12月の絵本の紹介

 子どもは「ことば」を食べてゆたかに育ちます。
 テープやテレビなどの機械音ではなく、
お母様や身近な人の口から出る言葉を聞いて
すべてのことをわかっていくのです。
子どもたちに、たくさん話しかけてあげてください。
おはなしをしてあげてください。
 そして、絵本をたくさんよんであげましょう。
絵本は子どもが「読む本」ではなく「読んでもらうもの」です。
やさしい音声とことばの中で、
子どもは絵本の世界に入り込んで心を遊ばせ養っていくのです。

1冊の絵本の紹介  
「クリスマス・イブ」

マーガレット・W・ブラウン ぶん
ベニ・モントレソール え
やがわ すみこ やく

ほるぷ出版



まよなかのことでした。

それも クリスマスの そのばんでした。

こどもたちは とこについても ねむれません。

ねたふりをしたまま さっきから みみをすませていたのです。

となかいや キャンディーや おほしさまや てんしや 3にんのはかせたちが めにうかびます。

やがて ひとりのこが いいだしました。
「ねむるまえに みんなで したへいって クリスマス・ツリーにさわって おねがいごとをしよう」


☆クリスマスイブ、というと賑やかで華やかで人が溢れて楽しそうで、とイメージしがちです。
この絵本のクリスマスイブはそんな騒々しい世界ではありません。
寝静まった静謐な家の中を四人の子どもたちが足音を忍ばせて静かに探索する様子を通して、子どもたちのクリスマスに対するわくわくとした気持ちを描いています。
そして、その静かな家の外からは讃美歌を歌う声が聞こえてきます。
子どもたちは窓にかけより、雪がしんしんと降る中、ランプ一つの明かりで歌う大人たちの姿を見つけます。
自分たちが見てはいけない世界を見てしまったかのような気持ちになり、こどもたちはあわててベッドに戻っていきます。
その静かにも美しい世界に、子どもたちはとても崇高なものを感じ取ったのかもしれません。そしてそれは、クリスマスという特別な日にこそ感じられることだったのでしょう。

作者のマーガレット・W・ブラウンさんは42歳で亡くなるまで100冊以上もの絵本を世に出した有名な作家ですが、この作品が遺作となりました。そしてこの作品にピッタリの絵をベニ・モントレソールさんが描きました。オレンジを基調とした暖かくも落ち着いた色彩で、マーガレットさんの言葉を見事に絵に表してくださっています。
賑やかなクリスマスもよいものですが、静かに過ごす中でこの子どもたちのようなクリスマスを迎えられたら、それはとても素敵なことのように思えます。

しんしんと静かに雪が降る夜、クリスマスを待ちこがれる子どもと一緒に読みたい一冊です。