イタリア ミラノ
7月9日(土) ミラノ Milano
ミラノ市内見物 Milano City
ミラノ中央駅から地下鉄で2駅目、ロレート Loreto にある Hotel Dorè は、
ビジネスマンを主な顧客としているのだろう、
土曜日ということもあり、宿泊しているらしき客は見かけることなく空いている。
部屋の窓の外を覗いたところ、日の丸が掲げてあった。
宿泊している客の国籍を配慮してくれるとは、3つ星ホテルには畏れいってしまう。
そこで、ふと気付いたのだが、ここに連泊する場合はチップが必要なのだろうか?
イタリアもドイツ語圏同様に通常チップは不要だが、大都市に限ってはタクシーや上等なホテルのサービスで
€1程度の心付けをしたほうがよいとの情報を耳にしていた。
ケチ臭いこといわずに払ってもいいのだが、このホテルが上等のランクに属するのかが微妙にわからない。
階下へ降りたところ、従業員なのかオーナーなのか?
貧相そうでいて味わいのある、いかにも古いイタリア映画に登場しそうな風貌の爺さんが、
コーヒーを煎れながら鼻先に眼鏡をずらし、上目遣いに話しかけてきた。
英語ともイタリア語とも判別できない会話であったが、なんとか意思疎通はできる。
昨晩フロントの兄ちゃんにガイドブックをみせて、宿泊費が高いとゴネて負けて貰ったのだが、
(案外土曜日なので、安くしてくれたのかもしれない)
爺さんは、その本を見せてくれという。
延滞覚悟で図書館で借りている、一昨年版「地球の歩き方」の紹介ページを開いたところ、
今年から3つ星に新装し開店したので、
ガイドブックのエディターへこの記事を訂正するよう連絡したいとのご要望であった。
濃厚なコーヒーをご馳走になりながら、
カウンターのパソコンで編集部に事情を報告するメールを送信してさしあげる
ついでに個人のメール受信を確認し、小一時間パソコンを使用させて頂いた。
帰国して後日、出版社より情報提供のお礼はがきが届いたのだが、
’06〜07年版のページでは以前のホテル記事がしっかり削除されており、
残念ながら Hotel Dorè の情報は載っていなかった。
パソコンを一段落し、外出しようとルームキーを渡したところ
爺さんから、部屋を移動してくれとの要請を受けた。
おそらく週明けに、
使用した部屋のベットメーキングを、まとめて行うつもりなのだろう。
チップを置くのかどうか?判断できなかったのだが、
掃除をしてもらうのでないなら気にする必要はない、ルームキーを交換し、部屋の荷物を移動した。
* * *
ホテルから出て、ミラノの古い建築物が並ぶ通りを歩いていく。
市街の歩道には、蟻巣のごとく張り巡らされている
地下路を覆う格子があるのだが、
覗き込むとそれが意外と深いことに気づく、底まで5mくらいはあるのでなかろうか?
深さが数十メートルはありそうで、
高所恐怖症の人は路面上を通過できないのではないかとさえ思われる通風口もみかける。
そして、その底辺には施工以来の地層と化しているかのように、恐ろしい量の煙草の吸い殻が山積していた。
ミラノ市街中心方面へと向い、
地下鉄 サン・バビラ San Babila 駅から地上に出てみると
名作アニメ「ロミオの青い空」ストーリーの要所となる
兄妹の再会、永遠の別れの舞台となった聖バビラ教会がある。
主人公達の秘密結社「黒い兄弟」が
対立する街の愚連隊チーム「狼団」と、仁義なき闘いを繰り広げた戦場は、
教会の裏手だったそうだが、
現在、裏庭は教会付属会館の敷地となっており、勝手に立入ることはできそうもない。
ファッションモードの
発信基地として世界に名だたるミラノ
教会から程近い、有名ブランド店が軒を連ねるモンテ・ナポレオーネ通りを歩く。
さぞかし地元の瀟洒な人々が、通りを歩いているのかと思いきや・・・
ウィークエンドのため開いているのか閉まっているのかわからないような、
ブティックやら宝飾店が並んでいて人通りはさほど多くないようだ。
そして、市街地で見かけるイタリア人の大半は、
ライフスタイルに従ったというか、文化的というのか、どちらかというと庶民的な装いである。
しかし、特別なセンスを前面に出す訳でなく、さりげない服装でいるミラノ市民こそ、
流行や人気で左右されない凝った風格を持っているようにも感じる。
それにしても、この街路には所々に臨時店舗はどこそこなどと書かれた日本語案内があり、
ブランド品を買い求め右往左往する邦人観光客が目立つ。一体ここは何処の国なんだ?
綺麗に化粧して立派に着飾っている日本から来た女性は、どこか際立っている。
中田英選手のごとく、最先端を突き抜けた風スタイルな日本人殿方も一緒に歩いていらっしゃる。
自分自身その手のセンスは無いに等しいので、辛口ファッションチェック?できる立場ではないが、
上得意な日本人御一行様の、豪奢な勝負服には何故か不自然さを覚える。
ひょっとすると気合いの入った旅先の日本男女は、
ミラノのお洒落モードをオフサイドし、キワモノスペースにポジショニングしていないだろうか。

リッチな日本人客御用達となっている、
週末のモンテ・ナポレオーネ通りを進んでいくと
Via Borgospesso ボルゴ横町?
が右手に伸びていた。
ボルゴ横町とは「ロミオの青い空」に登場する煙突掃除夫の親方
ロッシの居宅があったミラノの下町なのだが、
ここは現在、前述高級ショッピング街の脇道となっている。
付近の中庭に進入し、薄倖病弱な少女アンジェレッタが皆の幸せを願い
そっと顔を覗かせていた窓辺はないかと思わず建物を見回してしまった。
市中心部から放射状に伸びる主要街路
マンゾーニ通り Via Aless Manzoni へと出た。
この一帯はロッシ親方のシマ、商売の縄張り、
ロミオが「スパッツアカミーノ」と大声で叫び、
真っ黒になって煙突を掃除していた通りである。
かつての貴族の御屋敷が連なる、歴史を感じさせる優雅なたたずまい、
レトロな路面電車が軋む音を響かせ、昔日の面影をそのままに残す街並み。
大通りに面した館の屋上を見上げてみると、
空の下、小さな煙突が林立している。
狭い煉瓦の煙突内部は煤にまみれ真っ暗闇、仕事はきつく暮らしはどん底、
しかし、ロミオのような快活な少年が、あの屋根の上まで上り詰めれば
ちっぽけなことを忘れさせてくれる、大空からの贈り物を手にできるのかもしれない。
市街中心へと、マンゾーニ通りの石畳を更に進んでいくと、
オペラの殿堂として名高い大歌劇場、スカラ座が現れた。
そういえば日本の映画館の名前というのは
「ミラノ」とか「スカラ」とかが多いのだが、
この地、そしてこの大劇場本舗は、紛れもなく
劇場のシンポリックなネーミングとして日本人に浸透している。
そんなスカラ座の前、レオナルド・ダ・ヴィンチの像を隔てた向い側には、
ヴィットリオ・エマヌエーレ二世のガッレリアこと
12年の歳月を費やし
1877年に竣工した巨大アーケードがある。
ヴィットリオ・エマヌエーレ二世とは
いわゆる大政奉還後の立憲君主。
アニメ「ロミオの青い空」で主人公の親友アルフレドが、無実を訴えるために謁見した
初代イタリア国王(在位1861〜78年)その人である。
世界名作劇場地理的大解剖ページを参考致しました。
( http://www.alpha-net.ne.jp/users2/norioh/meigekichiri9romeo.htm)
アルフレドは、幕末に働き手柄をたてた藩士のご令息といった身分なのだろう。
余談となるが「母をたずねて三千里」の原作である「クオレ」は、
イタリア王国への愛国心を養成するために書かれた学童向けの読み物であり
アニメに登場する人形一座の演目で度々登場するガリバルディ将軍は、
統一イタリアの王制復古を成し遂げた革命義勇軍の指揮官である。
戦前の日本では明治天皇と維新の英雄のごとく、
このイタリアの国王と将軍が尊崇され、「クオレ」は尋常小学校でひろく愛読された読みものなのだそうだ。

イタリアの明治維新?を記念した、
このアーケード街は、
ロミオ達がミラノで
煙突掃除夫をしていた当時、
まさに建設中だったのだろう。
ドーム状に覆われたガラス天井やフレスコ画
舗道のモザイク紋様の見事さに圧倒されながら、
高級な商店が軒を並べる、華やかなアーケードの通りを抜けると、
大都会ミラノの中心、ドゥオーモー広場へと到着した。
* * *

大勢の人々で溢れる広場では、
鳩の大群が来訪者を出迎えてくれる。
餌豆を手にして近寄ってくる
身なりのよろしくない男を避けながら
修復工事中の巨大な足場が立ちはだかる
ミラノ大聖堂、ドゥオーモーと対面した。
14世紀後半に着工し完成までに500年を要した、
高さ100m奥行き150mを越える壮大なゴシック建築の威容
無数の尖塔、大理石の繊細な彫刻が、天へと一斉に突き出している。
しかし、その正面の姿が覆い隠され、拝めないのが残念でならない。
内部の礼拝堂は非常に広く
幾重にも立派な柱が連なっていた。
薄暗く高い天井を仰ぎ見ると、
神聖な空間を彩っている何百枚ものステンドグラスが
幻想的な光を透過している。
荘厳な空間にしばし浸ったのち、
一旦外に出て、屋上へと上がる階段を探し、登ってみることにした。

街並み見下ろすのさ♪
一番高い場所で♪
屋上は、ミラノ市街の大パノラマ!
そして、なんといっても
遙かに限りなく爽快な青空!!
自由な明日へとつながる、心のブルースカイ
「ロミオの青い空」の主題歌と物語、その鮮明なモチーフを、360°体感する。
続いて、ミラノ中心部の界隈を散策してみた。
広場を取り巻く、
赤い煉瓦作りの屋敷
飾り窓や柱壁が配された
風情ある建築物。
長い年月、歴史を経て受け継がれ、温められてきた古典文化
ダビンチやラファエロなど、文芸復興の佇まいに囲まれた街角
そんな景色に溶け込んで、
漆黒のフェラーリーが停車している。
華やかに賑やかに巡っている、
大都会ミラノの時代風景。
世代ごとに手を加えられ発展しながらも
古きよきコンサバティブな風情の中に
今現在が息づいている姿を、堪能したいものだ。
世界遺産、ダ・ヴィンチの傑作「最後の晩餐」が壁に描かれている修道院
サンタマリア・デッレ・グラツィエ教会に訪れてみた。
見学は要電話予約で、当日分は入手できず
明日分もまた売り切れとの事だったが、
よもやキャンセルはでないかと窓口までやってきたものの
やはり土日は待っても無駄なようだ。
ミラノ市街で見学したい箇所が他にも多々あるので、ここは諦めてパスとする。

ミラノ公国統治者の威風堂々とした城塞
スフォルツァ城にやってきた。
かつての領主
ヴィスコンティ家の城跡に追築された
高い塀と大きな堀、四方に櫓が設けられた堅牢で巨大な要塞だ。
壁面の上にひろがる青空には、ゆったりと白雲が沸き立ち
煉瓦の柱廊に囲まれた中庭には、暖かい陽光が注いでいる。
「ロミオの青い空」で、国王の晩餐会の執り行われたこの城塞は
名作アニメ「ペリーヌ物語」の一場面にも登場している。
ペリーヌ親子に拾われ、旅を共にした雑技少年
彼が探している両親所属のサーカス団は、ミラノの街中を会場としており、
旅立つペリーヌ達のために特別公演をしたシーンは、ここ城壁前広場の仮設テントであった。

現在この城は、市立博物館として利用されている。
絵画、彫刻、陶芸、武器、楽器、家具、衣装、工芸品、考古学資料、等々
古代近代・様々な時代、世界各国・あらゆる地域から集められた
膨大な美術作品や宝物コレクションが、
宮廷の空間構造を生かして、多岐分野にわたりレイアウトされている。
ダヴィンチの天井画や
ミケランジェロ未完の遺作彫刻といった
目玉となる展示物もあるのだが
一歩中に入ると、ルネサンス風の大広間や
フレスコ画で飾られた数々の部屋が、延々と続くのに目を奪われてしまう。

庭園を囲むようにして、
螺旋階段や複雑な通路を配し
立地している、城塞の佇まいが美しい。
国王ご婚礼晩餐会の当日
愚連隊と合作同盟を結んだ
ロミオ率いる煙突掃除少年たちが、
身辺警護SPや衛兵達と大立ち回りを演じた
エントランスや塔、回廊、階段、
その雰囲気さながらである、城内部の様子は面白い。
薄暗い地下水路へと続くかのような
煉瓦で組まれたアーチ型の通路
地下組織「黒い兄弟」の
アジトであるかのような広い空間
まるで、アニメの世界に迷い込んでしまったかのようなロケーションである。
城の裏手に広がっているのは、
小川が流れ池が点在する大きな敷地に
木立や芝生が広がる、緑豊かなセンピオーネ公園。
犬の散歩、ベンチで昼寝
人々が長閑な日向でまったりとくつろいでいる中
地球破滅まで、あと一日?と端から見ていて焦燥感がつのってしまうかのごとく
強力に肩を強烈に腰を抱き、熱く狂おしく唇をすり寄せ密着している男女がいる。
そんなミラノ市民憩いの場もまた、
嘗て「黒い兄弟」VS「狼団」の抗争劇が繰り広げられていた決戦の舞台なのであった。
地下水路が張り巡らされた市街、その南に位置するナヴィリオ地区。
ロミオの時代19世紀には水運が交通・輸送の大きな役割を担い、
いたる所にクリークが拡がっていた大堀割都市ミラノ
スタジオジブリ作品「紅の豚」で
豪快に赤い飛行艇が飛沫をあげ滑走していた運河。

ここは、そんな面影を今に残す水辺の両岸に
古いアパートが建ち並ぶ下町情緒溢れる界隈となっている。
やはり、あか抜けたミラノの中心部とは趣が異なり
路地の奥へと進んでいくとイタリアならではの雑多とした
怪しい雰囲気が漂っている。
なんとなく治安が悪そうな気もするのだが、ここは一般庶民の生活が息づいている街であり
地下鉄車内や駅、市街中心のほうが、喧噪、雑踏、人ゴミなだけに、返って安心はできないのだろう
、、、と思った矢先
一台の自転車が尋常ではないスピードで、狭い路地を駆け抜けていった。
何事だろうと、不可解に感じていたところ、
慌てて蹴躓いたのか100米ほど先で、猛烈な勢いで転倒したではないか!
すると続いて、図体のデカイ黒人が息を切らしダッシュで追いかけてきた、
貧弱そうな自転車のオッサンは、
冴えない素振りで、カゴからこぼれ落ちたモノを懸命に拾っていたが
黒人の姿が視界に入るや、袋を抱えて必死に走り出し入り組んだ路地へと消えていった。
一瞬の出来事であった。
怒り心頭で自転車を起こす筋肉隆々な黒人を遠くに眺めながら、呆気にとられてしまい立ちすくんでしまう。
しかし、あんな格闘家のような黒人から自転車ごと買物袋を奪い取るとは、なんて怖いモノ知らずなのだ、
捕まったら死ぬほどポコられるのだろうと、不謹慎であるが冷汗ものであった。
イタリアの治安の悪さについては噂を耳にしていたが、ミラノのコソ泥、確かにおそるべし!
* * *
ポルタ・ロマーナ
Porta Romana
運河から東に1kmほど行くと、城壁の跡が点在し
ロータリーの中央に、遺跡となった城郭門が建っている。
語彙を調べたところ、ポルタとは扉の意であり、
ミラノの南東に位置するこの門は、かつてローマへと向う街道の出入口であったようだ。
「ロミオの青い空」のエンディングソングに
ロマナの丘というフレーズが登場するが、
イタリア語で丘は、モンテ Monte
モンテ・ロマーナ Monte Romana
という場所は、果たしてこの地にあるのだろうか?
もしや?と思い一応ローマ門まで来てみたのだが、
付近にそのような類の場所は、見つからなかった。
中心部からこの門を結び延長していく
ポルタ・ロマーナ大通りに沿って
地下鉄が運行している。
ポルタ・ロマーナ駅から、市街へと戻ることにした。

地上とは相対して、現代的な造りの駅である。
特に公衆便所は、コインを投入すると自動ドアが開き、
用を足してから、内部にあるボタンを押し外に出ると、
なにやら物々しい機械音が響き
トイレブース全体が豪快に洗浄されるようだ。
素晴らしくハイテクなのであるが、
中に立て籠もっているとビショ濡れになってしまう危険性がある。
おそらく、イタズラ&犯罪防止のための策なのだろう。
市街地へと戻り、セルフサービスレストランで夕食をとることにした。
ミラノ市内に数店舗あるBrek というチェーンなのだが、
店内のその場で作り置きしているメニューを、
そのままテイクできるので、実に手早く
しかも客の視線を誤魔化すことなく
堂々と調理をしてくれている。
ドイツ、スイスと巡ってきて、パンやチーズ、肉や野菜
素材そのものの風味を一品一品味わってきたのだが、
ここイタリアにきて一味違う、
料理たるもののジャンルとしての豊かな味覚が伝わってくる。
安価なビュッフェとはいえ、
パスタもサラダドレッシングもデザートも、味付けが見事!素晴らしい!
香り高く、味わい深く、舌に奏でるハーモニー?
嗚呼、イタめしや〜
ミラノ泊 : Hotel Dorè (http://www.hoteldore.com)
7月10日(日) ミラノ Milano ゴルゴンゾーラ Gorgonzola
ミラノ Milano → ゴルゴンゾーラ Gorgonzola (鉄道)
ゴルゴンゾーラ散策 Gorgonzola Town
ゴルゴンゾーラ Gorgonzola → ミラノ Milano (鉄道)
ミラノ市内散策 Milano City
ミラノ Milano → ジェノヴァ Genova (鉄道)
ミラノの市内交通は、縦横に地下鉄が運行していて、
その路線を補完し結ぶように、路面電車が走っている。
路面電車は、
市街中心部の主要路をも網羅しており、次から次へとやってくるので
なりふりかまわず適当に乗降を繰り返し、目的地へ向うというのも楽しいものだ。
市内交通一日券でこれらを上手に利用すると、かなり便利であろう。
本日は午後に郊外へと足を伸ばすつもりだったので、1回券(75分有効)を買ったのだが、
どうやら地下鉄利用に限って、1回券での市電乗り換えは不可という制約があったようだ。
ヨーロッパの市内交通料金のルールはいろいろと煩雑で解らないので、
外国人はタダ乗りしても仕方ない!と居直りたいところだが
たいした距離でもないので、市街地を歩きまわることにする。
中心街にほど近い、プッブリチ公園にやってきた。
緑の木々が広がり、あちこちに銅像などが配され、市民が集う都会のオアシス。
アニメ「ロミオの青い空」で主人公たちが、
たむろしていた公園にもよく似たロケーションだ。
園内にある
市立自然史博物館は、
1838年に開館された
ネオロマネスク様式の古い建造物。
鉱物、結晶、宝石、隕石、化石
ケースに色とりどりの標本が陳列され、
恐竜やら鯨やらの骨格が、大きな広間に陣取っている。
貴重な資料もあるのだろうが、昔ながらの展示方式なので、目新しく興味をそそられる訳でもない。
とはいえ動物標本の展示室は、なかなかに楽しめた。
アフリカ象が好き!
などと懐かしの漫画ギャグを呟きながら、入口を進んでいくと、
動物の生態に合わせた
自然環境のジオラマ・セットが並んでおり
イシシとノシシが虎視眈々と狙われていたり・・・
そこに剥製を、まるで生きているかのようなポーズで配置し、展示している。
アシカ、アザラシ、トド、セイウチ、オットセイ
多品種、多分類、多地域
よくぞ集め、よくぞ作った
と感心することしきりである。
展示物の剥製自体は、新しくはないのだろう
現在ではワシントン条約に抵触してしまい
このように可笑しくアレンジ制作できるとは思えない希少動物もいるはずだ。
小動物については、
マーモット(かわいいの、ハイジに登場)、
おこじょ(クラウス、わたしのアンネットに登場)
白イタチ?(ピッコロ様、ロミオの青い空)(ノロイ様、ガンバの冒険)
などが、説明解説付きで陳列棚に収まっている。
よくみてみると、クラウスの背後には、ポリアンナ物語のチップマックも描かれていた。
名作アニメファンにとって、見応えのある展示物の数々である。
公園に隣り合っている、
旧王宮の敷地内には、市立近代美術館が建っている。
ネオクラシック様式であるというこの美術館は、国王の離宮として建立された
ミラノを代表する歴史的建築物とのこと。
口惜しいことに修復工事中のため、美術館は別館のみの入場制限となっていた。
アバンギャルド、シュールレアリスム、前衛アート、
理解不能なナンセンス芸術のオンパレードであるが、
最先端を突き抜けた美学、
ある意味ここにくれば、ミラノでその様な空気に触れることができるのかもしれない。
外観を眺めて確認したのだが、旧王宮本館は「ロミオの青い空」のヒロイン、
アンジェレッタの祖母である伯爵夫人の御屋敷のモデルとなった建築物なのだろう。
優雅な内部の様子を見学したかったが、とても残念である。
公園からほど近くに、黄色い壁のミラノ警察署があった。
ロミオが、強盗団脱獄の爆破事件に巻き込まれた場所である。
周囲の写真を何枚か撮っていたところ、
機動隊の兄ちゃんが出てきて、不審そうにこちらの様子をうかがっている。
テロ標的の警戒などで、イタリアは神経質になっているのかもしれない。
職務質問か?注意勧告か?何やら呼び止められたが聞こえないふりをして退散した。
* * *
ゴルゴンゾーラ
Gorgonzola
ブルーチーズの銘柄で有名なこの土地が、
ミラノの近郊であることは前々から知っていた。
前職の仕事で、欧州各地の部品メーカーに製品が輸出されていたのだが
ミラノ郊外のユーザーについては、
ゴルゴンゾーラという地名が印象的だったので、特に記憶に残っていた。
酪農がさかんなのか、それとも工業地帯なのか?
当時より、どのような場所なのかがなんとなく気になっていたので、
このさい電車一本で移動ができる、
この機会に現地訪問してみようと思い立った。
ゴルゴンゾーラの駅舎は、
日本の首都圏私鉄ローカル駅のような造り&沿線郊外の雰囲気
池袋や新宿へと向う各駅電車が発着するのではないかと
変な錯覚をも覚える。
しかし、此処はやはり欧州
日曜日の駅前は人通りが全くなく、一軒だけあるスーパーマーケットも固く扉が閉ざされている。
駅周辺は農地と宅地が占めており、そもそも人が集まる賑やかな地区でもなさそうだ。

何もない駅前通りを、
遠くに教会が見える方向へと進んでいくと、
道路脇に霊園が広がっていた。
欧州の墓地というのは、色とりどりの草花が生けられ
鮮やかで華やかであるのが普通なのだが、
イタリア大都市近郊の新興霊園は、更に派手やか、
黄金に輝く聖人が天を仰いでいるかと思えば、
富と権力の黒幕ゴッドファーザーもいる。
各々の墓石が競い合うかのごとく、すこぶる華美であるのには驚かされるが、
これだけ沢山並んでいると、妖気漂うというか、正直不気味だ。
街の中心地に近い大きな教会を通り過ぎ、
市街地を散策してみた。
休日の閑散とした街中は、
シャッターを下ろした店が並び人影は見えない。
しかし、サッカーボールを蹴りながら
はしゃいでいる子供たちがいたので、
近づいていったところ
営業している商店を発見。

何気なくアイスを購入してみた。
特に期待はしてなかったのだが、
ラズベリーの風味がとても上品で、意外にも高級な味に感動。
ゴーストタウンのごとく人っ子一人いない路地を、
棒アイスをかじりながら彷徨い歩く。
そんな街中でも、さすがに不動産屋だけは日曜営業をしている。
一戸建てだと €150,000〜 ざっと見て €250,000 くらい
アパートだと €75,000〜 だいたい €150,000 程度の売物件が貼り出されている。
ミラノ中心部まで地下鉄2号線で30〜40分の郊外、
ここらの市街地の家だと百坪くらい敷地がありそうなので
築相当年数の古家付きで坪単価は €2,500 / 3.3u 程度だろうか?
建物評価額がわからないので高く感じるが、大都市圏なのでキットそんなもんだろう。
しかし、なかなかに良い環境ではある!
市街はとても閑静で、
ミラノよりゆったりとした建物の造りだ。
綺麗な水路が、宅地の間を縫うように流れ、
緑豊かな公園も広がっている。
駅前は辺鄙だが整然としているし、市街からもそう遠くはない。
そして、ミラノ市内よりも遙かに治安が良さそうだ。
かつて、この地域は春から夏にかけてアルプスの山地で放牧されていた牛が
秋になって平野部に移動するときの休憩地点となっていたそうで、
ここで休んでいる牛からしぼった乳で作った柔らかいチーズが
「ゴルゴンゾーラ」と呼ばれるようになったのだそうだ。
現在のこの地は、放牧牛が通過する訳ではなく、閑静な田園風景の残るベットタウンとなっている。
当然、今日ゴルゴンゾーラでチーズは生産されていないのであった。
* * *
ミラノへと戻り、中央駅からジェノバ往きの特急に乗車する。
2等車のコンポーネント席は空いていて、まさに個室貸し切り状態。
車窓から、久しぶりに眺めた海は生まれて初めて見る地中海、
明るい日差し、柑橘類の茂る丘陵、青い波と澄んだ潮風
快適に列車に揺られること一時間半、港湾都市ジェノヴァのプリンチペ駅に降り立った。
ジェノヴァ泊: HOTEL CHOPIN (http://www.hotelsgenova.it/focus_hotel.asp?id=8)