出 国

 

 

6月16日(木) 出国 Departure

出国 CA930 成田 Narita 15:05→上海 Shanghai 17:20
上海市内散策 Shanghai City

 

 

中国上海、南京路

圧倒的な光量の電飾が、燦然と輝き

イルミネーションの多彩な模様が、華やかに揺らめく

高ぶった靴音が舗道に響き、続々と溢れてきては前へ後ろへ過ぎゆく人々。

 

午後3時に成田を発ち、一跨ぎに東シナ海を越え

日が暮れる頃には、揚子江流域の

生ぬるい大気が充満する

上海浦東国際機場(空港)へ降り立った。

 

シャトルバスに乗って、

市中心部へと辿り着き

降車場から、ひとり荷物を背負って歩いていたところ

いつの間にやら人波に流され、

ずば抜けて賑やかな、この繁華街の雑踏に吸い込まれていた。

 

超高層ビルが空を削り、高速高架道が街並みを劈き、都市地鉄路線が足下に轟く

物質的栄華を世界に誇示する上海は、

勢いよく沸騰する、中華人民共和国という超巨大釜の縁から、蒸気を吹き出す大都会。

 

貧しさを共産化するよう人民統制された、かつての殺伐として重苦しい都市風景は

見事なまでにフォーマットされ、ヒト・モノ・カネ、その全てが21世紀の繁栄によって上書きされている。

 

*          *          *

 

1974年、もはや戦後ではない団塊の日本が、

三種の神器を大量生産し、星に手の届くビルやタワーを建設し

ここ上海の盛栄ぶりの如く、高度経済成長を著しく進行したプロジェクトXの時代

名作テレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」は、

日曜夜に団欒する、一家の茶の間に地上波放送された。

 

風や空気や水や緑、時間や人の心さえも、

あらゆるモノを犠牲にし、

あくせく勤勉する猛烈な姿勢が目的化され

開発し増産し発展するための熾烈な過当競争に、わき目も振らず猛進した社会の風潮。

 

ハイジは当時、そんな世の中のアンチテーゼとして、

豊かな自然環境、素朴で人間的な生活、心のゆとりある満ち足りた日常を、

視聴者の魂に深く訴え、大きな反響を呼んだのだ。

 

はるかに透き通った蒼穹の大空に、はっきりと輪郭を描く白銀の山脈

樅の木がそよ風に靡き、一面お花畑の高原を裸足で自由に駈け回る少女

日本人の憧れ、永世中立国スイス

〈高畑勲著「映画を作りながら考えたこと」より参酌〉

 

私は大陸東端の果てに位置する、渾沌とした上海の雑踏を経由して

遠く遠くアルプスの蒼天を目指し、明後日のフライトでひとり旅発つ。

 

*          *          *

 

アッパーライトの投光を受ける

古典的重厚なアールデコ調の外灘建築物群

浮かび上がる石造り装飾の陰影から

遠く過ぎ去りし租界時代へのノスタルジアを感じる。

 

90年代初頭、

学生時代にアジアを放浪し、訪れたことのある上海

 

幾度かお世話になった、

バックパッカーの集まるドミトリーがある

重点史跡の老舗ホテル、浦江飯店に宿をとる。

 

盛夏草哉猛者宿望的夢戦跡 なつくさや つはものどもが ゆめのあと

大陸を放浪する学生達の溜まり場で、

アグレッシブに過ごした若かりし頃の、想い出が沢山詰まった場所なのに

まさかこの年齢になって、オフシーズンの閑散としている

ありし日の追憶の空間に、滞在することになるとは思いもよらなかった。

 

嘗て、外国人旅行者の持つ外貨兌換券を人民元に交換する

怪しい闇マーケットのオッサンどもがたむろしていた

ホテルエントランスの正面を出てみると、

当時は到底想像すら及ばなかった、

近未来的なビルやタワーの点滅し輝く灯りが、一回り高く市街の先の上空を取り巻き

あか抜けたウォーターフロントやら、少し歩けばコンビニエンスストアの看板までもが視界に入ってくる。

 

十年飛渡(ひと)むかし

何もかもに渡って、凄まじい勢いで時代を飛び越えてしまった、ミラクルな上海であるが、

ホテルの裏手にある、庶民的な街角を進んだところ

以前のままに、商売を続けている屋台と再会した。

 

あのころも夜空の下、同じ路上で同じように座り込んで食べた

太い炒麺の油っぽい味は、濃厚な青春の日々そのもの。

ベトベトなのに切なく甘美な、色々な意味でノスタルジアを彷彿させる、魔都上海での一夜であった。

 

上海泊 : 浦江飯店 (http://www.pujianghotel.com/index1.htm)

 

 


 

 

6月17日(金) 上海 Shanghai

上海市内散策 Shanghai City

 

 

かれこれ五年ほど前

連休を利用して、上海に駐在している学生時代の友人をたずね

この躍進する中国最大の大都会に訪れたことがあった。

 

実はその時、既に上海の恐るべき変貌ぶりに驚愕していたので

免疫はあったのだが、

 

より一層加速して進む、大規模な都市開発

幾つもの、近未来的なビルディングがそびえ立つ空の下

あいもかわらずの庶民生活が息づく

極端なその様相には、あらためて驚かさせられる。

 

2008年の北京オリンピック、

そして、2010年に上海で開催される万国博覧会を控え

拍車が掛かり急成長を続ける、煮えたぎった時代風景

大陸の中国人民は、そこにどんな夢をみているのだろう。

 

そして、泡沫が崩壊し、しぼんで停滞を続けてきた日本列島に棲む

我々の夢見た時代は、過ぎ去りし永遠の日々なのだろうか?

 

林立する摩天楼の直下を

足早にあるく上海の人々は

21世紀に生じた、新たなる人種のように思えてくる。

時代も世代も

このまま容赦なく、ドンドン先へと突き進んでいくのだ・・・・

 

しかし、どの世代で出逢っても、何年経っても、

不朽の夢や感動が、我々の成長してきた道筋には潜んでいたはずだ。

ずっと、変わらずに歩んできた

そんな自分の心の起点とは、一体どんなルート線上にあったのだろう?

そんな疑問を、己に投げかけるというのは、格好のつく旅立ちの問題提議である。

 

*          *          *

 

駐在員となった友人は、上海赴任の直前に結婚し

現在、奥様と小さな息子で家族3人

セレブなヒルズ族?さながらに、

煌びやかな、高層マンションで暮らしている。

 

前回は、新生活の新婚家庭にお邪魔虫として割り込み、

友人を奥様と一緒の部屋に追いやって、私は彼の寝室を独占した。

 

あれから数年、彼は会社での責任が増し多忙を極め、

それこそ高度成長期の中国で、日夜仕事と時間に追われるプロジェクトXな生活を送っている。

少しは遠慮するつもりでいたが、

食事をご馳走になってから居座ってしまい、久々だったもので遅くまでつのる話しを語り

結局、またもや彼の部屋に、一晩泊めて頂く好意に甘えてしまった。

 

90年代の早期から、開発されてきた新区の高層マンションは

見本市会場や外資系有名ホテルに囲まれ、外国人居住者が多く住み

超級市場(スーパーマーケット)の品揃えや、

日本人向けの保育園・学校、美容室、病院といった生活環境が充実しているらしい。

 

二箇月前の反日デモの時には、付近の日系居酒屋や和食店が襲撃され、

日本領事館にも近いので、騒然とする眼下の様子を眺めながら、危機感を募らせたそうだが、

今は、至って平穏となっている。

 

下界から、何かのお祝いセレモニーの花火が

これからはじまる「めいさく一人旅」 景気付けの餞をしてくれた。

 

打ち上げ花火を見下ろしながら、繁栄を謳歌する上海の夜

デジカメで撮影した、そんな時代の、そんな一コマを、心の中のメモリーカードにも転送しておこう。

 

上海泊: 友人宅 上海市長寧区

 

 


 

 

6月18日(土) 出国(乗換便) Departure (Transfer)

出国(乗換便)CA935 上海 Shanghai 11:10 → 西廻りのため同日中、機内泊

 

 

初夏のモンスーン気候

湿り気ある薄い霞と巨大都市の空気が対流していく、上海の街並みを

友人の寝室の窓辺に見ながら、出発の朝を迎えた。

 

マンションのロビーには、

レセプションがあり

友人が受付に一言いって、くつろいでから玄関を出ると

待ちかまえるタクシーが、横付けされていた。

 

空港までは、40kmほどの距離となるが、

メーターでも料金は200元程度、日本円で三千円くらいである。

上海に暮らす日本人は、

利便性や時間効率的に、対費用効果を考えると

市内の移動にタクシーを使うのが、常套の手段であるらしい。

空港までは高速リニア鉄道も開通しているのだが、

友人は、安全性に疑問を抱いているので一度も利用したことがないそうだ。

 

六月のかぜが わたるみちを・・・上海空港へ遠乗りしよう♪

 

手を振る友人一家に見送られ、走り出すと

タクシーは高架道に入るや、軽快にシフトをアップする。

新型車両の座席は清潔、目の前には液晶画面が備え付けてありチョイハイテク

多車線の高速道は空いていて、ベイブリッジのようなレインボーブリッジのような巨大吊橋を渡り

確かに友人に勧められたとおり、空港まで実に早く快適に移動することができた。

 

十一時十分の CA935便で、

わたしは、わたしは、アジアからっ、ダーン!

たぁ〜びぃ〜だっちぃ〜ます〜ぅ♪

 

さてさて、いよいよ

ここから旅の本編へと、これから離陸をする。

 

*          *          *

 

“おもひでぽろぽろ”より抜粋

「小学校五年生の私を連れて旅に出た」

「旅は人生を学び、己をみつめるまたとない機会であることにかわりはない」

「空間を移動する旅もあれば、時間を移動する旅もある」

「自分という可愛い子に、時間と空間の旅をさせれば、本当の自分をみつけたりする事ができるかもしれない」

 

自分探しの旅、そういう口実で、

糸の切れた凧のように放浪に出るのは、安直な方法だと思いつつ

どうしたわけか、私は、長年勤めてきた会社でのサラリーマン生活をドロップアウトした。

 

一身上の都合、それは一つ二つの原因ではない、

多種多様な複雑な要因と条件が重なったため、退職届を認(したた)めたのだ。

ストレス、ジレンマ、力関係

足の引っ張り合い、責任の擦りあい、ババ抜き、貧乏くじ・・・・

異常ある西部戦線から、綺麗さっぱり解き放たれ

ついでに、給料収入と、社会的信用からも解放されてしまった。

 

真面目に勤め始めた時分から、全く予想すらできなかった

神様がくれたロングバケーション、

十年来のドラマチックな有り得ない出来事である。

福祉ボランティアなどしながら、職安出頭期間の勤めを果たし

雇用保険を、満額受給させて頂く。

 

支離滅裂な長い前置きをしたところで、

晴れて「めいさく一人旅」を実行に移す、その時機が到来したのだ。

 

*          *          *

 

これから旅行記なるものを執筆するので、

著者プロフィール を一応紹介すると

 

【ハンドルネーム】 チョナン Chonan

【ハンドルネームの由来】 名作アニメ未来少年コナンより、未来少年Chonan→チョナン

【性別】 男  【誕生日】 9月26日  【星座】 天秤  【血液型】 A 【住所】 静岡県

【特技】 耳を動かせます。 動耳同盟コラム「動耳の科学」にハイジファンの心を打つ記述あり。  閉鎖
      中国語 (いぃ ぃい加減に通じる会話)

【資格】 普通自動車免許 (ゴールドからブルーに降格しました。)
      TOEIC (その昔受験したが、履歴書に書けるような点数ではなかった。)

【趣味】 世界名作アニメ、旅行(国内は単車でツーリング、海外はアジア、しかしここ数年ご無沙汰してました。)

 

*          *          *

 

「自分という子に時間と空間の旅をさせる」 などと小難しいことを抜粋してしまったが、

趣味である、世界名作アニメの舞台となった、ドイツ・スイス・イタリアの三箇国を巡り

幼き頃に観た作品への想いに浸るというのが、今回の旅の主目的である。

 

旅の本命作品は、

数え切れないくらい何度も放送されているのを、何の気なしに観てきた

「アルプスの少女ハイジ」

ハイジが素晴らしい作品であることは、

頭でなく心と体が覚えており、幼き頃から薄々理解していた。

私が中学生であった時、その頃放送されていた名作アニメには殆ど興味がなかったが、

ハイジだけは別格で、高校受験前に観た再放送に熱中し、アルムおんじの教育方針に感銘を受け

受験勉強よりもハイジを観る方が、人として大切であるとさえ確信したものだ。

ハイジは、いつの時代、どの年齢においても色褪せない感動がある。

心の成長にシンクロする、自分にとって至上最高峰な完成度の作品

ハイジは何度観ても、心に染み込んできた感動を反芻し

更に新鮮な気持ちにさせてくれる、不朽不滅の名作であろう。

 

小学校高学年の頃、熱中して観た名作アニメーションの幾つかといえば

 

70年代制作の「母をたずねて三千里」「あらいぐまラスカル」

見直してみると、断片的に既視感を抱くシーンが多く

再放送でよく見ていた、とても馴染みのある作品である。

 

特に印象に残っている作品は、本放送でも再放送でも何度も繰り返し観ていた

「未来少年コナン」と「トムソーヤの冒険」だ。

全く作風の違う二作品なので混同はないが、

主人公コナンと親友ジムシー、トムソーヤとハックの組み合わせ

またそれぞれの親友役を同じ声優(青木和代さん)が演じていたので

妙に共通する意識をもちながら、観ていた覚えがある。

「未来少年コナン」は、今回の旅のロケハン地とは一見関係がないのだが

自分という子の時空の旅での通過点は、その何かから多大な影響を受けている。

 

「ふしぎな島のフローネ」は、リアルタイムで毎週楽しみにしながら、放送を見ていた記憶がある。

そして、その翌年「南の虹のルーシー」以降に放送された世界名作劇場シリーズ作品は、

殆ど観た覚えがなく、残念ながら放送していたことすら知らなかった作品が大多数なのだが・・・

 

幼き頃は制作側の努力や意図などに、考えを巡らす訳がなく

名作劇場シリーズの放送を観て、

至極あたりまえの普通のアニメだと感じていた。

しかし、今になって、各作品のそのクオリティの高さを思い知り、

なんて、贅沢な影響を子供時代に受けていたのかと感謝することしきりだ。

 

世界名作文学に登場する少年少女の生き様

そこから学ぶ人生指南と、自分の生きている境遇の安堵感

このシリーズのアニメは、心の奥底に最高に良質な財産を与えてくれた。

そこには成長するに従って、更なる理解に発展していく哲学がある。

波瀾万丈な人間社会の逆境を生き抜く、少年少女をみていると

人生において色々な人がぶつかる、様々な壁を乗り越えていく

大切な気持ちを忘れずにいられる気がするのだ。

社会観・人生観を指し示す物語の主人公達は、

視聴者の印象に強く残り、心の支えとなっていくことだろう。

 

世界名作劇場は視聴率不振により、96年をもって放送が終了してしまったが、

その偉業の道筋を踏襲すべく、シリーズ地上波放送の復活を心より願うところである。

 

*          *          *

 

上海を飛び発った旅客機は、

低い雲がたちこめる、華北平原を過ぎると

高度一万米から、壮大な蒙古の草原を眼下にし

やがて、雪嶺が点在する山岳地を悠々鷹揚にして飛び越えていく

 

しかし、欧州との時差8時間は超えられず

シベリアの上空に至るころには、機内の電灯が消され

乗客は窓のブラインドを下げて眠りについた

 

寝苦しくも数時間

身動きがとれないエコノミー席で睡眠を貪ってから

窓の外をそっと覗いてみると

北欧バルト海の島々が、ゆっくりと下方を流れている

 

そして、日除けブラインドを上げて

明るい日射しが差し込み

朝食?の機内食を摂る頃には

農地が広がるポーランドの青緑な台地に

ハイジがオープニングソングで飛び乗るような、

綿菓子雲が無数に浮かんでいた

 

ドイツの空域に入った飛行機は

徐々に高度を下げはじめ

麦畑の海に、点々とする村落の島を眺めながら低空を進む

シートベルトをしっかりと締め、機体が大きく傾むくと

6月の陽光を反射させ、ラインの水面が

主翼と同時に、眩しく輝いた

 

*          *          *

 

「めいさく一人旅」は、プライベート(勝手気儘)な個人旅行のレポートです。

作品紹介や観光案内を、主要な目的として厳密な情報を取り扱ったものでは有りません。

したがって思い込み、自己満足&陶酔的な表現が、数々含まれています。

 

基本的に、世界名作アニメ万歳!をスタンスとしており、

賛美讃辞、美辞麗句、的な記述が並びますことをご理解ください。

 

筆者は、世界名作アニメの制作面に触れた記述もおこないますが、

全くの一視聴者としての、趣味的な素人見解ですので、

制作関係者・関連会社に対して、度の過ぎた論評をするというつもりは毛頭ありません。

また、著作権等を侵害するつもりもありません。

世界名作アニメを取り扱う言論に対して、正確で厳格なポリシーをお持ちの方々には、

気に障る点が多々おありかとも察しますが、

優しく異論反論、ご批判、賜れると幸いです。

 

当サイトの転載・使用は一報頂けますようお願いします、リンクはフリーです。

 

また、写真画像ファイルを大量に掲載しています。

ブロードバンドの環境にない方は、かなり苦労されると思われますのでご了承下さい。

 

今回の旅行の事前情報に役立ちました、ハイジ関係サイト掲示板の皆様の書き込み、

名作劇場シリーズ関係サイト運営の皆様に感謝申し上げます。

 

世界名作アニメによって形成されてきた一視聴者の感動の軌跡、心の断片を拾い集め、

それらを見つめ直す旅を、少しでも紹介できたらと願い、本サイトをアップ致します。

 

シニョール、シニョーラ、皆々様方!

さぁさぁ、まもなくはじまりだ

いきつくひまない名場面

そのなもたかき「めいさく一人旅」 いざ出港!!

 

機内泊: 中国国際航空 AIR CHINA CA935

 

 

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