
10月の絵本の紹介
| 子どもは「ことば」を食べてゆたかに育ちます。 テープやテレビなどの機械音ではなく、 お母様や身近な人の口から出る言葉を聞いて すべてのことをわかっていくのです。 子どもたちに、たくさん話しかけてあげてください。 おはなしをしてあげてください。 そして、絵本をたくさんよんであげましょう。 絵本は子どもが「読む本」ではなく「読んでもらうもの」です。 やさしい音声とことばの中で、 子どもは絵本の世界に入り込んで心を遊ばせ養っていくのです。 |
1冊の絵本の紹介 |
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えかきさんとことり マックス・ベルジュイス作、長谷川 四郎訳 ほるぷ出版 ![]() |
| 貧しい絵描きさんがいました。 絵描きさんは自分の描いた小鳥の絵が大好きでした。 ある日、金持ちが絵を買いに来て、その小鳥の絵を高いお金で買っていきました。 立派なお部屋に飾られた小鳥は、それでも少しも楽しくありませんでした。 春が来て、おやしきの外に鳥のさえずりの声がきこえるようになったある日、小鳥は絵から抜け出して外に飛び出しました。 でも自分の家がどこなのか分かりません。どこに行ったらいいのでしょう。花のいっぱい咲いている原っぱではありませんでした。 いろいろな鳥たちが住んでいる森でもありませんでした。 動物園に行ってみました。ライオンがお客として小鳥と仲良くしてくれました。 でも「珍しい小鳥だ、調べてみよう」と動物園の園長さんが家につれていってしまいました。小鳥はそこも逃げ出しました。 栗の木の下でぐったりしていると、男の子がそばに寄ってきました。 そして、「ぼく、きみのお家を知ってるよ」と小鳥をあの絵描きさんのところに連れていってくれたのです。 絵描きさんは大喜び、お金持ちにお金を返してあの小鳥の絵の中に小鳥を返してくれました。小鳥はようやく自分の家に帰って来ることができたのです。 そして絵描きさんも小鳥も、決して離れないでいようと思いました。 この作品の始めに、「自分のおうちがどこにあるのかわからないひとたちのために」と書いてあります。 自分が一番幸せでいられるところはどこなのだろう、帰るべきところはどこなのだろう、ということを考えさせられる絵本です。 大人は自分の身の上にひきくらべて、いろいろな思いを深めていくことでしょう。 子どもは、迷子になった小鳥になりきって、不安になったり悲しくなったり、男の子に会ってほっとしたりながら、いつのまにか今度は男の子になりきって小鳥を絵描きさんのところに連れて行ったりといういろいろな心の旅をしていきます。 最後に一番大好きな絵描きさんのところにもどれたとき、すべてのことが腑に落ちたという完結した喜びが味わえることでしょう。 お話も絵も共に印象に残る絵本です。 |