのです。
ちかごろは夢をよく見るのでして、
その夢がまたおもしろいので、
布団に入るときはもう、今日は
何が見れるだろうとわくわくするのです。

しかし、寒くなって体調を悪くしたためか、
恐い夢を見たのです。
そんなこともあるのです。

おとといに見た夢は、恐かった。
頭だけの猫を小脇に抱えて、
僕は家の中を落ち着かずにうろうろしているのです。
猫の頭だけなのではなくて、
温かくて生きている感じの頭だけの猫なのです。
それを机の上に置いたり、ソファの端に置いたりしても、
どうもしっくりこないと、不安になっているのです。

「そりゃ、頭だけの猫だもんなあ」
と、しっくりこない理由を思ったのですが、
実はそうではなくて、
どうも猫のアゴの噛み合わせが
しっかり合わないことが原因だと、
その場では考えたのです。

上アゴと、下アゴがしっかり付くように、
頭だけの猫のアゴを、ゆっくり慎重に動かして、
口を閉じようとするのですが、
ぴったりの噛み合わせになるあと一歩のところで、
ガクッと上下のアゴが左右にずれてしまって、
また最初からやり直し。
何回やってもうまくいかないのです。

そして、猫の口を開けて中をのぞくと、
中は五百円玉くらいの丸い穴が開いていて、
そこから向こう側の壁が見えたのです。
 

う〜ん。シュールすぎる。

04.3.24
 

なにか変わったものを見ると、
触らずにはいられない。病気と言われても
仕方がないくらいそうなのでして、
もうどうしようもないのです。

帰ってきたら玄関の横の
ブロックとブロックの間に、
ゴムのようなものがきっちりはめ込まれていまして、
今までそんなものなかったので、
迷わず指で触ってみたのです。

そうしましたら、グニョーンと指が
その中に吸い込まれて、
ビックリして指を離すとビローンと
ゴムが伸びたのです。
せっかく改装工事できれいに平らになったゴムを
ビローンとさせてしまったのです。

もうガックリきたので、
おやすみなさい。
 

04.3.26
 

明日から、会社の人たちと、
長野県の蓼科の保養所へ行くのです。

主な目的はスキーなのですが、
去年、スノーボードをして骨を折ったので
僕はもうやらないのです。

去年も”やらない”と言って
お酒と温泉に入って本読んで昼寝をしていよう
と思っていたのですが、
大自然の開放感と、僕以外の人が皆嬉々として
出かけていく姿が僕を変えたのです。

「これは、相当おもしろいのでは」
 

前回、盲点だったのは
僕以外が全員アウトドア派だったこと。

もしインドア派の人がいれば、
僕は道を誤らなかったに違いない。
しかし、アウトドア派は圧倒的多数、
その強大なアウトドアエネルギーを少数で中和せしめることは、
圧倒的なインドア派カリスマの台頭なくして、
考えられないことでありまして
今回は強力なインドア派の先輩が
このツアーに参加するかもしれないということになり、
その先輩が行くなら、行きますということになったのです。

ここに、その先輩が
インドア派であることを示すエピソードがある。
僕の同期の人が

「滑らないんですか?」

と聞いたら、こうおっしゃったのです。

「それは、俺に死ねってことか?」
 

これでいくら周囲の人のウキウキによって
僕の足が浮き足立ちそうになったとしても、
先輩は、その足をインドアの碇で保養所の畳に
繋ぎ止めてくださるであろう。
 

ということで、旅行の準備をしました。
 


グラス、焼酎、レモン汁、本、カメラ、割り箸、つまみ
 

籠城の準備は整った。

もう、骨は折らない。
 
 

04.3.29

(3/26の続き)


 

車で4時間くらいで、
長野県の蓼科に着いたのです。
すばらしい景色なのです。

全員で11名なのでして、
昼食後、スキーへ行くチームと、
温泉に行くチームで分かれることになったのです。

もちろん僕は温泉派なのですが、
温泉に行くのは僕1名で、10名がスキーだったりすると、
結局全員スキーに行く流れになってしまうのではなかろうか、
という不安がよぎったのです。

しかし今回は、インドア派横綱級のKさんが、
温泉に入るためだけにツアーへ参加することを、
高らかに宣言していまして、
その圧倒的な温泉への情熱が周囲に伝わったのか、
なんと温泉派がスキー派を6対5で上回るという
想像もしない結果がもたらされたのです。
(スキー場に来た意味が、全体的に分からなくなってきました)
 

車で数十分のところにある「音無しの湯」へ行き、
露天の温泉に入りまして、これがまた、
ふーーーっ……となりまして、
外の寒さとお湯の温かさとか、景色とかもう極楽なのです。
お湯から出て、畳敷きで清潔な広々とした休憩所で
生ビールをグラスで飲みまして、
まったりとしていましたら、
Kさんが大きなバッグから、次々と何かを取り出したのです。
 

50本くらいあるペンのセット、スケッチブック、ゲームボーイ
 

完全に室内用!
ゲームボーイやお絵かきをして遊んで、
ホテルへ戻り、食事をして、昼寝して
テレビを見て、お酒を飲んで、
そのときに現れた54度の中国のお酒、
これがまたすごい強力でして、唇につけただけで、
ひりひりして飲めないようなのを、
なんだか皆さんで飲んで、

去年の旅行(5月2日の日記)で、
次のように書いたSさんにつきましては、


1年先輩の方も、大変な酔い方で、
カラオケ中にご記憶を無くされた状態で
氷やスリッパをお投げになられ、
翌日はお起きになることができず、
なんとか外にお出になられましたら
バーベキューの傍らの芝生の上に、終始、ピクリともお動きにならず
行き倒れた人のようにお休みになっておられました。

今年も、ほぼ同じになったのです。
「アイーン体操」という奇妙な歌を
Sさんが真剣に始めた辺りから、
歯車が狂い始めていると思いました。
 

夜中の3時まで起きて、眠くなりましたのですが、
同じ部屋でお休みになったMさんのいびきは、
これまでに聞いたどんないびきよりも大きくて特殊で、
その音の仕組みに興味を持ちましたのですが、
僕もすぐに眠ってしまいました。

朝から温泉に入り、白樺湖ファミリーランドの
ゲームセンターで太鼓のゲームとタンバリンのゲームして、
自分のリズム感のなさに愕然としてから、
帰ってきましたのです。
 

それにしましても、帰りはすごい渋滞に巻き込まれまして、
車内ではずっと「銀河英雄伝説」のDVDが再生されていたのですが、
なぜか、僕のいる会社では
「銀河英雄伝説」
は常識的なものなのです。
同乗したの4人中3人はストーリーを理解しており、
きっと「銀河英雄伝説」は社則より浸透している
と思いました。だったら銀英伝を社則にすればいいのに。
(してどうする)
 

楽しかったのですが、疲れましたです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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