10月の絵本の紹介

 子どもは「ことば」を食べてゆたかに育ちます。
 テープやテレビなどの機械音ではなく、
お母様や身近な人の口から出る言葉を聞いて
すべてのことをわかっていくのです。
子どもたちに、たくさん話しかけてあげてください。
おはなしをしてあげてください。
 そして、絵本をたくさんよんであげましょう。
絵本は子どもが「読む本」ではなく「読んでもらうもの」です。
やさしい音声とことばの中で、
子どもは絵本の世界に入り込んで心を遊ばせ養っていくのです。

1冊の絵本の紹介  
「きちょうめんな なまけもの」

ねじめ正一 作
村上康成 絵

東京画劇




動物園のナマケモノ、木にへばりついているだけの怠け者にみえますが、

動物園がしまって見物客がいなくなると・・・・・。

木の上からすばやくおりるとトレーニングウェアを着て

筋肉体操をしたりランニングをしてトレーニングをするんですよ。

汗をかいたあとはシャワーに入りパジャマに着替えて

怠け者といわれるのが一番嫌なので

几帳面に日記をつけてから晩ご飯を残さず食べて

横になってもそのままは寝ないで、

星の図鑑をもって空の星の名前を調べます。

そして木にのぼって明日のナマケモノの予習もするのですぞ。


* あの怠け者そのもののナマケモノが、人が見ていない夜何をしているかなんて考えたことがありますか。

ねじめ正一さんは考えたのですねえ。

昼間は何に対しても反応が遅く、できるだけ動きたくないという見え見えの少エネルギー愛好者であるナマケモノ、その実 夜みんなが見ていないところでは筋力トレーニングに励み、几帳面に日記をつけ、明日のナマケモノの予習までしているなんて。

そのギャップがおもしろいですよね。

想像するだけで笑っちゃいます。

ねじめさんはきっと、じっくりナマケモノととことん付き合ったのではないでしょうか。動物園の柵にへばりついて自分もナマケモノになってね。

そして自分もナマケモノになったらナマケモノがすっかり好きになって身内のように思えるようになり、こんな奇抜な発想が出てきたのではないかなんて思っちゃうほど ねじめさんのユーモアあふれる、そして愛に満ちたまなざしを感じます。

そしてそれをぴったりに表現しているのが村上康成さんの絵です。

シンプルなのに豊かな表情とユーモアに満ちた表現。

それに色や構成も美しく見ているだけで楽しくなります。

私たちは目に見えることや、与えられた情報や、「常識」といった既成事実だけでものを判断したり思い込んだりしてしまいがちですが、世の中、こんなに楽しくすべてのことを自由に発想したり想像できたらいいなと思います。

あたたかいユーモアは人生を楽しくするものだと思わされる一冊です。