容赦なき役人批判(入門編その3)


 新明解は、公務員に対して厳しいという特徴があります。


 例えば、「清廉」をご覧ください。


せいれん【清廉】
 心が清くて私欲が無いこと。 〔役人などが珍しく賄賂などによって動かされない時などに言う語〕 (初版〜第4版)
注:第5版から「珍しく」の部分は削除された。



 「珍しく」だそうです。役人は賄賂で動かされるものだという前提にたっています。




 「賄賂」。


わいろ【賄賂】
 公務員などが職権を利用して業者に便宜をはからうことに対して受け取る、不正な金や物。そでの下。 (初版〜第4版)
注:用例の「賄賂を贈る」は第4版から追加された。


 これが第5版になると、さらに詳しくなっています。

わいろ【賄賂】
 決定権を持つ役員などが相手に便宜を与えた謝礼として、私的に受け取る金品。そでの下。 〔公務員がこれを受け取ることは法規上禁止されている〕「賄賂を贈る(握らせる・つかませる)」「賄賂を受ける(受け取る・催促する)」 (第5版)



 「公務員がこれを受け取ることは法規上禁止されている」と、賄賂に動かされがちな公務員に対し注意を与えています。






 続いて、「役人」を見てみましょう。


やくにん【役人】
 公務員。「役人根性(=役人特有のおうへいで、融通のきかない考え方・小役人」 (第3版)
注:初版・第2版の語釈は「官職にある人。公務員。官吏。」となっていた。



 語釈としては「公務員」としか書かれていませんが、用例の「役人根性」に注目です。「役人特有」ということですから、役人だけに特にそのような性質がそなわっているということです。役人はおうへいで、融通がきかない考え方をする人間なのです。


 なお、第4版以降、「役人」の語釈は次のように変更されました。


やくにん【役人】
 @役所の一員として人民の取締りに任じた者。A公務員の俗称。「役人風を吹かせる役人根性(=役人特有のおうへいで、融通のきかない考え方・小役人」 (第4版)
注:第5版では用例から「小役人」が削除されている。



 用例に「役人風を吹かせる」が追加されました。これについては、【風】のほうに詳しく書かれています。



かぜ【風】
[二](接尾語的に)おれは…だからお前たちと違って偉いんだぞという様子。「役人風を吹かせる」 (第4版)
注:第5版では用例から「小役人」が削除されている。



 「おれは役人だからお前たちと違って偉いんだぞ」ということでしょうが、公務員ってそんなに偉いんでしょうか。




 次、【由来】の用例。


ゆらい【由来】(副) 
 もともとそのような性格や傾向が備わっていることを表わす。だが、由来役人というものは、保身の術にたけているものだ。どんな窮地に追いこまれても、責任を他に転嫁して、自分の位置の安全を守ることだけは巧みにやってのける (第4版・第5版)



 長いです。これはいったいなんなのでしょうか。何かの引用でしょうか、それとも作例でしょうか。


 いずれにせよ、この長さに山田主幹の何らかの主張が込められていると思えてなりません。





 最後に、「公僕」を紹介して、終わりにします。


こうぼく【公僕】
 〔権力を行使するのではなく〕 国民に奉仕する者としての公務員の称。 〔ただし実情は、理想とは程遠い〕 (第3版〜第5版)
注:初版・第2版は「公衆に奉仕する人(としての公務員。)」と記載されている。




 果たして公務員の実情が理想に一致する日は来るのでしょうか?



【補足】
 2005年1月10日発行の第6版で、「役人」に変化が!


やくにん【役人】
@役所の一員として権力を行使した人の総称。A行政事務に従事する公務員の俗称。「外務省の役人/(お)役人的〔=役人に特有だとされた、杓子定規で融通のきかない考え方をする様子だ」(第6版)


 「役人に特有だとされた」と過去形に!

 なお、その他のものについては、「由来」の用例が短くなっただけで、後は第5版と同じでした。(実情は、理想とは程遠いまま。)



入門編4へ

トップページ はじめに  メインページ  管理人日記  掲示板  推薦図書  リンク