古民家の再生がブームですが、あえて再生するのは、古くなってはいるけれどそのまま土に還してしまうには惜しい何かをいまだに持っているからなされるわけです。
それは、生活の記憶かもしれないし、材料自体かもしれないし、建築にかかわった人達の情熱かもしれません。生活の記憶ということを除けば、それらはその民家が新築された時から持っていた特質であるはずで、それらは、いはば、長寿の遺伝子です。
長寿の遺伝子を持っているからこそ再生が可能なのです。
いずれにしてもそれが、ブームになるのは、現在大量に供給されるすまいづくりのありかたでは、どうしても満たされないものがあるからではないでしょうか。
昨今の建物は、腐らないということを除いて、長寿に値する遺伝子をほとんど与えられていない。
すまいというものが、単に腐らない物としてのみありつづけるのなら、それは粗大ゴミと同じです。
全く愛着も価値もなくなったものは、土に帰るかリサイクルが可能でなければ、地球は、間もなくゴミであふれかえることになるかもしれません。
私は、単に趣味的な視点からではなく、日本の風土に適合し、時間を経る程愛着がわき、完全に用がすめば土に帰るような正しい長寿の遺伝子を持ったすまい、いわゆる新民家とでも呼ばれるようなすまいが、建築主と共に実現できたら建築士冥利につきると思っています。
日田地区に多く産する杉の原種ヤブクグリインタローは、異樹種間同一実寸法の破壊比較実験の結果、松や米松等に勝るとも劣らない強度が確認されました。(研究参)
新民家の骨組に最適の材として 活用が期待されます。

