草むしりする西郷隆盛(入門編その4)
用例の中に突然出てくる歴史上の有名人。
最初、いきなり「西郷隆盛」が出てきたときは、びっくりしました。
| すなわち【即ち】 「玄関わきで草をむしっていたのが即ち西郷隆盛であった」 (初版〜第5版) |
「即ち西郷隆盛であった」などと書かれても、なんで西郷隆盛なのか、なんで草むしりをしているのか。
たぶん何かの引用なのでしょうが、いきなりこれが出てきたら、首をひねってしまいます。
その後も西郷隆盛は登場します。
| まず【先ず】 「西郷はどちらかといえば、先ず政治家のほうであった」 (第4版) |
「西郷」と呼び捨てです。
| まず【先ず】 「先ず『それがしは西郷吉之助でございまする』といった」 (第4版) |
「西郷吉之助」とは、西郷隆盛のことです。
今のところ、3つしか見つけていませんが、3ヶ所も出たら十分でしょう。
山田主幹の尊敬する人物は、間違いなく西郷隆盛です。
そのほかにもいろいろな有名人が登場します。幕末の人物では、坂本竜馬が登場します。
| ゆうゆう【悠々】 「みな、気を呑まれた。ぼう然としているまに、竜馬は子猫に頬ずりしながら、悠々通りぬけてしまった。」 (第4版) |
これもなんだかよくわかりません。 たぶん司馬遼太郎あたりからの引用だと思われますが、どなたか出典をご存知の方がいらっしゃったらご連絡ください。(・・・たくさんの連絡ありがとうございました。)
こんな人も登場します。
| しゅうせい【終生】 「ハーンは終生日本を愛した人だった」 (第4版・第5版) |
ラフカディオ・ハーンです。チンギス・ハーンではありません。
時代変わって、戦国時代。
| かりたてる【駆り立てる】 「織田信長の天下取りへの道は虐殺の連続でもあった。何が彼をこのような行動に駆り立てたのか」 (第4版・第5版) |
この書き方からすると、織田信長のファンではないようですね。
ちなみに、同じ「駆り立てる」の用例に、マルコ・ポーロが出てきます。
| かりたてる【駆り立てる】 「東洋熱を駆り立てた旅行家、マルコポーロ」 (第4版・第5版) |
単なる「駆りたてる」の用例であれば「東洋熱を駆りたてた」で十分なのに、「旅行家、マルコポーロ」まで書いてしまうのが「新明解」流。
さらに時代をさかのぼると、弘法大師登場。
| あざとい 「空海の思想家としての性格はむしろあざといばかりに煩瑣な美を愛する傾向にあり」 (第4版・第5版) |
空海を「あざとい」の用例で出さなくても・・・
次は誰でしょうか。
| くる【来る】 「このコロンボと来たら、本当に警部かどうかさえ疑いたくなる人相・風体だ」 (第4版・第5版) |
刑事コロンボじゃないですか!
うーむ、ついに架空の人物まで出てきました。
| まず【先ず】 「ワトスン、つねに先ず人の手を見ることだよ。それから、上着のそで口とか、ズボンのひざ、そして靴だ」 (第4版・第5版) |
ああっ、これはシャーロック・ホームズの名セリフ!
| まず【先ず】 「ワトスン。きみのすきな、こぢんまりとまとまった物語にするのは、先ずむりだろうな」 (第4版) |
新明解国語辞典の面白さをごぢんまりと伝えるのはたぶん私には無理です。
結論。新明解国語辞典は歴史小説も好きだが、海外の推理小説も好きらしい。
【追記】(2002.7.6) 松本清張も好きらしい。→あの「川上」さんが発見されました参照
【補足】第6版では、「まず」の用例が簡素化され、西郷もワトスンもいなくなりました。
また、「悠々」の坂本竜馬もいなくなりました。
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